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旧サイト名:本当に役立つ資格、全く役立たない資格

【司法試験(予備試験)】難易度・合格率・活かし方、さらに法科大学院との違いも徹底調査

裁判官と検事と弁護士が揃った法廷

弁護士・裁判官・検察官になるための超難関国家試験、人生一発逆転!

種類難易度合格率
国家資格超難関24%(3.6%)
受験資格取得費用勉強時間
誰でも受験可100万円以上4年以上
活かし方全国の求人数おすすめ度
独立・開業12件
  • 合格率は最終の司法試験(カッコ内は予備試験)の合格率の数字です。
  • 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年3月17日に集計しました。

司法試験とは、弁護士・裁判官・検察官になるための国家試験です。

司法試験予備試験なら学歴の要件も年齢制限もなく50代・60代で合格する人もいます。

難易度は高いですが合格すれば人生が変わるほどメリットいっぱいです。

活躍の場は広く将来性も十分です。

目次

司法試験予備試験・司法試験とは

裁判所

弁護士、裁判官、検察官になるための国家試験

司法試験とは、法曹三者(弁護士、裁判官、検察官)になるための国家試験です。

司法試験に合格しなければこれらの職業には就けません。

かつての司法試験には受験制限がありませんでした。つまり学歴・国籍の要件も年齢制限もなく誰でも受験できたんです。

そのため、お金も学歴もない人が人生一発逆転を狙ってやり直すには最適な試験でした。

合格すれば高収入につながったからです。

ところが2004年に、法科大学院を卒業することが司法試験の受験資格の絶対条件となりました。

つまり司法試験を受験するには学歴の要件が求められるようになったワケです。

その後2011年に制度は改められ、法科大学院を卒業していなくても司法試験予備試験に合格すれば司法試験の受験が可能になりました。

現在は、誰でも学歴に関係なく司法試験まで挑戦できます。

法科大学院の出現で一般の人が司法試験に挑戦する機会が閉ざされる

では、もう一度司法試験の歴史について振り返ってみたいと思います。

かつての司法試験は誰でも受験できる最難関の国家試験でした。

極端な話しですが、日本語さえ理解できたら誰でも受験でき、根性に近い努力で合格できました。

中学校しか出ていない若者が、働きながら猛勉強のすえ司法試験に合格して弁護士になった例はよく聞きます。

37歳から連続22回司法試験に不合格、それでも諦めずに挑んだ23回目のチャレンジでついに司法試験合格して61歳で弁護士になった女性もいます。

ところが、司法制度改革により2004年から法科大学院の制度がはじまりました。

司法試験に合格して弁護士になるためには必ず法科大学院に進学して専門課程を学ばなければならなくなったんです。

法科「大学院」ですから4年制の大学を卒業しているのが条件です。

大学を卒業していなければ大学院へは進学できません。

つまり、一般の大学(4年間)→法科大学院(2年もしくは3年間)→新司法試験に合格→ 約1年間の司法修習→卒業試験に合格→弁護士、というルートを通らないと弁護士にはなれないという制度に変更になりました。

法科大学院の学費は極めて高額です。

私立の大学院であれば年間100万~240万はします。この学費では誰でも簡単に進学とはいきません。

お金に余裕のある家庭でないとおいそれと進学できません。

お金も学歴もない人は、司法試験にチャレンジして人生をやり直す道は完全に閉ざされました。

司法試験を受験する機会すら閉ざされたということです。

司法試験予備試験の導入により誰でも司法試験に挑戦できるように

法科大学院の制度が誕生したことにより、「お金に余裕がないと弁護士にはなれないのか!」「金持ちしか弁護士になれないのか!」という批判が多く出たのは言うまでもありません。

そりゃそうですよね。誰がどう考えても不公平な制度です。フェアーじゃありません。

「機会均等な社会の創設」なんて当時の政府は言ってましたが全く逆です。お金と学歴がない人にはチャンスすら与えられないということです。

そもそもお金持ちしか弁護士になれないなんておかしいですよね。

世間で弱者と呼ばれる立場の弱い人達を救うのも弁護士や裁判官の仕事でもあるはずです。

そんな弁護士や裁判官になれるのは経済的に余裕のある人だけ…不思議な制度を作りあげたものです。

そこで、やはりというか案の定2011年に再び司法試験の制度が改正されました。

旧司法試験のように、誰でも受験できるように司法試験予備試験の制度がはじまりました。

これなら受験資格が必要ないので誰でも予備試験に挑戦できます。

予備試験に合格すれば法科大学院を卒業したのと同等の扱いになり、司法試験の本試験に挑戦できます。

法科大学院が誕生して7年という時を経て、ようやく以前のようにお金も学歴もない人にも司法試験の門戸が再び開かれたわけです。

合格後、司法修習を経て弁護士・検察官・裁判官のいずれかになる

弁護士、裁判官、検察官になるには司法試験に合格しなければなりませんが、合格してもただちに資格は得られません。

資格を得るには、司法試験合格後に約1年間の司法修習を経て、修習後の「司法修習生考試」という試験に合格しなければなりません。司法修習とは主に裁判所でおこなう実務の研修です。

修習中に、弁護士・検察官・裁判官のいずれに将来なりたいかの希望を提出します。

必ず希望が通るというわけではなく、検察官、裁判官は司法修習生の中でも成績の優秀な人しかなれないようです。

令和5年(2023)度の司法修習生の例では、司法修習生1325人のうち進路が決定した人の内訳は、裁判官(判事補)76人、検察官(検事)71人、弁護士(登録)966人です(その他が212人)。

参照:司法修習終了者の進路別人数|日本弁護士連合会(pdf)

裁判官(判事)と検察官(検事)はほぼ同数ですが極めて少数です。

それ以外のほとんどが弁護士の道に進んでいます。

もちろん当初より弁護士を希望している人もいるでしょうが、裁判官・検察官になるのは狭き門です。

司法修習生の中でも優秀な人材が裁判官や検察官の道に進むと言われています。

参考:日本弁護士連合会:HOME裁判所トップページ検察庁

将来性や活躍事例

弁護士のシンボルとなる天秤を持つ女性

いうまでもなく司法試験は超難関の国家資格です。

合格すればよほど経営センスのない弁護士以外はおそらく生涯安泰でしょう。

司法試験は超難関であるのと同時に超役に立つ資格試験であるといえます。

サラリーマンじゃ稼げないから仕事を辞めたい、お金を稼ぎたい、本当に役立つ資格を取って独立したい、学習を続けて良い成績を修める自信もある…そんな人であれば文句無しでおすすめするのは司法試験あるいは司法書士試験です。

司法試験に合格すれば人生がガラリと大きく変わるでしょう。

社会的なステータスも経済的な自由も同時に手に入れられます。

やはり他の資格と比べても圧倒的に資格のネームバリューが大きいです。

仕事を辞めてまでチャレンジする価値は十分です。合格さえすればサラリーマンに戻る必要はありません。

よほどのことがない限り食べていくには困らないでしょう。

司法試験に合格して弁護士になれば他資格の業務もできる

弁護士となる資格を得た上で、日本弁護士連合会(日弁連)に備えられている弁護士名簿に登録されてはじめて弁護士としての活動ができるようになります。

一旦弁護士として登録すると、スーパーマルチでオールマイティーな無敵ともいえる活動ができます。つまり弁護士以外の他の士業の独占業務もおこなえます。

例えば、司法書士、税理士弁理士行政書士土地家屋調査士社会保険労務などの業務です。弁護士の名で上記の全ての業務を行えます。

関連資格:法律・法務の資格一覧

法務局へ提出する登記申請書類は、通常司法書士が作成して職印を押印しますが、弁護士が代わりに作成して押印して提出しも全く問題ありません。

弁護士の職印が押してある方が箔が付くということで、そちらを好む人もいます。

※司法書士と名乗るためには司法書士試験に合格して司法書士として登録する必要があります。

税理士にいたっては弁護士は無条件でそのまま登録して税理士と名乗れるので、弁護士と税理士の両方に登録する人は少なからずいます。

また、司法試験に合格すると公認会計士試験も免除制度を利用して合格しやすくなります。

公認会計士試験の短答式試験が全て免除になり、論文式試験も企業法と民法が免除になります。

学習する科目は財務会計論、管理会計論、監査論、租税法だけになり、まともに公認会計士試験を受ける人から見ると反則技レベルといえるほどの優遇措置になります。

そのため弁護士と公認会計士という夢のようなダブルライセンスを取得してる人も少なからずいます。

司法試験は、合格すれば他の様々な士業の業務をおこなえる最高峰の資格といえます。

弁護士として登録すればかなりの範囲の法律的な業務ができます。

また、国会議員の政策秘書になるためには原則として国会議員政策担当秘書資格試験に合格しなければなりませんが、司法試験の合格者はそのまま無試験で政策秘書になれます。

司法試験に合格して弁護士にならず国会議員の秘書になる人もいます。

具体的な活躍事例

司法試験に合格すれば、弁護士として活動するか、あるいは裁判官・検察官として活動するのが一般的です。

しかし、最近では弁護士といってもいろいろな活動方法があります。最高峰の資格試験ということもあり、いずれも高収入につながる可能性が高いといえます。

下記に一例をあげます。

企業の渉外担当弁護士

弁護士の中でも花形といえるのが、大手法律事務所に勤務する企業法務専門の弁護士です。

大企業ともなればどこかの弁護士事務所と顧問契約を結んでいる場合がほとんどです。

その弁護士事務所において、国際性のあるビジネス案件や大規模な企業買収事案に携わったりします。

弁護士事務所の中には弁護士を400人以上も抱えるようないわゆる「四大法律事務所(最近は五大事務所)」なども存在します。

弁護士1年目から年収1000万円を超える人も珍しくありませんが、入ってしまえば安泰ではなく内部での競争も激しいようです。

仕事は忙しく、睡眠時間も削って働くといいますから体力勝負という一面もあります。

個人弁護士事務所または少人数の弁護士事務所

大手法律事務所の弁護士と全く対照的なのがいわゆる「マチ弁」です。

主に個人の法律事務所から10人程度の法律事務所の弁護士までを指して呼ぶようです。

対象となる顧客は企業から個人まで幅広く、個人が相手となると離婚、相続、債務整理、個人の詐欺被害、借金返済、交通事故といった事件を主に扱います。

どこでも自由に弁護士事務所を開けるのは大きな強みです。

生まれ育った故郷へ戻って弁護士事務所を立ち上げても食べていけます。

地元に根付いて長年弁護士として仕事をすれば、街の名士として名を馳せるでしょう。

サラリーマンをやっていると、こういうワケにはいきません。

インハウスロイヤー

最近、比較的大手といわれる企業で時々目にするのが弁護士の求人です。

企業は弁護士事務所と顧問契約を結ぶのではなく、そのまま弁護士を社員として採用してしまおうという考えです。

インハウスロイヤーとなった弁護士は、企業の法務部門に配属され、特許や著作権などの知的財産権の管理、企業買収(M&A)、外資系企業相手の契約書類の作成といった高度な法律知識を必要とする案件の処理を任されます。

このように、インハウスロイヤーとして企業に勤務する弁護士も増えてきました。

インハウスロイヤーの魅力は、弁護士資格を持っているというだけで年齢にとらわれず比較的容易に大企業に好条件で就職できるという点です。

自分で事務所を開いて、税金も申告して、社会保険もメンドーなんていうサラリーマン感覚の強い弁護士なら魅力的でしょう。顧問などという肩書であれば役員待遇で活躍できます。

また、最近では地方自治体や官庁に勤務する弁護士もいます。

この場合公務員ですから給料も身分も安定しています。弁護士ということで手当も付きます。他の職員と比べて年収は確実に高いようです。

その他の進路

法テラスのスタッフ弁護士、大学教授、法学者などに進む弁護士もいます。

タレントになって知事や市長になる弁護士もいます。政治家の中には弁護士が意外と多くいます。

司法試験に合格すれば、人生の選択肢は多岐にわたり、いずれも現金に直結するのが魅力です。

難易度や合格率などを徹底研究

古い法律書

予備試験と司法試験、どちらが難しい?

司法試験予備試験は、短答式(択一式)と論文式(論文形式の解答)、口述式(試験官と対面形式で質問に対して回答)の試験があります。

一方司法試験は、短答式と論文式の試験です。口述式の試験はありません。

どちらも難しい試験であるのは間違いないのですが、合格率とその他の背景を踏まえてで比較してみます。

まず一次試験ともいえる予備試験の合格率は4%(令和5年は3.58%)ほどでです。

これだけでも超難関の試験だといえます。

そもそも予備試験は、高い学費が必要な法科大学院に通わなくとも司法試験の受験資格が得られる制度です。

受験資格もなく誰でも受験できるわけですから多くの人が受験します。そのため合格率は低くなります。

そして、予備試験の合格者は二次試験ともいえる司法試験に進みます。

予備試験合格者の司法試験合格率は90%(令和5年は91.3%)ほどです。

予備試験の合格者といっても、受験生の上位4%ですから当然ハイレベルです。

その上位4%の中からさらに上位90%が最終の司法試験に合格します。

90%以上の合格率ですから、予備試験に合格すれば概ね司法試験に合格できそうです。

とはいうものの10%は不合格になるということは司法試験も間違いなく難しい試験です。

どちらとも同等程度の難易度といえるのではないでしょうか。

実際に予備試験と司法試験の両方受験した人の意見では、「予備試験よりも司法試験のほうが難しい」と答える人が多いようです。

しかし、「比較できない」という意見もあれば「予備試験のほうが難しい」という意見もあります。

両者の違いとして予備試験には法律科目以外に一般教養試験があります。

大学入試の試験勉強をしていない人にとっては予備試験の方が難しいと感じるかもしれません。

どちらが難しいのかは簡単には判断できませんが、やはり多くの人が言う通り「司法試験のほうが予備試験よりもある程度は難しい」といえると思います。

ただ、数字で判断できるとしたら、短答式(択一式)に限って言えば予備試験のほうが圧倒的に難しいようです。

予備試験合格者のうち、司法試験の短答式試験に合格した人は98%以上、つまりほぼ100%です。

全体としては司法試験のほうが予備試験よりも難しいようですが、短答式に限っていえば予備試験のほうが難しいといえるのではないでしょうか。

法科大学院卒業生の司法試験合格率よりも予備試験合格者の司法試験合格率が高い理由

法科大学院修了者と予備試験合格者の最終の司法試験合格率は以下の通りです。

  • 法科大学院修了者:16.7%
  • 予備試験合格者 :91.3%

両者を比較すると圧倒的に予備試験合格者の方が合格率が高いことがわかります(令和5年)。

参照:令和5年司法試験法科大学院等別合格者数等(pdf)

※法科大学院一覧の下に予備試験合格者のデータを掲載しています。

参考までに過去の資料は下記です。

参照:令和3年司法試験法科大学院等別合格者数等(pdf)

司法試験合格者が年々減少傾向にある中、予備試験経由による合格者は年々増え続けています。

では、なぜ予備試験合格者の司法試験合格率が高いのか?

それは予備試験自体の難易度が高いからだといえます。

予備試験の最終合格率は例年3~4%前後でここを突破すること自体超難関なんです。

そんな難関な試験を突破した合格者ですから司法試験に合格するための能力は十分に備わっているというわけです。

予備試験と司法試験がよく似ている点もあげられます。

両者の試験には類似性があるため、予備試験合格者にとっては司法試験は特別な試験対策をせずともそのまま違和感を持たないで試験に臨めます。

そして、そのまま合格してしまうようです。

法科大学院は、予備試験の合格者よりも司法試験への対応が不十分といえるかもしれません。

なんと!16歳の少年が予備試験に合格

2024年の2月のことですが、あるニュースが世間を驚かせました。

それは、16歳の青年が史上最年少の記録を更新して司法試験予備試験に合格したという法務省の報道です。

参照:弁護士ドットコムニュース – 弁護士ドットコム

マレに、大学在学中に合格する人もいますが、大学入学前に既に合格って一体なんなの?

いくら受験年齢の制限はない試験とはいえ・・・これは異次元の話しです。正直な感想として一般人にとっては笑うしかないですね。

予備試験の最高年齢はなんと69歳

令和5年の予備試験合格者の平均年齢は26.91歳です。

合格者の男女比は男性400人、女性79人で、女性の割合は16.49%です。

なんと、最高年齢が69歳といいますから驚きです。

当然ですが60代、50代の合格者もいます。

職種別にみると、大学生が286人、法科大学院生が21人、無職69人、会社員50人、公務員30人など(いずれも出願時)。大学生は前年比90人増、逆に法科大学院生は103人減となった。

司法試験の最終合格者、最高齢は66歳

令和5年の司法試験最終合格者の平均年齢は26.6歳でした。最高年齢は66歳、最低年齢は19歳です。

これまでの最高年齢は71歳(法科大学院終了者)です。当然ですが60代、50代の合格者も毎年のようにいます。

参照:令和5年司法試験の結果について|法務省(pdf)

あきらめずに時間をかけて学習すれば年齢に関係なく誰にでもチャンスのある資格試験です。

司法試験は最高難度の国家試験ですから、学習する範囲は広く、法律の条文や過去の判例など膨大な量の暗記が必要となります。 

そのため、家庭も持っておらず時間に余裕のある受験生は有利であるのは間違いないでしょう。

とはいえ、50代や60代、70代の合格者もいるので、あきらめずに時間をかけて学習すれば年齢に関係なく誰にでもチャンスのある資格試験です。

ある資格予備校は「司法試験は受験1年目が最も合格しやすい?」という記事を掲載していますが、これは間違いです。誤解を招く表現です。

確かに法務省の発表では「合格者の内56.4%が司法試験受験1回目」とありましたが、これはあくまでも受験資格を得てからの数字です。

つまり法科大学院を卒業後あるいは予備試験合格後の受験回数です。合格率から判断しても1年目が高いのは当然です。

短期合格など例外中の例外で、人生をかけて学習するほどの意気込みで時間をかけて学習しなければ合格できない国家試験であることは間違いないです。

合格するには

メモを取る弁護士

司法試験に挑戦するためには、法科大学院を修了するか、あるいは司法試験予備試験に合格しなければなりません。ここでは主に司法試験予備試験について説明いたします。

司法試験予備試験に合格するには

予備試験は、以下の3種類の試験で構成されています。

  1. 短答式試験(択一式でマークシートによる解答)
  2. 論文式試験(論文形式での解答)
  3. 口述式試験(試験官と対面形式で質問に対して回答)

そして、3種類の試験のそれぞれの合格率は以下のとおりです。

  1. 短答式試験(21.4%)
  2. 論文式試験(21.4%)
  3. 口述式試験(94.7%)

21.4%×21.4%×94.7%で最終的に4%の合格率になるというわけです。

短答式も論文式も20%以上の合格率はあるので、それぞれの試験の合格率が極端に低いというわけではありません。

2段階にわたって下位の8割が落とされていくことが分かります。

口述式については、ほとんど合格できる数字といってもよいので、短答式試験と論文式試験を突破するためのバランスを考えた日々の学習方法が重要になります。

短答試験と論述試験は、実際の出題を見れば分かりますが出題形式から解答方法まで全く違っています。別物の試験です。

しかし短答式で学習した知識が、論文式の解答の前提になります。

短答式は基礎的な内容も多く含んでいるので、論述の学習をする上で必須の知識となります。

つまり、予備試験に合格するためには、短答式試験の対策をまずは十分にする必要があります。

短答式は暗記の要素が強いので、司法試験・予備試験の過去問を繰り返し学習すれば実力もついてきます。

過去問を解く際には、言うまでもなく選択肢の1つ1つを確実に理解して覚える事が重要です。

同じような問題が繰り返し出題される事もあります。初めて見た出題であったとしても、過去に出題された問題の応用である事がほとんどです。

論文式は、短答式の学習で得た知識が前提になりますが、短答式の実力にともなって論文式の実力がついてくるワケではありません。

択一で解答する短答式と違って、論文式は解答の理由となる根拠を自分の言葉で記述しなければなりません。短答式と論述式では覚える要点も異なってきます。

論文式の学習方法としては、問題集や過去問をとにかく多く解いて、知識を書面にアウトプットすることです。

1回程度解くだけではなく、何回も問題を解くことによって深まります。

膨大な問題を繰り返し解いて、試験の傾向を掴みながらアウトプットをする事が重要です。

参考:法務省:令和5年司法試験予備試験問題

全くの独学よりも、予備校を利用するのがやはり現実的です

過去には全くの独学で司法試験に合格した人もいるでしょうけど、悪いことはいいません、本気で司法試験に合格したいのなら予備校を利用すべきです。

全くの独学では効率が悪過ぎます。時間を無駄に使い過ぎる可能性が高いです。

お金がないのなら100万円くらい根性で貯めましょう。あるいは親に土下座してでも借りましょう。

オンライン学習サービスを利用すればもっと安い価格で学習を続けられます。

万が一途中で諦めても、遊んでいてドブに捨てたわけでもありません、無駄金だったと思わないことです。お金で時間を買いましょう。

実は法科大学院が誕生したのは、民間の予備校が力をつけすぎて、このまま放っておけなくなったという理由もあります。

国も予備校の実力を認めていたということです。その状況は司法試験予備試験が誕生してからも同じです。

ここまで資格予備校の実力が発達した以上、独学で司法試験予備試験にチャレンジするのは無謀ともいえます。

予備校で効率的に学習して、不足している分を独学で参考書を使って補いましょう。

短答式なら独学で問題集を何度も解いていればいつか合格できるレベルに到達できるでしょう。

しかし、論文式となると独学で実力をつけるのは困難です。

論文式は与えられた問題に対して自分で的確な条文や判例を引っ張り出してくる必要があります。

しかも文章で論理的に解答しなければなりません。

読んでもらう人(採点者)を説得するような文章で表現する必要もあります。自己採点だけでは理想的な解答には近づけません。

やはり弁護士資格を持っているような人に客観的に自分の解答を採点・評価してもらう必要があります。

予備校であれば、弁護士資格を持った人が講師として何人もいます。講師が集まって理想的な解答を考えて、間違っている箇所や正しい箇所を指摘してくれます。

資格も持っておらず知識も不十分な受験生と弁護士資格を持っているプロの講師とではやはり実力の差は歴然です。プロの講師が合格までの時間を短縮してくれるのは大きなメリットです。

予備試験の一般教養も大学院卒レベルまで上がり、昔は免除されていた大卒者の科目も今では免除されていません。

やはり司法試験に本気で合格したいのなら予備校は必須です。予備校のテキストを全面的に信頼して学習するのが現実的です。

1人で学習を継続するのは難しいです。司法試験合格までには長い道のりが必要です。長時間の繰り返し学習という努力が必要です。

周りに同じ目的を持った人が多数いれば、刺激しあう仲間がいるだけでもモチベーションを維持がしやすいです。そういった環境も学習を続ける上では大切になります。

法科大学院と予備試験どちらがおすすめ?

法科大学院修了→司法試験のルートの方が予備試験ルートよりも合格しやすいとは一般的にいわれていますが、実際のところどうなんでしょうか?

司法試験の挑戦権を得るという目的であれば、難関な予備試験を合格するより法科大学院を卒業する方が比較的楽といえます。予備試験をジャンプできるのは大きな意味があります。

しかし法科大学院といっても入試の難易度はピンキリです。

もちろん大学院によって司法試験の合格率にもかなり開きがあります。

つまり大学院によっても明確な格差が存在します。

入試の難易度が高い京都大学法科大学院、一橋大学法科大学院、東京大学法科大学院などは司法試験の合格率も高く50%程度です。

下位の大学院になると合格率は20%を切るところも普通にあります。

1人も合格者がいない大学院もあります。

参照:令和5年司法試験法科大学院等別合格者数等(pdf)

無理して高い授業料を払ってレベルが高くない法科大学院へ進んでもあまり期待できません。

法科大学院へ進学するのなら、やはり上位レベルを目指すべきでしょう。

法科大学院は大学ですから受験勉強も必要になります。

行きたいからと言って誰でも行けるものでもありません。高額な授業料も必要です。

一方、予備試験は受験資格がないため誰でも受験可能です。

受験対策で予備校へ通うとしても法科大学院の学費に比べればかなり安くすみます。

優秀な人なら法科大学院へ行くよりも予備試験の方が短期でしかも安く司法試験に合格できます。

最終の司法試験の合格率から見ても予備試験合格者の方が司法試験に高い確率で合格できる事実もあります。

学習を継続する自信がある人なら、最初から予備試験を目指す方がよいでしょう。

法科大学院ルートは、司法試験への門戸は広いですが合格という出口は狭く、一方予備試験ルートは司法試験への門戸は狭く、合格という出口は広いといえます。

最近は法科大学院に通いつつ予備試験を受験して合格するという受験生もいるようです。

在学中に予備試験に合格するということは実力の証明にもなりますから、司法試験に合格した後、大手の弁護士事務所に就職する際に有利になる可能性が高いようです。

参考までに、下記は予備試験合格者数・合格率の大学別ランキングです。

参照:【資料4-7】令和5年司法試験予備試験受験状況(大学別・全体)|文部科学省(pdf)

司法試験の受験制限について

司法試験の受験資格が得られたら、その後何度でも司法試験に挑戦できるわけではありません。受験には一定の回数制限があります。

これは、何度も受験を続けて人生を棒に振るような若者を減らそうという狙いがあるといわれています。

現在は、受験資格取得から5年間5回までです。

  • 法科大学院の場合、修了した年から5年間5回まで受験可能
  • 予備試験合格の場合、合格した翌年から5年間5回まで受験可能

これは司法試験の本試験の回数制限であって、司法試験予備試験には受験制限はありません。何度でも受験可能です。

では、受験可能期間の5年間で合格できなかったら、二度と司法試験を受けられないのかというと、そうではないです。

再び法科大学院に入りなおして修了するか、再度予備試験に合格して一度リセットして新たな受験資格を取得できます。実際に2回めの法科大学院入学という人も中にはいます。

まずは無料の資料請求

おすすめの講座

予備試験および司法試験は、無駄な勉強を続けれていては何年かかっても合格できません。

必要な学習だけをするという観点からも、多くの受験生が利用しており、なおかつ実績のある予備校を利用するのがおすすめです。

アガルートアカデミー

アガルートアカデミーも毎年多くの合格者を出している実績のある予備校です。

通信講座をメインとする予備校なので、講義は全てオンラインにて配信です。いつでも繰り返し受講できるので無駄なく受講できます。しかも通学するよりも値段は安く設定されています。

全くの初学者(学習未経験者)向けカリキュラム、法科大学院入試合格を目指すカリキュラムも用意されています。

資格スクエア

最近では資格スクエアなどの評判も良く、一定の合格者を出しているのでこちらもおすすめです。

資格スクエアのオンライン学習サービスであれば費用は一般的な通学講座の1/3程度で済みます。これは大きなメリットです。

講義の満足度が非常に高いのが特徴で、自宅で講義をじっくりと聞けますから時間を有効に使えます。1人で学習を続ける自信のある人にはおすすめです。非常に質の高い講座です。

※こちらから無料講義体験、説明会参加、講座お申し込みができます。

LEC東京リーガルマインド

司法試験においては40年以上の実績を積み上げて、毎年多くの合格者を輩出する名門予備校です。学習スタイルは、通学講座、通信講座なども選べます。

予備試験も本試験も、答案練習を通じた解答力の養成が必要です。LECでは入門段階から行政法まで含めた7科目の答案練習を行うのが特徴です。

学習段階において、その段階に最も適したオリジナルテキストを提供しているのも大きな特徴です。さらに「WEB+音声DL」または「DVD」付なので安心して学習できます。

LEC東京リーガルマインド「司法試験」

試験情報(予備試験)

日程・出題内容・合格基準・その他

試験日

毎年5月から10月にかけて行われます。

お申し込み

例年1月

受験資格

受験資格・年齢制限は一切なく、どなたでも受験できます。

試験会場

  • 短答式試験:札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡
  • 論文式試験:札幌、東京、大阪、福岡
  • 口述試験:東京

受験料

17,500円

試験内容

予備試験は、以下の3種類の試験で構成されています。

  1. 短答式試験(例年5月中下旬)
  2. 論文式試験(例年7月中下旬)
  3. 口述式試験(例年10月下旬)

予備試験については土曜・日曜(祝日)を中心に実施します。
短答式→論文式→口述式の順に受験しますが、それぞれの試験の合格者のみが次のステップへと進みます。どこかの段階で不合格となった場合、翌年度以降最初から受験します。

【短答式試験】:択一式マークシート

  • 法律基本科目(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法)
  • 一般教養(社会科学・人文科学・自然科学・英語)

【論文式試験】:論文形式の解答

  • 法律基本科目(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法)
  • 法律実務基礎科目(民事訴訟実務・刑事訴訟実務・法曹倫理)
  • 一般教養科目(人文科学、社会科学、自然科学)

【口述式試験】:試験官と対面形式で質問に対して回答

  • 法律実務基礎科目(民事実務・刑事実務)

合格基準

  • 短答式試験:159点以上/270
  • 論文式試験:255点以上
  • 口述試験:19点以上

※2022年度実施分

合格発表

例年11月中旬ごろ。

主催者情報

試験に関する詳しい情報は法務省:司法試験予備試験をご覧ください。

試験情報(本試験)

試験日

毎年5月の第2週の水・木・土・日曜日
(5月中旬の4日間)

お申し込み

11月下旬~12月上旬

受験資格

法科大学院を修了した者、司法試験予備試験に合格した者

試験会場

札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市

受験料

28,000円

試験内容

司法試験の試験科目は以下の通りです。口述試験はありません。

  1. 短答式試験科目:憲法、民法、刑法の3科目で実施されます。
  2. 論文式試験科目:必須科目7科目(憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)、選択科目1科目倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法)の計8科目で構成されています。

例年、水曜から試験ははじまり、木曜・土曜・日曜(真ん中の金曜は休み)の計4日間・合計19時間55分で実施されます。

  • 第一日目(水):論文式試験(選択科目、公法系科目)
  • 第二日目(木):論文式試験(民事系科目)
  • 第三日目(土):論文式試験(刑事系科目)
  • 第四日目(日):短答式試験(民法・憲法・刑法 )

合格発表

9月上旬ごろ

主催者情報

試験に関する詳しい情報は法務省:司法試験をご覧ください。

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