ビジネス会計検定とは経営状態を見るための自己啓発の勉強
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | 易しい | 60% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~2万円 | 1か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
自己啓発 | 2件 |
- 上記は3級についてです。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年11月26日に集計。
3級であれば難易度は低く1か月ほどの勉強で合格できます。
社会人が履歴書に書いて就職や転職を有利にするための試験ではありません。
自分の知識を増やし、仕事上の能力を高めるための自己啓発の検定試験です。
簿記検定は財務諸表を「作る力」を問う試験です。一方、ビジネス会計検定は財務諸表を「読む力」を問う試験です。
ビジネス会計検定とは
財務諸表の「分析能力」を問う試験
ビジネス会計検定とは、税務申告のために作られた帳簿(財務諸表)を正確に読み解き、経営の実態を分析する能力が備わっているかを問う検定試験です。
試験では、基本となる財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)の読み方、分析方法、諸法令に関する知識が問われます。
財務諸表を分析することで、会社の成長性、儲ける力、株価と利益の関係、将来性などが分かります。
主催者サイト:ビジネス会計検定試験|あらゆるビジネスパーソンの仕事に活きる!
簿記検定との違いは
会計に関する検定試験といえば、まず思いつくのが日本商工会議所が実施する簿記検定です。
就職に備えて3級や2級を既に取得している人も多いことでしょう。
関連資格:簿記検定とは
簿記検定では、税務申告のために会計の基準に沿った正確な帳簿(財務諸表)を作成する能力が問われます。
お金のやり取りが伴う商取引を簿記に記帳し、最終的に損益計算書を作成して損益などが明確に分かるような一覧表を作り上げるのが簿記の目的です。
つまり、簿記検定は財務諸表を「作る力」を問う試験です。
一方、ビジネス会計検定は財務諸表を「読む力」を問う試験です。
ビジネス会計検定は大阪商工会議所が主催する検定試験で、初回は平成19年(2007年)に実施されました。
簿記検定と比べるとまだまだマイナーな試験です。
役に立つ民間資格なのか?
あくまでも自己啓発の検定試験
こいうった「ビジネス・・・」と頭につく民間資格のほとんどは、個人の能力アップを目的とした自己啓発的な検定試験です。
まずその点を理解してください。
もちろんビジネス会計検定の学習を通して得る知識は社会人にとって大きく役立つはずです。
ただし、就職や転職で大きな武器になることはありません。
履歴書に書くのは自由ですが、採用の決定打にはならないでしょう。
財務諸表の数字を正確に読んで分析する能力が身につけば、流動比率、総資本回転率など、様々な角度での経営分析が可能になります。
簿記検定とは違った角度で財務諸表の仕組みを学ぶことができるという点は、社会人にとって有意義な試験です。
経営管理とか経営戦略という面でも知識が役に立ちます。
将来性について徹底研究
この民間資格の活かし方
新聞やテレビで会計用語が出てくる機会も少なくありません。
「経常利益」「純利益」「利益率」・・・
しかし、多くの人は「なんとなく」程度に理解しているだけではないでしょうか。
ビジネス会計検定の学習を通じて、こういった会計の基礎をを効率良く学べます。
税務書類に関する知識が身に付くため、新聞を読んでいても、これまで分かっていなかった用語の意味を正確に理解できるようになります。
資産運用のために株式投資を考えている人であればビジネス会計検定の知識を企業分析に活かせます。
経済新聞や会社四季報の内容をいろんな角度で正確に読み取り、投資の判断材料に活用できるようにもなります。
また、新卒予定者であれば、財務諸表により企業の「儲かっている」「儲かっていない」がわかるため、ビジネス会計検定で得た知識を就職活動に活かせます。
単なる上面だけの企業分析ではなく、一歩踏み込んだ企業分析を行って、就活の際の面接時に活かすこともできます。
簿記の知識がなくても学習は進められるのか?
3級からであれば、特に簿記の知識がなくても合格できますが、入門的な簿記の知識はあらかじめ身につけておいた方がよいでしょう。
財務諸表の読み方にしても、簿記特有の用語や勘定科目などの知識が必要になります。
それらを理解できてないと最初は戸惑います。
多少なりとも簿記の知識があれば理解が進む速度は圧倒的に早いでしょう。
逆に言うと、ビジネス会計検定は、日商簿記2級の知識を持っている人でしたら勉強に時間はかかりません。
よく利用されている公式のテキストは簿記の知識がなくても学習を進められるように作られていますが、非常に無味乾燥な文章による説明がダラダラと続き、なかなか理解できません。
実際に会社間の商取引がどういう仕組みになっているのか、その点も理解しておく必要があります。
ビジネス会計検定と簿記検定、どちらが価値がある?
知名度、歴史、これまでの実績から判断しても圧倒的に簿記検定の方が価値があるでしょう。
ビジネス会計検定は、大阪商工会議所が試験をはじめたのが平成19年(2007年)です。
まだまだ受験生は少なく知名度は低いです。
一方で簿記検定は、昭和29年(1954年)にはじまり受験者累計数は7,000万人を超えています。
公共性も高く、1級合格者は税理士試験の受験資格が与えられます。
簿記検定の合格者は、それまでの経験と合格した級によっては就職や転職が有利になりますが、ビジネス会計検定では、今のところそこまで期待できません。
どちらか合格を目指すのであればやはり簿記検定をおすすめします。
合格するには
3級なら1か月ほどで合格可能
ビジネス会計検定には難易度の低い順に3級・2級・1級の3種類があります。
必要な勉強時間はおおよそ以下の通りです。カッコ内は合格率です。
- 3級:1か月程度(60%)
- 2級:2~3か月(50%)
- 1級:6か月以上(65%)
なお、2015年度の第18回試験より、1級不合格でも120点以上得点すれば準1級として認定されています。ちなみに1級合格点は140点以上です。
受験制限はなく、誰でも希望の級から受験可能です。
連続する2つの級を同日に受験することもできます。
ビジネス会計検定はどのくらい難しいのかというと、3級と2級はそんなに難しくありません。
3級合格に必要な学習時間は30~100時間と言われていますが、過去に簿記を勉強していたかどうかで必要な学習時間に開きがでます。
3級に関しては、主催者公式テキストを一通り読み、その上で問題集を繰り返し解き、分からないところは公式テキストに戻って確認する基本的な学習方法で合格できます。
公式テキストは初学者でも理解できるよう分かりやすく書かれているのでおすすめです。
問題集では計算式が必要な計算問題を反復学習します。
本試験で忘れないよう、計算問題は十分に慣れておく必要があります。
3級は比較的容易に合格できますが、2級になるとイッキにボリュームが増えるため、油断していると合格できません。
2級ではかなりの計算能力も必要とされます。
いきなり2級から勉強しても大丈夫?
簿記検定でもそうですが、ビジネス会計検定も3級の理解の上に2級が存在します。
2級は3級の知識があることが前提となっています。
初学者はもちろんですが、例え簿記の既習者であっても3級を学習してから2級を学習した方が結果的には合格への早道になります。
2級は3級の知識を前提としていて、計算の量も多くなります。
3級で計算問題の基礎を固めておかないと2級の計算問題は理解できません。最悪イヤになって途中で挫折してしまいます。
また、ビジネス会計検定の特徴の一つに、財務諸表分析の論点が入りますが、これは簿記検定では勉強しません。税理士試験や公認会計士試験の分野になります。
財務諸表を読み解くのはビジネス会計検定の根幹ともいえる部分です。
やはり3級から勉強して基礎を固めていった方が良いでしょう。
1級の難易度はかなり高い!目指しても2級までで十分
ビジネス会計検定の1級はかなり難しです。
公認会計士試験と同等程度の知識が問われる出題もあります。
何か明確な目的がなければ目指しても2級までで十分です。
試験では電卓を利用できますが、小さなモノよりもできるだけ大きい電卓を使いましょう。
ボタンが大きい方が入力ミスを防げます。また、問題用紙を押さえるのにも使えます。
周囲の受験生が一斉に電卓を叩き出すと音がかなり気になります。
雑音に動じない心を持つか、あるいは耳栓を用意してもよいでしょう。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
試験の主催者である大阪商工会議所が出版している公式テキストです。
初心者でも、体系的に財務諸表の分析方法を学べる良い本です。このテキストと公式問題集を合わせて学習することでより理解が深まります。
非常にわかりやすく、簿記の知識がない初学者であっても理解しやすい内容になっています。
ビジネス会計検定3級はテキストの内容がそのまま出題されます。テキストによる学習が合格へとつながります。
検定試験を受ける予定はないけど一般知識として財務諸表について勉強したいと思っている人にもおすすめです。体系的に勉強できます。
種類 | 評価 |
テキスト |
おすすめ問題集
問題集の種類が少ないという理由もありますが、ほとんどの受験生が利用している公式の過去問題集です。
問題集であるにもかかわらず、「解答テキストのこの章のこの節を見よ」としか書いてない場合もあり、露骨にテキストの購入をすすめる点が気になります。内容が連動している公式テキストと合わせて学習をすすめなければなりません。
入門者にとってはあまりにも解説が不親切に感じられ、学習がすすまない可能性もあります。
テキストと比べてもこの問題集はよくないと思います。
他社の問題集を利用するのも良いでしょう。
種類 | 評価 |
過去問題集 |
公式の問題集は解説が少なく使いづらいと感じた人にはおすすめの問題集です。
また、公式問題集だけでは物足りない、確実に合格したい、と考える人にもおすすめです。
過去問が2回分、模擬試験問題がそれぞれ2回分掲載されています。公式問題集よりは解説も詳しく丁寧ですです。出題される問題の要点をうまく押さえています。
ビジネス会計検定の受験に関しては、やはり公式テキストは利用した方が良いでしょう。
テキストとこの問題集だけでも合格できます。
種類 | 評価 |
問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年2回(3月上旬と9月上旬の日曜)に実施
お申し込み
6月下旬~7月下旬
12月下旬~翌年1月下旬
受験資格
受験資格の制限は一切ありません。どなたでも受験できます。
試験会場
札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、山口、松山、福岡
受験料
1級:11,550円
2級:7,480円
3級:4,950円
(2024年4月4日現在、各税込)
試験内容
※下記はビジネス会計検定3級についての内容です。
到達目標:会計の用語、財務諸表の構造・読み方・分析等、財務諸表を理解するための基礎的な力を身につける。
【財務諸表の構造や読み方に関する基礎知識】
- 財務諸表とは
- 貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の構造と読み方
【財務諸表の基本的な分析】
- 基本分析
- 成長率および伸び率の分析
- 安全性の分析
- 収益性の分析
- 1株当たり分析
- 1人当たり分析
試験会場へは電卓を持ち込めます。
問題形式:マークシート方式
制限時間:2時間
合格基準
100点満点で70点以上の得点で合格(3級と2級)
1級は200点満点のうち、論述式50点以上かつ全体で140点以上で合格
主催者情報
試験に関する詳しい情報は試験のご紹介|ビジネス会計検定試験をご覧ください。