税理士
難関ですけど科目合格制の採用で社会人でも取得可能な有望資格。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
国家資格 |
3年以上 |
難関 |
10%(注) |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
---|---|---|---|
独立・開業 |
50万円以上 |
学歴要件その他 |
※税理士試験は「科目合格制」を採用しており、一概に合格率を算出できません。科目合格制については当ホームページでも詳しく紹介しています。
最終更新日:2022/11/13
税理士とは
誰でも税理士という職業を耳にしたことがあると思います。企業や個人などの依頼を受けて、税務書類を作成し税金の申告を代理申請するのが税理士の主な業務です。
日本では、会社員の場合、税金の申告は会社ですべて行ってくれるので、税理士に依頼して税の申告をする機会はほとんどありません。
しかし、会社員であっても給料とは別に副業などで所得があれば確定申告をする必要があります。自営業者や大企業・中小企業の経営者の場合も同じように確定申告をして税金を納めなければなりません。
税金を納めるには税務書類の作成をしなければなりませんが、確定申告をするには専門的な知識が必要です。誰にでも簡単にできるものでもありません。
もちろん自分自身で税金の申告をしても問題ないのですが、多くの個人や企業の経営者は税務の専門家である税理士に業務を依頼します。
依頼を受けた税理士は、代理人として書類の作成から税金の申告までおこないます。
税理士には「税務相談」という重要な仕事もあります。顧客から所得金額や税額の計算など、税金に関する内容について相談を受け、それに対して的確なアドバイスをします。
税務書類の作成代理、納税の代理などの業務は税理士の独占業務であることは言うまでもないですが、税に関する相談も税理士の独占業務になっていて、有償、無償を問わず税理士でしかできません。
科目合格制度や科目選択制度が税理士試験の特徴
税理士試験は、特有の制度として科目合格制度と科目選択制度を採用しています。
これは全11科目の中から受験科目を受験生が自由に選べ(一部は必須科目)て、累積して5科目に合格した時点で税理士試験に合格したと認められる制度です。
合格した科目に有効期限はなく永久に有効です。毎年少しずつの科目にチャレンジして、数年かけて合格を狙えます。
税理士試験は難関です。5科目を一発で合格できる人はまずいません。どの科目でも1度や2度は不合格になっている人が多くいます。
関係団体:税理士とは | 日本税理士会連合会
役に立つ資格なのか?
税理士を目指している人は、合格後に資格をどう活かすのかを考えておくことも重要です。
税理士資格の活かし方は多様です。会計事務所や税理士法人で勤務税理士として働くという選択肢もありますし、独立して税理士事務所を構えることも可能です。
そして、税理士資格は転職の可能性を高めてくれる資格です。一般企業や金融機関、ベンチャー企業、コンサルティング会社などへ年齢の壁を越えてチャレンジできます。
税理士の資格を持っていると、大企業・中小企業を問わず就職や転職が有利になります。特に経理部門への転職は圧倒的に有利です。
会社に勤務している税理士の場合、平均年収は700万円程度だと言われています。大手企業の会社員と同じぐらいの収入がもらえます。
年齢は特に関係なく、現場での経験やマネジメントの経験があれば、むしろ年配者の方が就職がしやすくなるメリットもあります。経験によっては部長・役員待遇で迎えられます。
税理士は飽和状態?新規参入は難しい?
税理士の転職は売り手市場で転職先に困らないと言われています。しかし、一方で税理士業界では全体的に税理士が余り気味だとも言われています。どうしてでしょうか?
これは、企業の顧問的な税理士業務が既に飽和状態で、新規参入は難しいと言われているからです。
しかし、ほとんどの税理士は営業活動などしていません。机に向かう事務仕事が中心なので、頭を下げて回る営業活動は苦手なんです。
仮に独立して税理士事務所を開いたとしても、まだまだ営業力次第で新規参入の余地はあります。意味ない資格なんてとんでもないです。
独立にも十分に役立つ資格なので社会人にもおすすめです。
将来性を徹底研究
この資格の活かし方
税理士資格の活かし方、働き方は多様ですが、大きく分けると以下の3通りです。
- 税理士事務所や会計事務所などで税理士として働く
- 一般企業の企業内税理士として税理士資格を活かす
- 税理士事務所を独立開業
会計事務所はもちろん、多くの一般企業でも経理や財務についての専門知識を持つ人材を必要としています。
税理士事務所や会計事務所などでは、税理士資格を採用条件としているところも多く、そのような場合は資格を持っていれば大きな強みになります。
税理士資格は、一般企業への転職に際しても活かせます。経理の経験や英語力、管理職としての経験などがあれば、さらに有利に転職活動を進められ、大企業への転職も可能です。そして転職後は、より専門性が高い業務を任されます。
税理士試験は難関です。合格するには長期間の学習と科目合格を1つずつクリアする根気が必要です。目標に向かって粘り強く努力を続けた資質なども重ねてアピールできます。
そして、独立開業できるのも大きな魅力です。収入が不安定になるリスクはありますが、努力次第で大きな収入を得られます。
税理士法人に転職するには3科目以上の合格が有利
税理士資格の取得に向けて働きながら科目合格を積み重ねている受験生もいます。
会計事務所や税理士法人は、働きながら試験勉強を続けられるため、税理士や科目試験合格者の転職先として人気です。
実際に税理士および税理士科目試験合格者の転職先としては、会計事務所・税理士法人が大部分(80%以上)を占めています。
会計事務所・税理士法人は、経験よりも資格を重要視する傾向があります。大手の税理士事務所では、税理士資格や科目合格(3科目以上)を採用の条件としているところが多いようです。
また、3科目以上合格していなかったとしても、簿記論と財務諸表論に合格していれば採用は有利になります。
関連資格:簿記検定とは
企業内税理士の制度は認められていない
一般企業の経理部門へ転職するのであれば、税理士試験の合格者は抜群に有利です。ただし、一般企業へ転職するのは少数です。税理士合格者の1割もいません。
それは、税理士の資格を持って企業に就職したとしても、税理士としての仕事ができないからです。
税理士と名乗って税理士の仕事をするには、試験合格後に税理士として登録しなければなりません。一般企業に勤務しながら、税理士の登録はできません。企業内の業務として税理士業務をすると税理士法違反になります。
したがって、企業内税理士と定義つけられるような職名は本来存在しません。
従業員が税理士の資格を持っていたとしても、企業内では「税理士の有資格者」に過ぎないということです。税理士と名乗ったり名刺に印刷することもできません。
企業において税務申告の仕事は税理士の資格がなくてもできます。普通の従業員でもできます。
ちなみに、企業に勤務しながら活かせる士業の資格は社会保険労務士だけです。勤務社会保険労務士として登録して企業の社員として働けます。
関連資格:社会保険労務士とは
行政書士や司法書士も事務所を開いて登録しなければ業務をおこなえません。勤務行政書士、勤務司法書士の制度は存在しません。
独立開業できるのが税理士資格の最大の魅力
税理士の資格を持っていると当然ですが税理士として独立開業して事務所を開けます。
サラリーマンを辞めて資格学校へ通って、将来税理士の事務所を開くのを目指している受験生も多くいます。
独立した場合、実力次第であることは当然ですが、1000万円以上の収入も十分可能です。
地方へ行くと、昔からある税理士事務所が地元の会社とずっと付き合っている事が多いので新規参入は容易ではありませんが、まだまだ新規参入の余地は残されています。
相続税法の改正により見込み客が大幅にアップ!
国の税収増加を狙って、2015年度より相続税法が改正されました。
これによって、これまで相続税を納める必要がなかった人でも新たに相続税を納税する対象者になる可能性が出てきました。
相続税の計算や申告といっても、素人が本を読んで勉強しても簡単にはできません。税理士のような専門的な知識が必要です。
今後は、相続税を納めるために個人でも税理士に業務を依頼するケースが増えると予想されています。
つまり、相続税の申告義務を負った税理士の見込み客が一気に増えるということです。
生前から相続についての相談をおこない、相続が発生してからは税務書類の作成から納税までをおこなうような相続税の業務に特化した税理士の需要が増えそうです。
税理士になるには
「科目合格制」で働きながらでも合格は可能
税理士試験は難関な国家資格ですが、科目合格制という制度を採用しているので、計画を立てて試験に望めば決して取得が困難という資格ではありません。
試験は11科目の中から5科目合格すればよく、しかも一度の試験で5科目全てに合格する必要はないので、数回に分けて合格を狙うのが現実的です。
1科目でも合格すれば有効期限はなく、その合格は永久に有効です。初年度で3科目合格すると、翌年以降は2科目だけ勉強すればいいのです。
そのため一発勝負で全ての範囲を同時に勉強する必要はありません。時間をかけて毎年1科目ずつ合格を目指すのであれば、働きながらでも合格は可能です。
税理士試験は超難関ですが、覚悟を決めて学習すれば実は合格を確実に狙える資格です。長く受験勉強を続ければ続けるほど有利になります。
実際に5科目一括合格の人はごくごく稀にいる程度の割合で、ほとんどの人は3年以上かけて最終的に合格しています。働きながらであれば8年ぐらいかけて取得する人もいます。
税理士は、よく公認会計士と比較されますが、公認会計士は科目合格制は採用されておらず(2年間の短答式試験が免除の制度はある)、税理士よりもさらに難関な試験なので、税理士の方が合格しやすいといえます。
関連資格:公認会計士とは
現実はかなり厳しい・・・最終的な合格率はどれくらい?
科目合格制があるので働きながらでも合格は可能、と書きましたが現実はかなり厳しいようです。1科目の合格を単純に5回クリアすれば合格とはいかないようです。
税理士の資格が無くても会社の経理で働いたり、違う会社の経理部門へ転職できてあきらめる人は多くいます。税理士事務所で働きながら勉強をして、数科目だけ合格して挫折する人もいます。
税理士試験の科目ごとの合格率は15%程度です。最終的な合格率は10%と言われていますが、ある程度の事前知識のある人がまじめに数年間勉強すれば、最終的な合格率は3割~4割くらいです。
合格者のほとんどが資格予備校を利用
税理士試験では、ほとんどの人が資格学校や専門的な予備校を利用して学習しています。独学の受験生がほとんどいないのも税理試験の特徴です。
本屋さんへ行っても税理士試験用のテキストや問題集は極端に少なく、合格するための良質な教材を全部揃えるのは非常に困難です。
特に入門者用のテキストが市販では存在しないためため必然的に予備校に頼らざるを得ない状況です。
とは言うものの5科目全部を独学で合格したという人もいます。決して独学での合格が不可能ではないですが、多分簿記の学習をしている人だと思います。
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おすすめの講座
税理士試験の税法科目は、合格者を多く輩出する実績があって知名度もある大手専門学校に通い、そこのカリキュラムに沿ってじっくり勉強することをおすすめします。独学での合格は、相当難しいでしょう。特に税法の独学はやめた方がいいです。
実績、利用者の満足度から言っても、大原が昔から有名で利用者も多くいます。TACはすべてにおいて大原の下といった感じです。その割に値段が高いのでおすすめはできません。
最近は東京CPA、大栄も税理士講座に力を入れています。利用する価値は十分にあります。
おすすめ予備校
- 大原簿記専門学校
- 資格スクール大栄
- 東京CPA会計学院
試験情報
試験日 |
お申込み |
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例年7月下旬から8月上旬頃に3日間 |
例年5月20日頃から月末 |
受験資格 |
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税理士は誰でも受験できる試験ではないのでご注意ください。税理士の受験資格には、学識、資格、職歴の3種類があり、いずれか一つの要件を満たせば受験資格を有します。
【学識による受験資格】
【資格による受験資格】
【職歴による受験資格(業務従事2年以上)】
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試験内容 |
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・会計学に関する2科目(簿記論・財務諸表)は必須
以上の内容について、1回に受験できるのは会計学2科目、税法3科目の合計5科目で、それぞれ筆記試験になります。また、一度に合計の5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもかまいません。 |
試験に関する詳しい情報は税理士試験|国税庁をご覧ください。
おすすめ参考書
先輩に聞いてみよう! 税理士の仕事図鑑 (先輩に聞いてみよう!仕事図鑑シリーズ) |
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税理士と聞くと、やはり税金の計算をおこなうスペシャリストという印象ではないでしょうか。
この本では、税理士試験に合格するまでと、税理士になった後でいかにして仕事を獲得してこなしていくかが非常に詳しく書かれています。多くの人にインタビューし、座談会のような形での色んな話も興味深いです。
当然ですが税理士試験には簡単に合格できませんが、税理士になるまでの苦労と、税理士になってからのやりがい、楽しさが伝わってきます。
これから税理士試験にチャレンジしてみようと思っている人は、税理士として働くとはどういうことかをイメージしながら学習した方がより理解しやすく効率的であるのはおそらく間違いないでしょう。 |
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