証券アナリスト
知名度はあるが大学生が取得しても就職は有利にはならない検定試験。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
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民間資格 |
2年以上 |
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50% |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
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スキルアップ |
5~10万円 |
通信講座受講 |
※1次・2次試験ともに指定の通信講座を受講する必要があるので取得までに2年近くの期間が必要です。合格率は1次・2次ともに50%程度です。
最終更新日:2022/12/24
証券アナリスト(CMA)とは
「アナリスト」とは、「分析する人」「解剖学者」という意味です。
証券アナリストとは、証券投資の分野において各種情報の分析と投資価値の評価を行い、最適な投資方法やアドバイスなどを顧客に対しておこなうプロフェッショナルです。
最適なアドバイスをするには、財務分析や様々な経済指数に基づく高度な専門知識と、数学を基礎とした分析力や統計技術を応用しなければなりません。
このホームページで紹介している証券アナリストとは、日本証券アナリスト協会が認定するCMA資格のことです。
証券アナリストとは、民間の団体が実施する資格(検定)試験であって法律上の規定はありません。
この資格を持っていなくてもアナリストとして証券に関する分析の仕事はできますしアナリストと名乗ることもできます。
しかし、金融業界における知名度は抜群で、銀行、証券会社、保険会社などではこの資格の名前を知らない人はいません。金融機関で「証券アナリスト」というと通常はこの資格を指します。
1962年(昭和37年)に協会が発足して以来現在約27,000人以上の証券アナリスト資格保有者がいます。
主催者サイト:証券アナリスト資格|日本証券アナリスト協会
役に立つ資格なのか?
新卒の大学生が証券アナリストの資格を持っていればアピール材料にはなるので、就職活動は多少なりとも有利になります。
履歴書に書けば、やる気がある学生という評価が得られるメリットはあります。
しかし、今や金融業界には証券アナリストは大勢います。何も証券業界を知ない大学生でも資格を保有しています。
大手の証券会社や銀行になると資格を保有する大学生が新卒で入社するのは珍しくありません。
金融関連の業界は、採用時に最も重視するのは学歴です。資格の有無よりもまずは偏差値の高い有名大学の学生を優先して採用します。これは周知の事実です。
そのため、証券アナリストの資格そのもので採用の合否を分けるとまではいえません。あくまでも参考程度です。取らないよりは取った方がいいでしょう、というレベルです。
しかも民間資格ですから必ず有資格者が必要というわけでもありません。証券アナリストの資格を取得すれば金融機関に就職・転職ができるほど役立つとはいえません。他業種から転職する際も同じです。
そもそもアナリストの求人自体がそれほど多くはありません。例えば証券会社であっても、専門の証券アナリストが必要なのは中堅クラス以上です。国内系・外資系問わず、自社でアナリストを抱える金融機関の数は限られています。
職業としてのアナリスト、資格としての証券アナリストは大きな差があります。仮に証券アナリストの資格を取得しても、職業人としてアナリストに就ける可能性は低いといえます。
将来性を徹底研究
この資格の活かし方
証券アナリストになるには、まずは証券会社や信託銀行、保険会社(生命・損害)、投資顧問会社などに就職する必要があります。そこでキャリアを積んで実績を出して、アナリスト部署配属を目指しましょう。
証券アナリストの資格取得は、就職後であっても十分に可能です。証券アナリストに合格して、その後決められた実務経験を経て検定会員になると仕事上有利になります。
入社時に証券アナリストの2次試験まで受かっていたとしても、新人をいきなりアナリスト現場に配属する証券会社は、一部の超エリート大学卒業生以外はほとんどありません。
アナリストは企業の財務状況を調べる機会が多いので、バランスシート(B/S)が読めないと話になりません。簿記の知識は必要になるので、簿記2級程度までは最低でもマスターする必要があります。
関連資格:簿記検定とは
また、社会のグローバル化に伴って外国の会社の財務状況も調べる機会も増えています。英語は必須ともいえます。
証券アナリストの収入はどれくらい?
ネットで証券アナリストについて調べてみると、やはり年収について気にしている人を多く見かけます。
ファンドや投資という証券に関する用語には一攫千金のイメージがあるからでしょう。
まぁ、どんな職業でもそうですが、証券アナリストだからといって一概に年収が高いとか低いとはいえません。高い人安い人イロイロです。
では、証券会社と銀行、どちらで証券アナリストとして働いた方が年収が高いか?
それほど差はないと思いますが、厳しいノルマがある証券会社の方が、そのノルマを達成した分給料は高いでしょう。
収入・年収の高さとしては、やはり外資系証券会社が高いと一般的には言われています。
調べてみると、日系証券会社で年収は500~1000万円、一方で外資系証券会社は800~1500万円とやや高額傾向です。年収1000万円以上からのスタートの会社もあります。
収入が良い分ノルマもケタ違いなので、やはりそれなりの能力が要求されます。能力が無いと短期間で退職する例も珍しくないので安定という面では欠けてます。
いずれにせよ楽をして高収入を得られるというような甘い世界ではありません。
証券アナリストと証券外務員の資格の違い。
証券アナリストは、証券外務員の資格と比べても難易度はかなり上なので、上位資格であるといえます。
関連資格:証券外務員とは
取得するための勉強においては、証券外務員(一種、二種)と証券アナリストの内容は2~3割ほど重複しています。
証券アナリスト取得者が証券外務員を取得するのは簡単ですが、逆の場合はさらに受験勉強をしなければなりません。
証券アナリストの試験問題は、高度な数学知識が必要で、計算問題も多いです。一方、証券外務員は簡単な暗記モノの出題が中心で計算問題はほとんどありません。
証券外務員試験の試験は、平日であればほぼ毎日実施しているので内定をもらってからでも遅くありません。
まずはFP(ファイナンシャルプランナー)からでも
学生のうちにファイナンシャルプランナー3級あるいは2級を取得している人は少なからずいます。この資格がどれほど役立つかどうかは別として、銀行などでは昇格・昇給の条件としているところもあります。
関連資格:ファイナンシャルプランナーとは
証券会社、銀行のどちらに勤めるにせよ、個人を相手にしたリテール営業をするのであれば、FPで学んだ不動産・相続・その他の民法の知識が役立つ機会もあるでしょう。
FPは国家資格ですから、証券アナリストや証券外務員などの民間資格とは違った価値があります。
新卒で金融機関に就職するのであれば、まずは、証券外務員やFPを取得して、その後に証券アナリストを取得するのが一般的な流れです。入社前にFP2級を取得しておけたらいいでしょう。
合格するには
証券アナリストになるためには、まずは1次(レベル)試験と2次(レベル)試験を突破しなければなりませんが、一般的な資格試験とは違って受験までの流れが複雑です。
下記を参照していただくと理解しやすいと思います。
1次試験を受験するには
まず、最初の1次試験を受けるためには日本証券アナリスト協会が実施している通信講座を一括受講しなければなりません。全部で3科目(6つの学習分野)です。受講料は3科目一括で消費税込60,000円です(別に会員割引有り)。
参照:CMA1次レベル講座を知る・申込む(制度内容、受講料)|日本証券アナリスト協会
年齢、学歴などの制限は一切なく、希望すればどなたでも受講できます
3科目に合格すると第2次レベル講座に進むことができます。1次試験は科目合格制なので1科目ずつ受験できます。
通信講座を受けてから3年間、1年に2回(春と秋)チャンスがあり計6回受験できます。この期間のうちに合格しましょう。
各科目ともマークシート方式で、毎年45~50%の合格率です。難易度は高くはありません。
2次試験を受験するには
2次試験を受けるためにも1次試験と同様に通信講座の受講が必要です。
受講するには、1次試験の3科目全てに合格している必要がありますが、合格年を含めて3年以内に受講を開始しなければなりません。受講料は消費税込みで53,500円です。
通信講座の内容は、1次の3科目に職業倫理・行為基準が加わり、全部で4科目です。
通信講座終了後に2次試験を受験します。2次試験は筆記試験です。毎年35~50%の合格率です。1次試験と比べると範囲が広くなりく、また難易度の高い問題も多くなりますが、極端に難易度が高くなるわけではありません。
2次試験は、受講年度の翌年から3年間、1年に1回計3回の受験が可能です。
証券アナリストの資格は、最終的に第2次試験に合格し、かつ証券分析の実務経験が3年以上と認定されると取得できます。
証券アナリストの全体的な難易度は?
時間をかけて、ある程度しっかり学習すれば市販のテキストだけで合格できますが、数学を苦手としている文系であれば結構時間がかかります。会計も日商簿記1級程度の難易度の問題が出題されます。
数学に関しては、大学入試レベルの統計学の知識が必要です。分散、標準偏差、相関係数、プラス微分を理解していれば大丈夫です。あとは方程式や解法を覚えるだけです。
1次試験は時間をかけて学習すればなんとか合格できますが、2次試験は若干難易度が上がります。試験も年1回なので学習を継続すること自体辛くなる可能性もあります。
協会主催の通信講座とはどういうものか?
証券アナリストは、試験を受ける前年までに通信講座を受講しているのが絶対条件ですが、実は講座といっても本が届くだけです。添削などもありませんし、問い合わせなども受け付けていません。
テキストの質は決して高いとは言えず、試験対策としてもあまり役立つとはいえません。そのためほとんどの受験生は市販のテキスト・問題集を使って学習します。例えばTACのテキストと過去問題集です。受験生のほとんどは通信講座のテキストは全く使用しません。
※金額等の数字は全て2022年11月現在のものです。
まずは無料の資料請求
おすすめの(必須)講座
証券アナリストの資格を得るには、必ず日本証券アナリスト協会の通信教育講座を受講します。
※

CMA1次レベル講座を知る・申込む(受講の申込み)|日本証券アナリスト協会
なお、公式の通信講座以外の通信講座を受講する人も多くいます。LECの通信講座が値段的にもお手頃です。
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試験情報
試験日 |
お申込み |
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1次2次ともに講座の受講が受験の要件となります。初回試験は、受講年度の翌年です。 |
受験資格 |
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試験を受験するために必要な通信講座はだれでも受講できます。 |
試験内容 |
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試験には1次レベル試験と2次レベル試験があります。金額はそれぞれの受験料です。
【1次レベル試験】マークシート方式
【2次レベル試験】論述式
受験料:15,000円(消費税込)
出題内容・範囲:証券分析業務に必要な高度の知識と実務への応用力および職業倫理の習得を問う。テキストの内容が必ずしもそのまま引用されるわけではありません。
出題形式:計算問題等も出題されるが、大部分が記述式の応用問題。正解は1つとは限らず、採点に際して解答に至る論旨展開が重視されます。 |
試験に関する詳しい情報はCMA1次試験に備える・申込む(試験の内容・実施・合否)|日本証券アナリスト協会をご覧ください。
おすすめテキスト・基本書
証券アナリスト 1次対策総まとめテキスト 科目1 証券分析とポートフォリオ・マネジメント 2022年試験対策 | |||||
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証券アナリストを受験する多くの人がこのテキストを使っています。1次試験用に使う教材は、このテキスト(証券、財務、経済の計3冊)と同じくTACの問題集(証券、財務、経済の計3冊)の2種類(合計6冊)でほぼOKです。前提知識のない初学者の人でも実際に多くの人が合格しています。
他にも専門書や参考書は出ていますが、値段も高くわかりずらいので、学習には適していません。特に初学者であればいきなり問題集に挑むのは無理です。テキストを何度から読んでから問題集を解くようにしてください。
※1次試験用のテキストです。証券、財務、経済の3種類があります。購入の際は確認してください。 |
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証券アナリスト 2次対策総まとめテキスト 証券分析 2022年試験対策 | |||||
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証券アナリストの試験は、1次試験同様、2次試験においてもTACのテキストが事実上の公式テキストとなっています。試験会場では多くの受験生がTACのテキスト・過去問を持っています。というか、ほとんどTACです。通信講座のテキストを持っている人は皆無です。
2次試験用に使う教材は、このテキスト(証券、財務、経済の計3冊)と同じくTACの問題集(2次は1冊)の2種類(合計4冊)でほぼOKです。
※2次試験用のテキストです。証券、財務、経済の3種類があります。購入の際は確認してください。 |
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おすすめ問題集
証券アナリスト 1次試験過去問題集 証券分析 2022年試験対策 | |||||
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問題集もTACのテキストが事実上の公式問題集になっています。やはり、試験会場ではTACの過去問を持っている受験生でいっぱいです。
日本証券アナリスト協会からも問題集が送られてきますが、過去問と解答事例だけで解説も詳しくないためあまり実用的ではありません。
その点TACの過去問題集は、問題が論点ごとにうまく整理されていて、理解が進むように工夫されています。論点別の重要度も明示されています。
少しでも合格率を高めたいのであれば、TACの過去問題集を利用して学習しましょう。時間がない人にもおすすめです。
※1次試験用の過去問題集です。証券、財務、経済の3種類があります。購入の際は確認してください。 |
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証券アナリスト 2次試験過去問題集 2022年試験対策 | |||||
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1次試験用の過去問題集は証券、財務、経済の3種類がありますが、2次試験は1冊にまとまっているのでこれだけ買えばOKです。
TACのテキストと過去問題集をやりこめば高い確率で合格できます。他のほとんどの受験生も同じ組み合わせで学習しています。
※2次試験用の過去問題集はこれ1種類です。 |
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