中小企業診断士
企業での評価は高く、社内昇進や転職の際の武器に使える超有望資格。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
国家資格 |
1年以上 |
難関 |
3~5% |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
---|---|---|---|
スキルアップ |
10~30万円 |
誰でも受験可 |
※合格率は1次試験と2次試験を合わせた最終的な数字です。
最終更新日:2023/02/20
中小企業診断士とは
中小企業診断士とは、「中小企業支援法」及び「中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則」という法令に基づき、国が唯一認める企業経営コンサルタントの資格です。
経営コンサルタントの能力を証明する学位として「MBA」が世界的に有名ですが、中小企業診断士の学習内容と非常に近いと言われています。
そのため中小企業診断士は「和製MBA」とも言われています。
中小企業診断会の主催する国家試験に合格した者は、経済産業省へ登録してはじめて中小企業診断士と名乗れるようになります。
関係団体:J-SMECA 中小企業診断協会
管轄省庁:中小企業庁:中小企業診断士とは
中小企業の業務全般に関するアドバイスを行う重要な役割
企業の経営状態を分析して経営上の課題を明らかにし、売上げアップするための解決策を助言・提案するのが経営コンサルタントの仕事です。
簡単に言えば「どうすれば会社が儲かるのか」を提案する仕事です。
日本は昔から、中小企業の割合が大企業と比べて非常に高い国です。総務省の調査では、国内企業の約99.7%が中小企業であることが明らかになっています。
その数は実に380万社を超えており、大企業の何倍もの数です。日本国内の就業者の約3分の2は中小企業が雇用しています。高度経済成長期からずっと日本経済を支えてきたのは中小企業です。
近年中小企業を取り巻く環境は厳しくなっています。円高になれば大企業よりも中小企業が大きな打撃を受けます。逆に円安になっても輸出が拡大して潤うのは大手の製造業だけで、中小企業に恩恵は回ってきません。
そんな中小企業の経営者からの依頼により、企業の経営診断や経営に関する助言・提案を行い、中小企業の業務全般に関するアドバイスをするのが中小企業診断士の役割です。
企業内にとどまって活躍する「企業内診断士」が多い
中小企業診断士は、「企業内診断士」と「独立診断士」の2種類に分類できます。
企業内診断士とは、一般企業の会社員や公務員、団体に属する中小企業診断士のことです。中には社内で「経営コンサルタント」として資格を活かす人もいます。
独立診断士は、独立したプロのコンサルタントのことです。会社組織などに属さず、企業とコンサルタント契約を締結して経営診断にあたります。
また、独立診断士とコンサルティング会社などに勤務する中小企業診断士を合わせプロコン診断士とも呼ぶようです。本当の意味でプロのコンサルタントという分類です。
参照:企業内診断士の実態調査-現状と活躍の可能性について(pdf)
現状の資格保有者のうち、71%が企業内診断士として働いており、独立している人は29%という割合です(2018年3月時点)。
行政書士、社会保険労務士、司法書士、税理士などの他の士業と比べても独立開業者の割合が低い傾向にあります。
自己啓発を目的として受験する社会人が多いのがその理由の1つです。合格しても退職せず会社員を続けながら中小企業診断士として登録することも可能なので、あえて退職する必要もありません。
安定した会社員の立場を捨てて独立したら年収が下がるケースも考えられます。開業直後の不安は拭えません。
役に立つ資格なのか?
「中小企業診断士は独立するための資格」と紹介しているサイトも多いようですが、実際は就職や転職に役立つ資格です。
中小企業だけではなく、上場企業をはじめとした大企業でもこの資格に対する評価は高いです。
そのため、社会人が就職や転職の際に履歴書に書けば大いにアピールできるメリットがあります。
もちろん社内での評価もアップします。難関の国家資格なので、会社で昇給や昇進などのスキルアップにも役立つ資格です。
中小企業診断士の受験生の多くは社会人です。30~50代が受験生全体の8割以上を占めてるのも大きな特徴です。中でも30代が約32%、40代が約30%の構成比で最も多くなっています。
参照:過去の試験結果・統計資料
つまり、学生が就職に備えて取得する資格ではなく、また、社会人が会社を辞めて勉強に専念して取得する資格でもありません。あくまでも社会人が現状からステップアップ・スキルアップに活かすために取得する資格であると言えます。
中小企業診断士の主な仕事は、中小企業に対する経営アドバイスですが、行政や金融機関との間に入った相談役として、また税理士にはできないような経営上の相談役といったかなり専門性の高い相談業務も行います。
中小企業診断士の勉強を通じて米国のMBAのような知識を得られるので、最近はビジネスとして経営学を志す者や、大学生等の受験者も増加しています。
将来性を徹底研究
この資格の活かし方
中小企業診断士は、独占的に特定の業務を行える業務独占資格とは違い、名称独占資格と呼ばれる分類の資格です。
つまり、中小企業診断士と名乗らなければ、誰でも経営に関するアドバイスをするコンサルタントの業務を行うことは可能です。
しかし、中小企業診断士は国が認めた唯一の経営コンサルタントの国家資格です。難関な試験に合格しなければ中小企業診断士と名乗れません。取得することで自身の能力を客観的に証明することができます。
怪しい「経営コンサルタント」の看板を掲げる会社が多い中、国家資格というだけでその効果は絶大です。
また、経済産業省令では、中小企業支援事業における経営診断又は助言を担うものとして中小企業診断士が規定されています。
そのため、独立して経営コンサルタントの事務所を開けば、都道府県や商工会議所などから公的なコンサルタントの業務を受注することも可能です。
名の知れた中小企業診断士として認められれば、経営コンサルティングだけにとどまらず、講演活動、執筆活動など、活躍の幅は広がります。
中小企業診断士と相性の良い資格
中小企業診断士は、経営学やマーケティングのほか、財務・会計、経済全般、さらには経営法務や情報システムといった幅広い知識を備えたコンサルタントの専門家です。
汎用性が高く特定の業務に縛られないため、他の専門性の高い資格とも相性がよく、合わせて取得すればさらに強力な武器となります。
例えば、企業で働く中小企業診断士であれば、他の保有資格として多い順に、ファイナンシャルプランナー(17.9%)、情報処理技術者(16.8%)、販売士(8.1%)があげられます。
参照:企業内診断士の保有資格 | 企業内診断士の実態調査(pdf)
ファイナンシャルプランナーが多いのは、金融機関に勤務する中小企業診断士が多いためです。
基本情報技術者や応用情報技術者、ITパスポートなどの情報系の資格も中小企業診断士とは相性が良いです。パソコン・コンピュータの技術は、企業を多角的に経営分析するには欠かせません。
販売士は民間検定ですが、マーケティングなどの専門的な知識を学ぶ点では中小企業診断士と共通しています。
また、独立している中小企業診断士であれば、税理士、社会保険労務士と合わせて開業するケースも多いようです。
税理士であれば、顧問先から経営相談を受ける機会もあります。工程改善などの知識を身に付けるために中小企業診断士を取る人が多いようです。
労務管理の分野では中小企業診断士と社会保険労務士の業務が重なるので、合わせて持っていればワンストップでサービスで済みます。
企業の基幹システムを開発するエンジニア、税理士、公認会計士、社会保険労務士など、元々高い専門性を有している人が、「企業経営について学びたい」という動機で中小企業診断士を目指すようです。
合格するには
中小企業診断士試験合格までの平均受験回数は3回ほど、1回つまり最初の受験で合格できる人は5%未満と言われてます。
また、必要な勉強時間は1000~1500時間と言われているので、1日に2~3時間ほど勉強しても1年以上はかかります。
日中仕事をしているビジネスマンであれば勉強に当てられる時間も違いますから、合格までに1年以上の期間を見ておいた方がよいでしょう。
中小企業診断士試験の合格率と難易度
中小企業診断士試験の最終の合格率は4~5%台なので、難易度はかなり高いです。
試験は1次試験と2次試験からなります。1次試験はマークシートの試験です。2次試験は論述試験と口述試験です。
1次試験には科目合格制度を導入しているのも特徴の1つです。
1次試験には7科目ありますが、一度の試験で全て合格する必要はなく、1科目ごとに合格・不合格が決まる制度です。
科目合格は3年間有効なので、3年間で7科目全て合格すれば1次試験突破になります。もちろん科目免除を希望する際は、必ず事前に免除申請をしなければなりません。
受験生の多くは社会人なので、少しでも負担を和らげようというありがたい制度です。
1次・2次試験ともに、合格率は20%ほどです。
2次試験の合格率は20%ですが、1次試験に合格した中でのさらに20%ですから、体感的にさらに難易度は高く感じられるはずです。全体の受験生の5%しか合格できない難関試験と思って挑んでください。
2次試験を受けずに中小企業診断士になるウラワザも!
中小企業診断士になるためには、1次試験と2次試験に合格後、実務講習をクリアする必要があります。この3段階を経て、ようやく中小企業診断士として登録ができます。
実務補習とは、試験の主催団体でもある中小企業診断協会が実施している15日間の講習です。講習の内容は、実際の企業の経営診断やそれに基づくアドバイスなどです。
これが最も一般的な方法で、大半の受験生はこの方法で最終的にが2次試験に合格し、実務補習を受講して登録まで済ませています。
しかし、これ以外にもう一つ中小企業診断士になるための離れワザがあります。かなりのウルトラCとも言えます。
それが「中小企業診断士の養成課程」による最終合格という方法です。
1次試験に合格した後に、各種機関が実施している中小企業診断士の「養成課程」を受講・修了すれば、難関とされる2次試験と15日間の実務補習が免除されるんです!
もちろん無条件で養成課程を受講できるワケではなく、事前に試験(審査)はありますが、中小企業診断士の2次試験と比べれば格段に難易度は低いです。
学費は200万円前後するので安くはないですが、入ったら基本的には卒業出来るためほぼ確実に中小企業診断士になれます。
最近では、2次試験を受験せずにこの養成課程を修了して登録資格を得る人が増加傾向にあります。
期間も、6か月(平日開催)、1年(平日)、2年(週末)、2年(夜間)などと様々なコースが用意されているので時間がない社会人でも通学可能です。
まずは無料の資料請求
いろんな講座を比較検討することもできます。
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中小企業診断士の試験は8月の1次試験から10月の2次試験までにわずか2ヶ月しかありません。しかも択一式の1次試験とは違って2次試験は筆記試験となります。
フォーサイトのテキストは、1次試験と2次試験の学習を同時にすすめるのが特徴です。最初から2次試験の学習をすすめることにより企業経営理論、財務会計、運営管理の学習に対する理解を深めることにより相乗効果を上げて、合格を目指すのがフォーサイトの特徴です。
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試験情報
試験日 |
お申込み |
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【1次】例年8月上旬の2日間 |
例年4月上旬~5月上旬 |
受験資格 |
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【1次】どなたでも受験できます。 |
試験内容 |
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試験実施地区:札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇の8地区
【2次】1次合格者のみ
合格基準:
【2次試験】
【合格発表】
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