USCPAの将来性と難易度は?合格率・費用・転職の現実を解説

パソコンを操作するアメリカ人の会計士

実力が求められる業界、合格しただけでは就職や転職は有利にならない

種類難易度合格率
米国国家資格難しい約40%
受験資格取得費用勉強時間
大学卒業等120~150万円1年以上
活かし方全国の求人数おすすめ度
スキルアップ3件
  • 合格率は日本人についてです。
  • 受験資格は受験する州によって異なります。
  • 全国の求人数はハローワークの情報を基に2026年5月16日に集計していますが、求人需要の多くは一般公募ではなく、外資・国際業務に強い民間の転職エージェント等で取り扱われています。

日本の公認会計士に該当する米国の資格です。

実力社会の米国の資格ですから日本人が取得したからといって就職や転職が有利になると過度に期待しない方がいいでしょう。

難易度は決して高くはありませんが受験するには学歴要件もあり英語力も必要です。

取得費用・維持費用などが高く、ただ取得するだけではもったいないです。

目次

USCPAとは

オフィス街を歩く白人男性

日本の公認会計士に該当する米国資格

USCPA(U.S. Certified Public Accountant)とは、会社経営に不可欠な会計・税務・財務などの基本的な能力があるとアメリカ合衆国の各州が認定する会計士資格です。

試験は、全米州政府会計委員会(NASBA)によって実施されます。

アメリカ合衆国の国家資格に該当しますが、日本をはじめとする世界の多くの国で受験できます。

受験資格は受験する予定の州によって異なります。

多くの州で「大学の学士号取得、または会計科目やビジネス科目などの単位を取得している者」に制限しているため、日本人であればまず受験資格を得るのが大変です。

合格後は、ライセンスを取得した州、もしくはMRA(国際相互承認協定)参加国(例:カナダ、オーストラリア、香港など)で、会計や監査業務を行うことができます。

公式サイト:CPA Exam|NASBA

USCPAは米国各州の会計委員会が認める公認資格です。日本国内では独占業務権限を持たないため民間資格と同等の扱いとなりますが、外資系企業やグローバル企業の財務・会計部門、大手監査法人の国際部門等で高く評価されます。

USCPA保持者が日本国内で「会計士」や「公認会計士」と紛らわしい名称を単独で名乗ること(公認会計士法第37条等の名称独占規程)や、監査報告書に署名することは法律で禁止されています。

どこの州で受験しても同じ試験内容

誤解している人が多いようですが、どこの州で受験してもUSCPAの試験には難易度の違いはありません。

全米州政府会計委員会が実施する統一の試験です。

つまりどこの州で受験しても同じ問題です。

資格予備校などは「アラスカ州、ワシントン州、グアム、バーモント州などが受験しやすい州」と紹介していますが、これは「受験資格の要件が緩やかな州」であるに過ぎません。

※米国弁護士試験の場合、州によって試験内容が異なるため難易度や合格率は違います。

役に立つ資格なのか?

オフィスで話しあう男性

USCPAは単なる道具・手段のひとつ

USCPAを紹介する資格予備校のサイトを見ると、受講生を一人でも多く集めようとどこも夢のような文言で溢れています。

例えば、一例として・・・

  • 外資系・グローバル企業への就職や転職が有利
  • 監査法人やコンサルティングファームへの就職・転職の道が開ける
  • 日本国内だけではなくグローバルなキャリア形成に役立てられる
  • 監査法人に就職すると30代で年収1,000万円も可能

カタカナの外来語をいっぱい並べて資格取得のメリットをPRしています。

こんな文章を目にすると、自分の殻を破って閉塞感漂う日本を脱出して世界で活躍する自分を想像してしまいます。

「道が開ける」「・・・も可能」って少々曖昧な表現ですけど、あくまでも可能性であって嘘や偽りではありません。

けれど、こういった少々大げさな表現を信じない方がいいです。現実は想像以上に厳しいです。

全世界でUSCPAの登録者は100万人以上いると言われています。

合格すれば就職や転職はなんとかなるというものではありません。

USCPAに合格しただけでは就職や転職は決して有利にはならないということです。

持っているだけではそれほど価値はありません。

思いの外メリットは少ないんです。

転職に際しては第一にそれまでの実績・キャリアが求められます。

もちろん合格後もたゆまぬ努力と向上心を持ってレベルアップすることが前提となっています。

USCPAとは実力主義が前提の資格です。

単に自分を活かすための道具にすぎません。その点日本とは考え方がかなり異なります。

20代〜30代前半であれば、英語力とUSCPAの組み合わせで大手監査法人(Big4)の国際部門などに未経験から採用されるケースはあるようです。

ただし、年齢が上がるにつれて実務実績が強く求められます。単なる資格保持だけでは有利になりにくい点に注意が必要です。

日本で比較的偏差値の高い大学を優秀な成績で卒業して、在学中に日本の公認会計士試験に合格してしかも英語も堪能・・・そんな人が仕事で必要なのでUSCPAを取得する、あるいはグローバル企業へ転職するためにUSCPAの試験に挑戦するのであれば理解できます。

ステップアップする明確な道筋が描けていなければ止めた方がいいです。

ただ漠然と就職や転職に活かせそうという理由だけで挑戦するのであれば英語力を証明するだけで終わります。

それならTOEICで高得点を目指す方がよほど就職や転職に活かせます。

将来性について徹底研究

米国のウォールストリート

この資格の活かし方

日本国内でUSCPAの有資格者が求められるのは、外資系企業の経理職、海外の会社と取引のある監査法人・会計事務所などです。

こういった企業・法人であれば日本の一般企業より給与面では恵まれています。

しかし、それまでの経験や実績が問われ高い専門性を求められます。中途採用の門戸は広いとは言えません。

外資系企業だけではなく、日本国内の企業であってもキャリアアップや転職に活かせます。

グローバル化を推進する日本の企業であれば、海外子会社や海外の取引企業の経営分析を行う際に英文の財務諸表を読みとれる実力が求められます。

さらに、海外で働きたい人にはUSCPAは自己PRの強力な材料になります。

試験はもちろん英語で出題されるので、合格すれば「英語での監査業務ができる」という英語力の証明につながります。

日本の公認会計士とUSCPAは難易度と受験資格が違う

公認会計士とUSCPA、どう違うの?どちらを目指すべき?

こう迷っている大学生や社会人もいるのではないでしょうか。

まず前提として、公認会計士は日本における国家資格ですが、USCPAは日本国内で独占業務がある国家資格ではありません。

参考:公認会計士とは

公認会計士は日本において監査法人などで監査や会計といった独占業務を行えます。

そして、将来的には独立開業して事務所を開設することも可能です。

一方、USCPAは米国の資格であって、取得した州やMRA(国際相互承認協定)参加国以外では監査業務や会計業務に就けません。

もちろん日本では監査報告書にサインはできません。

さらに申し上げますと、そもそも両者は難易度のレベルが違います。

公認会計士試験は、一般的に合格までに3年以上の勉強期間(約3,600時間以上)を要する難関試験です。

合格した時点で「会計のエリート」とみなされ、就職や転職先には困りません。

税理士の資格も得られるので税理士事務所も開けます。

USCPAは、公認会計士と比べると難易度は低く、1年程度(約1,000~1,300時間)の勉強で合格できると言われています(英語力によってかなり差がある)。

そのため、USCPAに合格しても実務経験がなければ就職先は限られます。

外資系の経理への転職には役立ちますが、どちらかと言えば経理部門に勤める人のキャリアアップの資格という位置付けです。

日本国内で就職や転職を有利にして食うに困らないお金が欲しいのであれば、難易度は高いですが日本の公認会計士の方がおすすめです。

また、受験資格の制限にも大きな違いがあります。

公認会計士は、以前は大学や短大を卒業していなければ受験できませんでしたが、2006年度の制度改正で受験資格の制限はなくなりました。

現在は年齢や性別・学歴などを問わずに誰でも受験できます。

一方、USCPAは受験する州によって受験資格やライセンス取得要件が決められており、多くの州では大学卒業(必要単位取得)が条件となっています。

英語力は合格するためにどれくらい必要?

試験は日本で受験しても英語で実施されますから当然ですが英語力も必要です。

英語の試験問題と聞くと難易度が高そうに感じられますが、一体どのくらいの英語力が必要なのでしょうか。

結論から言うと、大学受験で学ぶレベルの英語力があれば合格は可能です。

特別に難しい英単語や文法の問題が出題されることはありません。

TOEICで750点以上、英検なら準1級~2級であれば合格できるのではないでしょうか。

仮に、日本国内で予備校を利用して勉強するのであれば、テキストや参考書は日本語で書かれています。ハイレベルな英語力は求められません。

リーディングの基本を押さえ、さらに会計用語などの専門的な英単語をマスターすれば合格の確率は上がります。

英語力に関しては過度な心配はいりません。

合格までの総費用はどれくらい?

USCPAを取得するための予備校代や受験料など、最終的に一体どれくらい費用がかかるのか気になるところです。

歴史的な円安(1ドル=150円超)の影響と、AICPA/NASBAによる受験料自体の値上げにより、日本国内受験の場合の費用は現在高騰しています。

ざっくりと総費用は120万円〜150万円くらい見ておいた方がよさそうです。内訳は以下です。

  • 学習にかかる予備校費用:50万円~80万円
  • 受験資格を得るための費用:2万円~
  • 4科目一発合格の場合でも受験料総額は約50万〜55万円(日本会場手数料および為替による)となります。不合格になり再受験する場合は、1科目につき約13万円の追加費用が発生します。

受験資格を得るには指定の単位を取得していなければなりません。

不足する単位の取得は予備校を利用します。不足する単位の数によって費用は変わります。そのため費用に幅があります。

「受験資格を得るための費用」とは学歴審査のことで、日本の大学を卒業しているのであれば学歴の証明が必要になります。

学歴審機関により料金は異なります。

USCPAの試験は合格までに思ったより費用がかかります。資格マニアがとりあえず受験というワケにはいきません。

合格後も維持費が必要

さらに、合格後は資格を維持するために「ライセンス更新料」と「CPE受講費用」の2つを支払わなければなりません。

3年に1度ライセンスを更新しなければならず、1回の更新費用は230ドル(3万円以上)です。

CPE受講費用とは講座受講のことです。一旦合格しても会計士としての能力を維持するために定期的に一定単位を取得する義務が課せられます。

CPE業者により異なりますが、1年で概ね200ドル程度の料金となります。

ライセンス更新料とCPE受講費用を合わせて年間の維持費用は約280ドルほど、日本円で換算すると4万円程度の出費となります。

合格するには

握手する米国人ビジネスマン

問題文が読める程度の英語力が必要

試験の合格率は、主要科目(FAR・AUD)単体で見ると40%台前半、日本在住の受験生全体の合格率は概ね40%前後です(新試験制度2024〜2025年累計)。

数字だけで判断すると全体の半数程度が合格しているので、難易度としては大したことないと思うかもしれません。

しかし、4年制大学卒業(一定の単位取得)が受験資格となっていて、さらに英語のスキルも求められます。

受験生のレベルが元々高い上での40%ですから十分に時間をかけて勉強しないと合格できません。

合格に必要な勉強時間の目安は、会計知識そしてなんと言っても英語力によって左右されます。

ネット上では、「USCPAは簡単、簿記二級程度」「誰でも合格できる試験」なんて誤った情報を目にしますが、それは間違っています。

仮に、英語の問題文をスラスラ読めるほどの英語力と会計に関する専門知識を習得していても、現実的には1年以上、時間にして1,000時間以上は勉強しなければ合格できません。

英語力が不足しているのであれば、さらに必要な勉強量も増えます。

出題科目は全部で4科目あり、1科目ずつの受験が可能です。

出題形式は4択問題(MC)および、実務シナリオに基づく数値入力や穴埋めなどの総合問題(TBS)で構成されています。

総合的な知識が試されるため十分な勉強時間が必要です。

受験生の多くは社会人です。働きながら勉強を続けて合格を目指しています。

予備校を利用するのがおすすめ

合格したいのであれば、率直に申し上げてアビタスのような予備校を利用するのがおすすめです。

独学で洋書問題集を使用する場合は、UWorld(旧Wiley)やBecker、Gleimなどが主流ですが、英語での専門用語理解にかなりの労力を要するため、日本語解説が充実した予備校(アビタス等)を利用するのが一般的です。

しかし、読むためにはそれなりの英語力が必要です。

独学であれば、TOEICで最低でも860点なければ前へ進めません。最悪、途中でやる気が失せます。

一方、アビタス等で勉強するのであれば、テキスト・問題集及び解説は日本語訳があります。

試験対策に必要な言い回しや単語を覚えれば良いので、TOEICは750程度で大丈夫です。

USCPAは、受験制度だけではなく受験手続が煩雑です。自分で調べるよりも予備校に聞く方が確実です。

独学でやろうとしても新たに単位などの取得が必要であれば結局予備校を使わざるをえません。

日本語で学んで確実に合格したいのであれば、予備校に通うことをおすすめします。

なお、予備校の教材に加えてBecker等の米国問題集(洋書・問題バンク)を併用して演習量を補う受験生も多くいます。

試験情報

日程・出題内容・合格基準・その他

試験日

Core科目は通年受験可能(任意の日時)、Discipline科目は年4回の指定期間(Testing Window)のみ受験可能

お申し込み

随時

受験資格

必要とされる科目や単位数は米国の州によって異なります。

試験会場

東京、大阪、アメリカ合衆国各州

受験料

検定料は出願する州によって異なり、100~200ドル程度。

※1科目あたり約13万円(日本会場手数料および出願料等含む・ドル為替により変動)

試験内容

試験方法:全米統一の試験内容で、PCで回答を入力します。
【試験科目】

必須3科目+選択1科目の合計4科目において合格

【必須科目(Core)】

  • FAR(財務会計・報告)
  • REG(諸法規)
  • AUD(監査及び証明業務)

【選択科目(Discipline)※下記から1科目を選択】

  • BAR(ビジネス分析及び報告)
  • ISC(情報システム及びコントロール)
  • TCP(税法遵守及び計画)

試験時間:4科目、試験時間はそれぞれ4時間です。

合格基準

いずれの科目も99点満点で、75点以上で合格。一度に全科目合格する必要はなく科目合格制度があります。科目合格の有効期限は出願する州によって30ヶ月〜36ヶ月です。

合格発表

AICPA/NASBAが公表する四半期ごとのスコアリリース日に準ずる(Core科目は数週間〜1ヶ月程度、Discipline科目は指定の発表日)

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