USCPAの将来性は?難易度や合格率・受験資格などを解説
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | 難しい | 42% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
大学卒業等 | 80万円~ | 1年以上 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
スキルアップ | 3件 |
- 日本国内では民間資格の扱いです。合格率は日本人についてです。
- 受験資格は受験する州によって異なります。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年7月12日に集計。
USCPAとは、会社経営に不可欠な会計・税務・財務などの基本的な能力があるとアメリカ合衆国の各州が認定する会計士資格です。
実力社会の米国の資格です。日本人が取得したらかといって就職や転職が有利になると過度に期待しない方がいいでしょう。
難易度は決して高くはありませんが受験するには学歴要件が求められ英語力も必要です。
取得費用・維持費用などが高く、ただ取得するだけではもったいないです。
USCPAとは
日本の公認会計士に該当する米国資格
USCPA(U.S. Certified Public Accountant)とは、会社経営に不可欠な会計・税務・財務などの基本的な能力があるとアメリカ合衆国の各州が認定する会計士資格です。
試験は、全米州政府会計委員会(NASBA)によって実施されます。
アメリカ合衆国の国家資格に該当しますが、日本をはじめとする世界の多くの国で受験できます。
受験資格は受験する予定の州によって異なります。
多くの州で「大学の学士号取得、また会計科目やビジネス科目などの単位を取得している者」に制限しているため、日本人であればまず受験資格を得るのが大変です。
合格後は、ライセンスを取得した州、もしくはMRA(国際相互承認協定)参加国(例:カナダ、オーストラリア、香港など)で、会計や監査業務を行うことができます。
公式サイト:CPA Exam|NASBA
どこの州で受験しても同じ試験内容
誤解している人が多いようですが、どこの州で受験してもUSCPAの試験には難易度の違いはありません。
全米州政府会計委員会が実施する統一の試験です。
つまりどこの州で受験しても同じ問題です。
資格予備校などは「アラスカ州、ワシントン州、グアム、バーモント州などが受験しやすい州」と紹介していますが、これは「受験資格の要件が緩やかな州」であるに過ぎません。
※米国弁護士試験の場合、州によって試験内容が異なるため難易度や合格率は違います。
役に立つ資格なのか?
USCPAは単なる道具・手段のひとつ
USCPAを紹介する資格予備校のサイトを見ると、受講生を一人でも多く集めようとどこも夢のような文言で溢れています。
例えば、一例として・・・
- 外資系・グローバル企業への就職や転職が有利
- 監査法人やコンサルティングファームへの就職・転職の道が開ける
- 日本国内だけではなくグローバルなキャリア形成に役立てられる
- 監査法人に就職すると30代で年収1,000万円も可能
カタカナの外来語をいっぱい並べて資格取得のメリットをPRしています。
こんな文章を目にすると、閉塞感漂う日本を脱出して自分の殻を破って世界で活躍する自分を想像してしまいます。
「・・・道が開ける」「・・・も可能」って少々曖昧な表現ですけど、あくまでも可能性であって嘘や偽りではありません。
けれど、こういった眉唾もの誇大な表現を鵜呑みにしない方がいいです。現実は想像以上に厳しいです。
全世界でUSCPAの登録者は100万人以上いると言われています。
合格すれば就職や転職はなんとかなるというものではありません。
USCPAに合格しただけでは就職や転職は決して有利にはならないということです。
持っているだけではそれほど価値はありません。
思いの外メリットは少ないんです。
転職に際しては第一にそれまでの実績・キャリアが求められます。
もちろん合格後もたゆまぬ努力と向上心を持ってレベルアップすることが前提となっています。
USCPAとは実力主義が前提の資格です。
単に自分を活かすための道具にすぎません。その点日本とは考え方が異なります。
日本で比較的偏差値の高い大学を優秀な成績で卒業して、在学中に日本の公認会計士試験に合格してしかも英語も堪能・・・そんな人が仕事で必要なのでUSCPAを取得する、あるいはグローバル企業へ転職するためにUSCPAをの試験に挑戦するのであれば理解できます。
全くの未経験者がUSCPAに合格したからと言っていきなり監査法人へ転職などというのはさすがに難しいでしょう。
ステップアップする明確な道筋が描けていなければ止めた方がいいです。
ただ漠然と就職や転職に活かせそうという理由だけで挑戦するのであれば英語力を証明するだけで終わります。
それならTOEICで高得点を目指す方がよほど就職や転職に活かせます。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
日本国内でUSCPAの資格が求められるのは、外資系企業の経理職、海外の会社と取引のある監査法人・会計事務所などです。
こういった企業・法人であれば日本の一般企業より給与面では恵まれています。
しかし、それまでの経験や実績が問われ高い専門性を求められます。中途採用の門戸は広いとは言えません。
外資系企業だけではなく、日本国内の企業であってもキャリアアップや転職に活かせます。
グローバル化を推進する日本の企業であれば、海外子会社や海外の取引企業の経営分析を行う際に英文の財務諸表を読みとれる実力が求められます。
さらに、海外で働きたい人にはUSCPAは自己PRの強力な材料になります。
試験はもちろん英語で出題されるので、合格すれば「英語での監査業務ができる」という英語力の証明につながります。
日本の公認会計士とUSCPAは難易度と受験資格が違う
公認会計士とUSCPA、どう違うの?どちらを目指すべき?
こう迷っている大学生や社会人もいるのではないでしょうか。
まず前提として、公認会計士は日本における国家資格ですが、USCPAは日本においては単なる検定試験にすぎないということです。
参考:公認会計士とは
そのため、公認会計士は日本において監査法人などで監査や会計といった独占業務を行えます。
そして、将来的には独立開業して事務所を解説することも可能です。
一方、USCPAは米国の資格であって、取得した州やMRA(国際相互承認協定)参加国以外では監査業務や会計業務に就けません。
もちろん日本では監査報告書にサインはできません。
さらに申し上げますと、そもそも両者は難易度のレベルが違います。
公認会計士試験は、一般的に合格までに3年以上の勉強期間(約3,600時間以上)を要する難関試験です。
合格した時点で「会計のエリート」とみなされ、就職や転職先には困りません。
税理士の資格も得られるので税理士事務所も開けます。
USCPAは、公認会計士と比べると難易度は低く、1年程度(約1,000~1,300時間)の勉強で合格できると言われています(英語力によってかなり差がある)。
そのため、USCPAに合格しても実務経験がなければ就職先は限られます。
外資系の経理への転職には役立ちますが、どちらかと言えば経理部門に勤める人のキャリアアップの資格という位置付けです。
日本国内で就職や転職を有利にして食うに困らないお金が欲しいのであれば、難易度は高いですが日本の公認会計士の方がおすすめです。
また、受験資格の制限にも大きな違いがあります。
公認会計士は、以前は大学や短大を卒業していなければ受験できませんでしたが、2006年度の制度改正で受験資格の制限はなくなりました。
現在は年齢や性別・学歴などを問わずに誰でも受験できます。
一方、USCPAは受験する州によって受験資格やライセンス取得要件が決められており、多くの州では大学卒業(必要単位取得)が条件となっています。
英語力は合格するためにどれくらい必要?
試験は日本で受験しても英語で実施されますから当然ですが英語力も必要です。
英語の試験問題と聞くと難易度が高そうに感じられますが、一体どのくらいの英語力が必要なのでしょうか。
結論から言うと、大学受験で学ぶレベルの英語力があれば合格は可能です。
特別に難しい英単語や文法の問題が出題されることはありません。
TOEICで750点以上、英検なら準1級~2級であれば合格できるのではないでしょうか。
仮に、日本国内で予備校を利用して勉強するのであれば、テキストや参考書は日本語で書かれています。ハイレベルな英語力は求められません。
リーディングとライティングの基本を押さえ、さらに会計用語などの専門的な英単語をマスターすれば合格の確率は上がります。
英語力に関しては過度な心配はいりません。
合格までの総費用はにどれくらい?
USCPAを取得するための予備校代や受験料など、最終的に一体どれくらい費用がかかるのか気になるところです。
ざっくりと総費用は80万円~120万円くらい見ておいた方がよさそうです。内訳は以下です。
- 学習にかかる予備校費用:30万円~90万円
- 受験資格を得るための費用:2万円~
- 受験にかかる費用(受験料):30万円(1回不合格ごとに7万円)
受験資格を得るには指定の単位を取得していなければなりません。
不足する単位の取得は予備校を利用します。不足する単位の数によって費用は変わります。そのため費用に幅があります。
「受験資格を得るための費用」とは学歴審査のことで、日本の大学を卒業しているのであれば学歴の証明が必要になります。
学歴審機関により料金は異なります。
受験料は、不合格になり受験回数が1回増えるごとに約7万円追加になります。
USCPAの試験は合格までに思ったより費用がかかります。資格マニアがとりあえず受験というワケにはいきません。
合格後も維持費が必要
さらに、合格後は資格を維持するために「ライセンス更新料」と「CPE受講費用」の2つを支払わなければなりません。
3年に1度ライセンスを更新しなければならず、1回の更新費用は230ドル(3万円以上)です。
CPE受講費用とは講座受講のことです。一旦合格しても会計士としての能力を維持するために定期的に一定単位を取得する義務が課せられます。
CPE業者により異なりますが、1年で概ね200ドル程度の料金となります。
ライセンス更新料とCPE受講費用を合わせて年間の維持費用は約280ドルほど、日本円で換算すると4万円程度の出費となります。
ただ持っているだけの資格ではないようです。
合格するには
問題文が読める程度の英語力が必要
試験の合格率は、受験者全体では57.7%(2020年)、日本人だけで見ると41.2%(2019年)です。
数字だけで判断すると全体の半数程度が合格しているので、難易度としては大したことないと思われるかもしれません。
しかし、4年制大学卒業(一定の単位取得)が受験資格となっていて、さらに英語のスキルも求められます。
受験生のレベルが元々高い上での40%ですから十分に時間をかけて勉強しないと合格できません。
合格に必要な勉強時間の目安は、会計知識そしてなんと言っても英語力によって左右されます。
ネット上では、「USCPAは簡単、簿記二級程度」「誰でも合格できる試験」なんて誤った情報を目にしますが、それは間違っています。
仮に、英語の問題文をスラスラ読めるほどの英語力と会計に関する専門知識を習得していても、現実的には1年以上、時間にして1,000時間以上は勉強しなければ合格できません。
英語力が不足しているのであれば、さらに必要な勉強量も増えます。
出題科目は全部で4科目あり、1科目ずつの受験が可能です。
出題形式は4択問題や数値入力・穴埋めなどの総合問題のほか記述問題もあります。
総合的な知識が試されるため十分な勉強時間が必要です。
受験生の多くは社会人です。働きながら勉強を続けて合格を目指しています。
予備校を利用するのがおすすめ
合格したいのであれば、率直に申し上げてアビタスのような予備校を利用するのがおすすめです。
独学で勉強する場合、USCPAの学習で最もポピュラーな問題集「Wiley(ワイリー)」を利用することになります。
しかし、読むためにはそれなりの英語力が必要です。
独学であれば、TOEICで最低でも860点なければ前へ進めません。最悪、途中でやる気が失せます。
一方、アビタス等で勉強するのであれば、テキスト・問題集及び解説は日本語訳があります。
試験対策に必要な言い回しや単語を覚えれば良いので、TOEICは750程度で大丈夫です。
しかも、受験制度だけではなく受験手続も煩雑です。自分で調べるよりも予備校に聞く方が確実です。
独学でやろうとしても新たに単位などの取得が必要であれば結局予備校を使わざるをえません。
日本語で学んで確実に合格したいのであれば、予備校に通うことをおすすめします。
下記より説明会の申し込み&資料請求ができます。
予備校の問題集+本場米国の問題集も解けばより合格に近づくでしょう。
テキスト・問題集・参考書
おすすめ問題集
USCPAの学習で最もポピュラーなのが「Wiley(ワイリー)」の問題集です。合格した人の多くはこちらを利用しています。
学習するにあたり、予備校に通っていると問題集も当然ついてきます。
しかし、予備校のテキストや問題集だけでは不十分で、米国の問題集も使って合格したという人が多いようです。
種類 | 評価 |
問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
任意の日時
お申し込み
随時
受験資格
必要とされる科目や単位数は米国の州によって異なります。
試験会場
東京、大阪、アメリカ合衆国各州
受験料
検定料は出願する州によって異なり、100~200ドル程度。
試験内容
試験方法:全米統一の試験内容で、PCで回答を入力します。
【試験科目】
- Financial Accounting & Reporting (FAR) 財務会計
- Regulation (REG) 諸法規
- Auditing & Attestation (AUD) 監査及び証明業務
- Business Environment & Concepts (BEC) ビジネス環境及び諸概念
試験時間:4科目、試験時間はそれぞれ4時間です。
合格基準
いずれの科目も99点満点で、75点以上で合格。一度にすべての科目に合格する必要はなく、科目合格制度が設けられています。ただし科目合格の有効期限は18ヶ月です。
合格発表
試験から約1週間~2週間後