米国公認会計士
実力が求められる業界。合格しただけでは就職や転職は有利にならない。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
民間資格 |
1年以上 |
難しい |
42% |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
---|---|---|---|
就職・転職 |
80万円以上 |
大学卒業等 |
※日本国内では民間資格の扱いです。合格率は日本人についてです。
※受験資格は受験する州によって異なります。
最終更新日:2022/12/18
米国公認会計士とは
試験は、全米州政府会計委員会(NASBA)により実施されます。アメリカ合衆国の国家資格に該当しますが、日本をはじめとする世界の多くの国で受験できます。
受験資格は、受験する予定の州によって異なります。多くの州で「大学の学士号取得、また会計科目やビジネス科目などの単位を取得している者」に制限しているため、日本人であればまず受験資格を得るのが大変です。
誤解している人が多いのですが、どこの州で受験しても同じ問題なので試験の難易度に違いはありません。全米州政府会計委員会が実施する統一の試験です。
資格予備校などは「アラスカ州、ワシントン州、グアム、バーモント州などが受験しやすい州」と紹介していますが、これは「受験資格の要件が緩やかな州」であるに過ぎません。
※米国弁護士試験の場合、州によって試験内容が異なるため難易度や合格率は違います。
合格後は、取得したライセンスの州、もしくはMRA(国際相互承認協定)参加国(例:カナダ、オーストラリア、香港など)で、米国会計士として会計や監査業務を行うことができます。
また、試験は英語で出題されるので、合格すれば「英語での監査業務ができる」という英語力の証明につながります。
公式サイト:CPA Exam | NASBA
役に立つ資格なのか?
米国公認会計士を紹介する資格予備校のサイトを見ると夢のような文言で溢れています。
例えば、一例として・・・
「外資系・グローバル企業への就職や転職が有利!」「監査法人やコンサルティングファームへの就職・転職の道が開ける!」「日本国内だけではなくグローバルなキャリア形成に役立てられる!」「監査法人に就職すると30代で年収1,000万円も可能!」等々。
こういった眉唾もの誇大な表現を鵜呑みにしない方がいいでしょう。
横文字いっぱいで何やらメリットをPRしています。自分の殻を破って閉塞感漂う日本を脱出して、世界で活躍する自分を想像してしまいます。
しかし・・・やっぱり現実は想像以上に厳しいです。簡単には夢を叶えてくれません。
米国公認会計士は、日本の公認会計士試験のように合格すれば就職や転職はなんとかなるというものではありません。全世界で登録者は100万人以上いると言われています。持っているだけでは価値は低いです。
米国公認会計士に合格しただけでは就職や転職は決して有利にはならないということです。転職に際してはそれまでの実績・キャリアが求められますし、たゆまぬ努力と向上心を持ってレベルアップすることが前提となっています。
米国公認会計士とは実力主義が前提の資格です。単に自分を活かすための道具にすぎません。その点日本とは考え方が若干異なります。
日本で比較的偏差値の高い大学を優秀な成績で卒業して、在学中に公認会計士の試験に合格してしかも英語も堪能・・・そんな人が仕事で必要なので、あるいはグローバル企業へ転職するために米国公認会計士の試験に挑戦するのであれば理解できます。
全くの未経験者が、米国公認会計士に合格したからと言っていきなり監査法人へ転職などというのはさすがに難しいでしょう。将来性十分だとは言えません。
明確な目標もなく、就職や転職に活かせそうなのでという理由だけではあまり役立つ資格とは言えません。
ただ漠然と、なんとなく挑戦するというだけでは英語力を証明するだけで終わります。それならTOEICで高得点を目指す方がよほどマシです。
将来性を徹底研究
この資格の活かし方
米国公認会計士の資格が求められる業種は、外資系企業の経理職、海外の会社と取引のある監査法人・会計事務所になります。
こういった企業・法人であれば、日本の一般企業より給与面では恵まれていますが、専門性の高い求人が多く、中途採用の門戸は広いとは言えません。それまでの実績が物を言い、高いスキルが求められます。
この場合も公認会計士や税理士の資格を持っている方が当然有利です。簿記検定程度ではさほどメリットはありません。
参考:税理士とは、簿記検定とは、BATIC(国際会計検定)とは
日本企業のグローバル化が進む中、海外子会社や海外の取引企業の経営分析を行う際に英文財務諸表を読みとれる米国公認会計士が求められます。日本国内でのキャリアアップや転職にも有利な資格です。
当然ですが、今後海外で働きたい人、外資系企業への転職を希望している人には米国公認会計士は自己PRの強力な材料になります。
合格することで最低限のビジネスの知識や英語力があることを示せます。自分を磨くための努力ができる証明にもつながるので履歴書に書いてPRできます。
日本の公認会計士と米国公認会計士の違い
まず前提として、公認会計士は日本における国家資格ですが、米国公認会計士は日本においては単なる民間の検定試験にすぎないということです。
参考:公認会計士とは
そのため、公認会計士は日本において監査法人などで監査や会計といった独占業務を行えます。そして、将来的には独立開業して事務所を解説することも可能です。
一方、米国公認会計士は米国の公認会計士の資格であって、取得した州やMRA(国際相互承認協定)参加国以外では監査業務や会計業務に就けません。もちろん日本では監査報告書にサインはできません。
日本の公認会計士と米国公認会計士とではそもそも難易度のレベルが違います。
公認会計士試験は、一般的に合格までに3年以上の勉強期間(約3,600時間以上)を要する難関試験です。
合格した時点で「会計のエリート」とみなされ、就職や転職には困りません。税理士の資格も得られるので税理士事務所も開けます。
米国公認会計士は、公認会計士と比べると難易度低く、1年程度(約1,000~1,300時間)の勉強で合格できると言われています(英語力によってかなり差がある)。
そのため、米国公認会計士に合格しても未経験であれば就職先は限られます。外資系の経理への転職には役立ちますが、どちらかと言えば経理に勤める人のキャリアアップ資格という位置づけです。
日本国内で就職や転職を有利にして食うに困らないお金が欲しいのであれば、難易度は高いですが日本の公認会計士の方がおすすめです。米国公認会計士は、基本的には海外で働きたい人が取る資格です。
また、受験資格の制限にも大きな違いがあります。
公認会計士は、以前は大学や短大を卒業していなければ受験できませんでしたが、2006年度からの制度改正で受験資格の制限はなくなり、現在は年齢や性別・学歴などを問わずに誰でも受験できます。
一方、米国公認会計士は受験する州によって受験資格やライセンス取得要件が決められており、多くの州では大学卒業(必要単位取得)が条件となっています。
英語力は合格するためにどれくらい必要?
試験は日本で受験しても英語で実施されますから、当然ですが英語力も必要です。
英語の試験問題と聞くと難易度が高そうに感じられますが、一体どのくらいの英語力が必要なのでしょうか。
結論から言いますと、基礎として大学受験で学ぶレベルの英語力があれば受験は可能です。特別に難しい英単語や文法の問題が出題されることはありません。
TOEICで750点以上、英検なら準1級~2級であれば合格できるのではないでしょうか。
仮に、日本国内で予備校を利用して勉強するのであれば、テキストや参考書は日本語で書かれています。プラスして試験に必要な言い回しや単語を覚えれば良いので、ハイレベルな英語力は求められません。
リーディングとライティングの基本を押さえ、さらに会計用語などの専門的な英単語をマスターすれば合格の確率は上がります。英語力に関しては過度な心配はいりません。
合格までの総費用はにどれくらい?
米国公認会計士を取得するための予備校代や受験料など、最終的に一体どれくらい費用がかかるのか気になるところです。
ざっくりと総費用は80万円~120万円くらい見ておいた方がよさりそうです。内訳は以下です。
- 学習にかかる予備校費用:30万円~90万円
- 受験資格を得るための費用:2万円~
- 受験にかかる費用(受験料):30万円(1回不合格ごとに7万円)
受験資格を得るには指定の単位を取得していなければなりません。不足する単位の取得は予備校を利用します。
不足する単位の数によって費用は変わります。そのため予備校の授業に幅があります。
「受験資格を得るための費用」とは学歴審査のことで、日本の大学を卒業しているのであれば学歴の証明が必要になります。学歴審機関により料金は異なります。
受験料は、不合格になり受験回数が1回増えるごとに約7万円追加になります。
米国公認会計士試験は合格までに思ったより費用がかかります。資格マニアがとりあえず受験というワケにはいかないです。
さらに、合格後は資格を維持するために「ライセンス更新料」と「CPE受講費用」の2つを支払わなければなりません。
3年に1度ライセンスを更新しなければならず、1回の更新費用は230ドルです。
CPE受講費用とは講座受講のことです。一旦合格しても会計士としての能力を維持するために定期的に一定単位を取得する義務が課せられます。
CPE業者により異なりますが、1年で概ね200ドル程度の料金となります。
ライセンス更新料とCPE受講費用を合わせて年間の維持費用は約280ドルほど、日本円で換算すると3万円以上の出費となります。
ただ持っているだけの資格ではないようです。
米国公認会計士になるには
試験の合格率は、受験者全体では57.7%(2020年)、日本人だけで見ると41.2%(2019年)です。
数字だけで判断すると全体の半数程度が合格しているので、難易度としては大したことないと思われるかもしれません。
しかし、4年制大学卒業(一定の単位取得)が受験資格となっていて、さらに試験は英語で行われるため英語スキルも求められます。十分に時間をかけ勉強しないと合格できません。
合格に必要な勉強時間の目安は、会計知識そしてなんと言っても英語力によって左右されます。
ネット上では、「米国公認会計士は簡単、簿記二級程度」「誰でも合格できる試験」なんて誤った情報を目にしますが、それは間違っています。
仮に、英語の問題文をスラスラ読めるほどの英語力と会計に関する専門知識を習得していても、現実的には1年以上、時間にして1,000時間以上は勉強しなければ合格できません。
英語力が不足しているのであれば、さらに必要な勉強量も増えます。
出題科目は全部で4科目あり、1科目ずつの受験が可能です。出題形式は4択問題や数値入力・穴埋めなどの総合問題のほか、記述問題もあります。総合的な知識が試されるため十分な試験勉強が必要です。
受験生の多くは社会人です。働きながら勉強を続けて合格を目指しています。
予備校を利用するのがおすすめ
合格したいのであれば、率直に申し上げてアビタスのような予備校を利用するのがおすすめです。
独学で勉強する場合、USCPAの学習で最もポピュラーな問題集「Wiley(ワイリー)」を利用することになります。
しかし、読むためにはそれなりの英語力が必要です。独学であれば、TOEICで最低でも860点なければ前へ進めません。最悪の場合、途中でやる気が失せます。
一方、アビタス等で勉強するのであれば、テキスト・問題集及び解説は日本語訳があります。試験対策に必要な言い回しや単語を覚えれば良いので、TOEICは750程度で大丈夫です。
しかも、受験制度だけではなく受験手続も煩雑です。自分で調べるよりも予備校に聞くのが確実です。
独学でやろうとしても、新たに単位などの取得が必要であれば結局予備校を使わざるをえません。
日本語で学んで確実に合格したいのであれば、アビタスなどの予備校に通うことをおすすめします。
予備校の問題集+本場米国の問題集も解けばより合格に近づくでしょう。
まずは無料の資料請求
試験情報
試験日 |
お申込み |
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任意の日時 |
随時 |
受験資格 |
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必要とされる科目や単位数は州によって異なります。 |
試験内容 |
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受験地:日本でも受験可能です。
年齢:年齢制限は設けられていません。
試験時間:4科目、試験時間はそれぞれ4時間です。
合格発表:試験から約1週間~2週間後 |
おすすめ問題集
Wiley’s CPA 2022 Study Guide + Question Pack: Complete Set (Wiley CPAexcel Exam Review) | |||||
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USCPAの学習で最もポピュラーなのが「Wiley(ワイリー)」の問題集です。合格した人の多くはこちらを利用しています。
学習するにあたり、予備校に通っていると問題集も当然ついてきます。しかし、予備校のテキストや問題集だけでは不十分で、米国の問題集も使って合格したという人が多いようです。 |
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