工事担任者とは?難易度や取得するメリット・できることは?
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 普通 | 28% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 2~5万円 | 6か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
スキルアップ | 294件 |
- 上記の数字は総合通信受験の場合です。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年11月23日に集計。
工事担任者とは電気通信回線と端末設備などを接続する工事をする際に必要な資格です。
需要は少なく就職や転職はあまり有利になりません。
講習を受講すればほぼ100%の合格率で確実に取得できます。難易度の高い総合通信も養成課程で取得可能です。
他の国家資格(電気通信主任技術者・電気工事士)と合わせて持てばメリットはあります。
工事担任者とは
ネットワーク社会を支える国家資格
工事担任者とは「電気通信回線」と「端末設備」などを接続する工事をする際に必要な資格です。
「電気通信回線」とは、離れた場所にあるパソコンやコンピュータをつないでデータを送受信するために使う回線です。双方向に通信可能な伝送路(回線)を意味します。
一方向にしか情報を送信できない放送は電気通信回線には含まれません。
工事担任者は、アナログ電話回線やCATV、デジタルデータ回線、次世代ネットワーク(NGN)などの電気通信回線と、パソコンネットワーク(LAN)やコンピュータ等、OA機器(電話等)などの端末設備等を接続する工事を行います。
または、その実地の監督をする役割も担います。
例えば一般家庭でしたら、インターネットなどを介して音楽・動画などの配信サービスを利用できるよう、光信号が流れる光ファイバーケーブルと端末設備の接続工事などを行います。
企業であれば、LANと呼ばれる構内通信ネットワークの配線工事などが該当します。
2021年度より試験内容が大きく変更
工事担任者は、昭和60(1985)年、電気通信事業法の施行と同時に制定された総務省管轄の国家資格です。
知名度があまり高くないので、よく「工事担当者」と誤解されます。「工事担任者」が正式名称です。
昭和60年の制定当時当初はアナログ第一種、アナログ第二種、アナログ第三種、デジタル第一種、デジタル第二種の5つに区分されていました。
その後度々種別の変更を経て、令和3年(2021年)4月1日より下記の5種別に変更となっています。
- 総合通信(旧AI・DD総合種)
- 第一級アナログ通信(旧AI第一種)
- 第二級アナログ通信(旧AI第三種)
- 第一級デジタル通信(旧DD第一種)
- 第二級デジタル通信(旧DD第三種)
※旧AI第二種と旧DD第二種は廃止になりました。
※一級の方が二級と比べて難易度は高くなります。
具体的な工事の範囲は、資格の種別により異なります。
取得方法は3種類
工事担任者の資格は、次の何れかにより取得できます。
- 国家試験に合格する
- 養成課程を修了する
- 総務大臣が上記に掲げる者と同等と認定
国家試験を受験しなくても、全ての種別について工事担任者養成課程(eLPIT:エルピット)で受講後、修了試験(プロメトリック株式会社)を受験し合格すれば資格を取得できます。
主催者サイト:日本データ通信協会 電気国家試験センター
工事担任者と電気工事士の違い
工事担任者とは、電気通信事業法による電気通信回線設備(電話線や光ファイバー)などに端末設備などを接続するための工事を行う資格です。
一方、電気工事士は、電気工事士法によって一定範囲の電気工作物について工事するための資格です。簡単に言うと、家・ビルなどの配線工事です。
わかりやすく言い換えると、工事担任者は「通信回線の工事士」です。電気工事士は「電気配線の工事士」です。
工事担任者は、有資格者の名前を書類に記載すればよく、現場に一人いればいいです。現場に顔を出さないこともあります。
電気工事は、基本的に工事をする人達全員が資格を持っていなければなりません。
役に立つ資格なのか?
有資格者の需要はかなり限定される
工事担任者は、光ケーブルを屋内に引き込んでパソコンネットワークと接続するような工事を行います。
会社の事業所や一般家庭などにおいて、光ファイバー開通や電話交換機関連の工事など、需要は少なからずあります。
今後は地方での5G回線、さらにその先の6G回線の普及が予想されます。これからの情報通信ネットワーク社会を支える技術者として活躍が期待されます。
しかし、有資格者の需要があるのは、電話工事会社あるいはその下請け企業などに限られます。
他の一般的な企業では需要はありません。
就職や転職はあまり有利にならない
そのため、持っていても就職や転職が有利になるとまでは言えないようです。コスパは悪く、役立つ資格とは言えません。
しかも工事担任者は現場に一人いれば足ります。全員が持っている必要はありません。
どちらかと言うと業界では、資格の需要以前の問題で、「持ってて当たり前」の状態です。
仮に、工事担任者の有資格者に欠員が出たとしても、他の社員が養成講習を受講すれば取得できます。わざわざ外部から採用するほどでもありません。
残念ながら、最も難易度の高い「総合通信」を持っててもそこまで社内では評価はされません。
取得する意味ないとまでは言いませんが、第一級陸上特殊無線技士や電気工事士などのオマケのような存在です。
将来性について徹底研究
工事担任者の資格だけでは不十分
工事担任者の資格が活かせる業種は、電気通信事業、通信設備工事業、電気設備工事業、通信機器販売業などです。
ますます多様化・複雑化して高度な知識が要求される情報通信業界において一定のニーズはあります。
しかし、就職・給与・昇格において資格の優位性を活かしたいのであれば工事担任者だけでは不十分です。
電気通信の工事担任者としてキャリアアップしたいのであれば、建設業法で定める電気通信工事業における専任技術者になる必要があります。
その専任技術者になるには電気通信主任技術者か技術士の資格が要件になります。
仮に、通信工事の下請け・孫請けの現場担当者なら第二級デジタル通信(旧DD第三種)でも間に合いますが、大手の会社になると総合通信じゃないと話になりません。
総合通信を持っていて工事を行うとなると、主装置等の設備も絡んできて電源装置などの設置も必要になります。
容量によっては、バッテリーの取り付けをするのにも電気工事士の資格が必要になります。
工事担任者は、他の資格と合わせてはじめて活かせる資格です。
圧倒的に電気工事士の方が需要はある
工事担任者と電気工事士の全国における求人数を比較すると圧倒的に差があります。
2024年4月20日の時点で工事担任者の全国の求人数は248件、一方電気工事士は11,031件、実に40倍です。
前述の通り、工事担任者は現場に一人いればいいので圧倒的に需要が少なく、そもそも募集の絶対数が少ないというのが理由です。
工事担任者の資格が生かせるのは通信工事です。通信工事会社やその下請けに限られます。
電気工事の資格は、通信工事会社はもちろんですが、電気工事会社、家電取付け、家電修理、リフォーム、引っ越し、ビル管理などと豊富です。
工事担任者になるには
科目合格制度を採用、数年で合格を目指す
工事担任者の試験は誰でも受験できます。実務経験の有無、年齢、性別等の制限もありません。
次の何れかにより取得できます。
- 国家試験に合格すること
- 養成課程を修了すること
- 総務大臣が上記に掲げる者と同等と認定すること
試験は1年に2回あり、「基礎」「技術」「法規」の3科目で、科目合格制度があります。
つまり、一度の試験で全科目で合格点を取る必要はなく、3年以内に全科目で合格点を取れば資格者証がもらえます。
難易度としては、第二種電気工事士に近いレベルです。
電気工事士は実技試験があるので、その点は簡単に感じる人も多いようです。
勉強期間としては、第二級デジタル通信であれば3か月ほどの学習期間で合格できます。
最も難易度が高い総合通信であれば6か月ほどです。
過去問2年分(計4回)と、リックテレコムのテキストで十分ですが丸暗記だけではダメです。
なぜそういう解答になるのか理由を正しく理解できていないと得点できません。
慣れないと横文字の専門用語ばかりでさっぱり分からないはずです。
分からない言葉や専門用語があったら、ネットで検索して理解してください。
過去5年分を繰り返し解いて、スラスラ解けるようになれば合格が見えてきます。
二級デジタル一級デジタルの違いは少し難しい程度です。
二級が4択、一級が5択と選択肢が増えるのと、内容としてはインターネット接続かネットワーク接続かの違いです。
二級デジタル2倍くらい勉強すれば一級デジタルは合格できます。
もちろん一級から受験しても問題ないです。自信のある人は是非一級からチャレンジしてください。
養成課程を受講すればほぼ100%合格できる
確実に合格したい人は、認定養成課程を修了することによって国家試験を受験しないで資格を取得できます。
工事担任者養成課程(eLPIT:エルピット)で受講後、修了試験(プロメトリック株式会社)を受験し合格すれば資格を取得できます。
参考:eLPIT 工事担任者養成課程 – いつでもどこでもeLPITでスマート取得|DEKYO
参考:工事担任者養成課程(eLPIT®)修了試験|プロメトリック
金額は、総合通信であれば学習期間8か月で168,300円です(2024年4月現在、一般料金)。
おすすめの通信講座
JTEXは40年の実績があります。主に企業単位での受講者が多いのが特徴です。
効率よく学習できるように工夫されたテキストで合格に必要な知識が着実に身に付きます。値段もお手頃で、おすすめの通信講座です。
通信講座を利用して合格した人の多くは、このJTEXを利用しています。※
※こちらから受講申し込みができます。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
工事担任者試験の「端末設備の接続のための技術及び理論」の出題傾向と最新の技術動向を踏まえて、試験に合格するために必要な知識を重点的に解説しています。
豊富な図解でわかりやすく解説しているのが特徴で、要点がうまくまとまっています。章末に練習問題を収録しています。
受験生に定番のテキストです。
※[技術・理論][法規][基礎]の3種類が出ています。
種類 | 評価 |
テキスト |
おすすめ問題集
本試験で出題された直近5回の問題を掲載し、1問ずつ丁寧に解説しています。
また、ダウンロード形式ですが模擬試験も利用できます。
これ一冊で十分実力が付きます。
受験生の多くが使っている定番中の定番です。何回も繰り返し学習して、これだけで合格する人もいます。
テキストと合わせて勉強するのがおすすめです。
種類 | 評価 |
問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年2回(5月と11月)
※CBT方式であれば通年実施
お申し込み
インターネットによる申し込み
※CBT方式であれば随時
受験資格
受験資格の制限は一切ありません。どなたでも受験できます。
試験会場
札幌、青森、仙台、水戸、さいたま、東京、横浜、新潟、長野、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、鹿児島、那覇
※第二級アナログ通信および第二級デジタル通信の試験はCBT方式による受験です。
受験料
8,700円(非課税)
試験内容
※下記は総合通信を受験する場合です。
【試験内容】
- 電気工学の基礎
- 電気通信の基礎
- 端末設備の技術
- 総合デジタル通信の技術
- 接続工事の技術
- トラヒック理論
- ネットワークの技術
- 情報セキュリティの技術
- 電気通信事業法及びこれに基づく命令
- 有線電気通信法及びこれに基づく命令
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律
- 電子署名及び認証業務に関する法律及びこれに基づく命令
合格基準
各科目の満点が100点で、合格点は60点以上
免除科目:保有資格、実務経験により各科目が免除されます。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は受験案内 (受験の手引き)|電気通信の工事担任者|日本データ通信協会 電気通信国家試験センターをご覧ください。