栄養士は仕事ない?将来性十分で就職・転職先は豊富にある
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | — | 99% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
養成課程修了 | 200万円以上 | 2年以上 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 23,441件 |
- 栄養士になるには、大学や短大・専門学校の栄養士養成課程を修了し、卒業後に申請すれば無試験で都道府県知事から栄養士の免許証が交付されます。
- 栄養士は栄養士法(昭和二十二年法律第二百四十五号)で定める国家資格です。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年5月28日に集計。
栄養士養成課程のある大学や短大、専門学校を修了し卒業後に申請すれば都道府県知事から栄養士の免許証が交付されます。
もちろん就職や転職に活かせます。求人は全国的にも非常に多く、選ばなければどこか見つかるようです。
キャリアアップするには、上位資格の管理栄養士を取得するという選択肢があります。
栄養士とは
食事の管理と栄養指導が主な仕事
栄養士は、栄養学の知識を基本とした食事と栄養のスペシャリストとして「食事の管理」と「栄養指導」を行うのが主な仕事です。
「食事の管理」とは、学校や病院など毎日の食事を提供する場で、それぞれの人に必要な栄養とは何かを考え、実際に提供する食事メニューを決めることです。
もちろん必要な栄養を満たしていることが重要ですが、見た目も良くおいしい食事であることも求められます。
「栄養指導」とは、人それぞれにあった望ましい食生活を指導することです。
糖尿病患者や肥満の人は、一般の人とは違った食生活をおくらなければなりません。栄養指導を行って体質の改善を図ります。
栄養士の活躍の場としては、健康を考える必要性の高い保育園や小中学校、病院、福祉施設、給食会社、社員食堂などの食事を提供する施設があげられます。
それぞれの施設に応じた給食や食事の計画、調理、提供を担当します。
栄養士の仕事は献立作成、料理の盛り付け、食事指導などですが、現場では調理師といっしょに調理をする機会が多くあります。
関連団体:公益社団法人 日本栄養士会
役に立つ資格なのか?
かつて人気だった就職先が減少
近年、栄養士養成校が増えすぎた関係で毎年2万人以上が資格を取得をしています。
そして100万人以上が既に栄養士として登録しているともいわれています。
栄養士の数が増え続けた結果、需要と供給のバランスが崩れ、既に飽和状態にあり就職については厳しい状況になっています。
栄養士の活躍の舞台となる給食現場というと、まず学校や病院などです。
しかし、かつては学校・病院でも栄養士の正社員の求人は多くありましたが、最近は非正規の求人が増えているようです。
経費削減のため、学校や病院などの給食業務は今やほとんどが外部委託です。
委託を受けた会社が献立の作成から調理まで全てを行います。
そのため病院や市町村が直接栄養士を雇用するケースは極端に減っています。
以前は人気だった公務員枠や病院枠も狭き門になっています。
資格を得てもそれを使える職場が少なくなっているのが現状です。
調理を伴う仕事が増加
しかし、給料にあまりこだわりさえしなければ求人はまだまだあります。
栄養士になっても「就職先がない」「就職が難しい」「仕事ない」なんて言われることもあるようですが、栄養士養成学校を卒業して栄養士としての仕事がみつからなかった・・・ということはないようです。
ただし実際の仕事は調理員としての採用が多いようです。
あまり仕事の内容にこだわらず、「栄養士に関する事務仕事」「指導的な業務」という考えは捨て、調理現場のプロという意識を持ち、早番や遅番・土日出勤も普通にあると思えば就職先はたくさんあるようです。
調理の現場以外では、食品メーカーへ就職するケースも多いようです。
就職先に食品メーカーを検討するといっきに幅が広がります。
食品メーカーへ転職する際も栄養士の資格があれば有利であることは間違いありません。
食品会社などで調査や食品開発を行なったり、委託給食会社に就職するケースも多いようです。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
まず、圧倒的に栄養士の多くは女性です。
栄養士は女性が活躍できる職業だといえます。
栄養士がキャリアアップしていくには、上位資格でもある管理栄養士になるという選択肢があります。
やはり管理栄養士を最終目的として学校へ進学する女性が多いようです。
関連資格:管理栄養士とは
大きな病院では管理栄養士しか採用しないところもあります。
管理栄養士の資格取得が募集の条件になっている施設は少なくありません。
自治体の職員(つまり公務員)として採用する場合は、多くは管理栄養士に限定して試験を実施しています。
参考:令和3年度青森県職員の募集案内(栄養士(管理栄養士)) – 青森県庁ホームページ
※採用職種 栄養士(管理栄養士)となっていますが、受験資格を見ると管理栄養士に限定していることがわかります。
栄養士からさらに一歩踏み出した存在になるには、管理栄養士の資格取得が有効です。
管理栄養士になれば資格手当が増えて栄養士より収入が増えるケースもあります。
管理栄養士にならないのなら栄養士になっても意味がないとまで言い切る人もいます。
これはちょっと大げさかもしれませんけど。
卒業生の主な就職先について
令和4年度の栄養士養成校の卒業生は17,372人、就職率は90.3%です。
うち、栄養士・管理栄養士や関連業務に関する仕事の就職者は全体の66.9%、その他の事務職等への就職は23.4%、就職以外の上級学部への進学や独立等が4.9%です。
また、病院、児童福祉施設、介護保険施設などの医療・介護・福祉の分野への就職が全体の約60%を占め、医療系の資格という一面もあります。食と医療の関係は深いようです。
引用元:卒業生の就職率と就職先│栄養士・管理栄養士を目指す人をサポート|一般社団法人全国栄養士養成施設協会
※このページの「令和4年度:栄養士養成施設の卒業生の就職実態」よりグラフを引用。
児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、児童自立支援施設などです。
事業所とは、工場・企業などの産業給食施設です。
主な業務内容は、栄養が十分に取れるように旬の食材を組み合わせた献立の作成、食材発注、調理などです。これはまさに栄養士の腕の見せどころです。
その他、食べ残しのチェックと献立の反省をして、次の献立作成・調理に活かすことも大切な仕事です。
栄養士になるには、大学か短大か専門学校などの養成施設で所定の課程を修了しなければなりませんが(後述しています)、専門職だけあって就職先の分野の広さがうかがえます。
就職先は給食や調理の現場だけではなく、食品メーカーや研究機関などもあります。そちらの方が給料や待遇がよいといわれており人気が高いようです。
スポーツ関連施設へ就職して、アスリートやスポーツ愛好家に栄養・食事のアドバイスを行う栄養士もいます。学校現場であれば、栄養教諭として食事指導を行ったりもします。
長く続けられるかどうかは、やはり職場次第・・・
せっかく栄養士として就職しても業務の内容が調理ばかりだったりすると、ただの調理員と同じと考えて嫌気がさしてすぐに転職するケースも多いようです。
調理中心の現場に就職すると、栄養士とはいえ仕事はほぼ調理業務が中心で、あとは献立作成、発注等です。
早番遅番もあり低賃金のわりに激務なとこが多いようです。
もっとも新卒でいきなり高待遇なんて望む方が間違っているとは言えますが・・・栄養士の転職は頻繁なようです。
医療機関や老人施設、学校や保育園などの給食現場では、1.管理栄養士、2.栄養士、3.調理師の順に階級が生じます。これは国家資格の難易度順がそのままあてはまります。
関連資格:調理師とは
年配調理師(男性女性問わず)にしては若くてしかも女性の栄養士の存在が快いはずがありません。
年配調理師のイジメにあって新卒で1年未満で辞める人も少なくありません。
これはどんな職場でもありがちなことですが・・・
栄養士として続けられるかどうかは人間関係によるところが多いようです。
良い職場へ就職できることを祈るばかりです。
栄養士の給料・ボーナスはというと
厚生労働省発表の「令4元年賃金構造基本統計調査」によると、栄養士の給与額及び年間賞与(ボーナス)の全体の平均額は以下の通りです。
- 給与(月給):252,700円
- 賞与(ボーナス):620,300円
年収でいうと、3,652,700円(252,700×12+620,300)となります。※平均年齢37.4歳、勤続年数8.1年の例です。
参考:賃金構造基本統計調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
※キーワードに「栄養士」と入力すると該当するデータが出てきます。
ただし、栄養士の給料は民間企業で働くか学校などの公共機関で働くかで違ってきます。
かなり狭き門ではありますが、公立の病院や学校、保健所や保健センターなどいわゆる公務員として就職した場合、年齢によって昇給が保証されているため給料も高く、残業代も賞与も支給されますから好待遇です。やはり公務員人気は栄養士でもかわりありません。
職場ごとの給料差は、病院、介護施設の場合、月約18万円~27万円、保育園や学校の給食施設では月約18万~22万円になります。専門性が求められる職場の給料が比較的高めとなるようです。
多くの栄養士が就職する保育園などは非常に給料が抑えられているようです。社会問題化している保育士の待遇と同程度です。
参考までに、上記厚生労働省の発表資料によると、保育士の給与額及び年間賞与は以下の通りです。
- 給与(月給):244,500円
- 賞与(ボーナス):700,600円
年収でいうと、3,634,600円(244,500×12+700,600)となります。※平均年齢36.7歳、勤続年数7.8年の例です。
食品会社などの企業に就職すると、普通の4大卒男子と変わらず給料面では優遇されることも多いようです。その場合、大卒か短大卒かで栄養士の給与に違いが出てきます。
食品会社などは、管理栄養士と栄養士の違いよりも大卒・短大卒・専門学校卒の差、つまり学歴の差の方が大きいようです。
合格するには
所定の学校を卒業すれば資格取得
栄養士になるには、厚生労働大臣が指定した養成施設(2~4年制の大学・短期大学、専門学校)で所定の課程を修了して卒業し、都道府県知事に申請して免許を取得します。
卒業すれば資格を得られ、特に最終の国家試験があるわけではありません。
栄養士養成施設の入学条件は高卒以上です。学校は中間部のみで夜間部の学校はありません。
そのため昼間働きながら学校に通うという方法は現状では無理です。
仮に、社会人から栄養士の資格を取得する場合は、専門学校に入学する方法が一番早くて簡単です。
栄養士は、ユーキャンのような通信講座を利用して独学では資格取得できません。
栄養士実力認定試験とは
栄養士・管理栄養士の養成施設(学校)に通っている学生や卒業生は、自分自身の知識・実力を知るために「栄養士実力認定試験」を受験します。
この試験は、栄養士の資質向上と質の均一化を図るとともに、各養成施設の教育に資することを目的として、全国栄養士養成施設協会が実施します。
試験は12月に実施され、結果の発表は翌年1月です。
参照:実力認定試験について│栄養士・管理栄養士を目指す人をサポート
実はこの栄養士実力認定試験、希望者のみが受験します。対象となるのは養成施設の最終学年で栄養士資格取得見込者(4年制養成施設の学生は、3年次でも受験可能)、あるいは卒業生です。
試験の結果は、評価A、評価B、評価Cの3三段階で評価され、成績表として認定証が発行されます。概ね50%以上の人はA判定で、残りの45%はB判定、約5%はC判定です。
試験の結果と栄養士の資格取得とは関係ないですが、一部の学校では卒業判定に利用しているところもあるようです。
「評価A」を取得すれば、就職活動の際にその認定内容を履歴書に書けば就活が有利になるメリットがあると言われていますが、実はあまり期待できそうもないようです。
これは、成績が良くても役に立たないと言ってるのではなく、結果が発表される1月はほとんどの生徒が就活を終えているからです。
就職するまでに栄養士として自分に不足している知識が理解ができるというメリットがある程度です。
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社会人でも入学できる大学・専門学校の資料請求
テキスト・問題集・参考書
おすすめ参考書
栄養士や管理栄養士になるとどんなメリット、デメリットがあるのかよくわかります。
それと同時に、栄養士の資格を持っていながら活躍する場が少ない現状がよくわかります。
これから栄養士になろうとしている人、現在栄養士の仕事をしてい人ともにおすすめしたい良書です。
特に栄養士・管理栄養士を目指す前に読んでみることをおすすめします。
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