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旧サイト名:本当に役立つ資格、全く役立たない資格

【日本語教師】国家資格化されてもメリットは少ない、トラブルも多く評判も悪い業界なので要注意

外国人相手に日本語を教える女性

仕事はあっても超薄給かボランティア、コンビニのバイトの方がマシ

このページでは一般的に日本語教師と呼ばれる職種全般について解説します。

種類難易度合格率
民間資格
受験資格取得費用勉強時間
誰でも受験可5~70万円
活かし方全国の求人数おすすめ度
知識習得205件
  • 日本語教師になる手段は3種類ほどありますが取得方法が異なります。当サイトでは各方法について詳しく紹介しているのでご覧ください。
  • 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年4月8日に集計。

日本語教師になるための手段のひとつ「420時間の養成講座」は詐欺まがいの強引な勧誘も多く、トラブルも全国的に発生しています(後述しているので参照してください)。

また、同じく日本語教師になるための手段のひとつ日本語教育能力検定試験」は国家試験ではないため、合格しても非常勤かボランティア程度の仕事がみつかる程度です。

興味のある人は当ページを是非最後まで読んでください。将来性など実態が理解できるはずです。

なお、日本語教師とは一般的には職業の種類です。

2024年4月に日本語教師は国家資格化される予定ですが、すべての日本語教師が登録日本語教員(国家資格)になるわけではありません。

「一部の機関で日本語を教える人」を対象にが国家資格が必要となるというだけのことです。

当サイト内の評価や感想は公正で客観的な判断に基づいていますが、あくまでも運営者個人の意見です。参考にするかしないかはご自身で判断してください。

目次

日本語教師の国家資格化について

日本語教師の説明や資格としてどれくらい取得する意味があるのかを説明する前に、まず国家資格化について解説します。

これまで日本語教師に関する公的な資格は存在しませんでしたが、「登録日本語教員」と呼ばれる国家資格が2024年4月1日に誕生しました。

民間事業者による悪質な「日本語教師養成講座」が各地で開催され、全国でトラブルが発生していたのが国家資格化となった主な原因です

しかし、大きな誤解が拡散されています。

それは、全ての日本語教師が登録日本語教員という国家資格になるわけではないということです。

通信教育の会社などの中には、「今のうちに日本語教師の資格を取っておけばそのまま国家資格になる」というよう宣伝をしている業者も多数存在します。

たしかになんらかの経過措置で公認日本語教師になれる可能性が高いようです。

ただし、現職日本語教師に限られます。

これから民間の日本語教師の資格を取得しても何ら恩恵にはあずかれません

参考:登録日本語教員の経験者講習について(案)|文化庁(pdf)

さらに申し上げますと、国家資格化される予定と言っても「一部の機関で日本語を教える人」が対象になるだけです。

「一部の機関」とは法務省告示の日本語教育機関に限られます。

日本語教師全体の約20%の人は新たな国家資格が必要となりますが、それ以外の一般的な日本語学校の日本語教師は今までと変わりはないので、待遇などもそれまでとは変わらないと思われます。

日本語教師とは

ホワイトボードを差す女性

仕事は「日本語スクール」の講師

日本語教師とは、外国人を対象に日本語を専門的に教える「先生」の仕事です。

簡単に言うと、日本語スクールの講師です。

活躍の場は、日本国内の語学学校が中心です。

中国、ベトナム、ネパール、韓国、台湾やアジアの途上国、欧米やオーストラリアなどの語学学校で教える日本語教師もいます。

また、海外の大学の日本語科や日本語学校で教えている日本語教師もいます。

日本語教師は、日本語を母国語(母語)として育っていない人たちに、正しい日本語の発音や文法・読み書きを教え、日本語能力が身に付くように教育をします。

日本語教師は、ただ日本語を教えるだけではありません。

日本の文化や習慣、歴史、ビジネスマナー、商慣習などを教えるのも重要な役割です。

恐るべき日本語教師の実態

日本語教師養成の通信講座や通学講座のパンフレットを見ると、どこも多くの外国人を前に教壇に立つ笑顔の日本人女性の姿が印刷されています。

そんなイキイキと活躍する女性の写真を見て、「私も日本語教師になって教壇に立ってみたい」「日本を飛び出して欧米で生活するのもステキ」・・・なんて憧れてしまう人が少なからずいるようです。

日本人だから日本語は得意、だから簡単になれるんじゃないか・・・そう安易に考えるのも日本語教師に憧れる理由の1つです。

憧れたり理想を追うのは構いませんが、安易に日本語教師養成講座の宣伝を信じない方がいいです。

日本語教師の実態について正確に伝えているサイトはほとんど見当たりません。

そこで、当サイトで日本語教師の就業実態について現実を紹介します。

85.9%はボランティアか非常勤、常勤は14.1%という現実

文化庁文化部国語課の調査では、国内の日本語教師の数は平成28年で37,962人、平成23年の東日本大震災の影響で一時減少しますが、その後は年々増加しています。

その後、令和元年は46,411人、感染症の影響で令和2年は若干減少して41,755人となりました。

令和3年は39,241人。令和4年11月1日の最新調査では44,030人となって前年度から4,789人(12.2%)増加しています。国家資格化が明確になったのが原因と思われます。

そして、最新資料による44,030人の日本語教師の職務別の状況は以下の通りです。

  • ボランティア 21,568人(49.04%)
  • 非常勤教師 15,891人(36.1%)
  • 常勤教師 6,571人(14.9%)

出典:令和2年度 日本語教師実態調査報告書 国内の日本語教育の概要|文化庁国語課(pdf)
7ページに掲載されています

なんと、驚くことに常勤つまり正社員として働いているのは全体の14.9%、6,571人にすぎません

非常勤は36%ほどで、無給のボランティアが最も多く半数近くいます

これが日本語教師の実態です。

日本語教師になるには、後述しますが決して安くない養成講座や通信講座を受講しなければなりません。

最初からアルバイトやボランティアとして活動をするために60万円以上もするような授業料を払うなどとは考えづらいです。

おそらく、多くの人は仕方なくそういった職務に甘んじているのではないでしょうか。

元々需要もないところに、単なるお金儲けのためだけに日本語教師を養成し続けているのが現実です。

給料は驚くほど低い!コンビニのバイトの方がまだマシ

日本語教師の年収・給料については、大学や公的な機関で教鞭をとる一部の教師を除いて「低収入」なのは間違いないようです。

もともと日本語教師になるためのハードルが低いため誰でもなれます。

需要と供給のバランスがとれていないのも一因でしょう。

給料や待遇は、雇用先や雇用形態などによりもちろん違いはありますが、日本語教師は常勤(つまり正規職員・正社員)で月収は20万円前後と言われています。

年収300万円ぐらいになれば良いほうで、多くは年収200~250万円程度以下です。

アルバイトやパートなどの非常勤であれば、1回の授業(45~90分)を「1コマ」と考え、1コマあたり1,800円から2,500円ぐらが報酬の相場です。

もちろん決められた授業の時間だけで仕事は終わりません。

授業の前準備や授業後の面談、学生との相談にも相当な時間がかかります。

それを考えると時給換算すると最低賃金以下になるのではないでしょうか。

残念ながら、スーパーのレジ打ちやコンビニのアルバイトの方が給料はよいケースがほとんどです。

受け持つコマの数が多ければ給料は増えそうですが、生徒数や授業数にも限りがあって簡単にはいきません。

月の収入が2万円程度になることもあります。

学校の長期休みの期間は授業が無いので収入はゼロです。ボランティアであれば当然無給です。

爆発的に生徒数が増えない限り、この先勤務年数に比例して年々順調に昇給なんてことも考えられません。頭打ちの状態です。

それどころか、日本の経済力低下に伴って日本語を学ぶ外国人が減少する可能性もあります。

いくら日本を訪れる観光客が激増してるとはいえ、観光客では日本語学校の学生は増えません。

一方でボランティアは年々増えています。

日本語教師の労働環境は増々悪くなって、収入はこの先さらに減っていくでしょう。

著しく低収入なのは貧しい国の人達を相手にしているから

では、どうして日本語教師の給料が安いのかを説明します。

日本語学習者(つまり日本語学校の留学生・生徒)の国・地域別の内訳としては、中国が最多の67,027人(30.5%)です。

次いで多いのがベトナムの31,643人(14.4%)ネパールの25,721人(11.7%)です。

日本語学習者数は一貫して増加傾向にありましたが、令和2年度から数年は感染症の影響もあって減少。

しかし、令和4年度には入国制限の緩和を受けてどこの国も大幅に増加しました。

特にネパールの増加が著しく、前年より2万人以上増加しています。

表は、日本語学習者数の多い上位10か国のランキングです。

参照:令和4年日本語教育実態調査報告書|文化庁(pdf)
※23ページの表を一部抜粋して引用。

割合からいっても80~90%近くがアジア地域の人達です。

こういったアジア諸国の特徴はと言うと・・・それは明白です。日本より貧しい国だということです。

1位の中国は日本を抜いてGDP2位ですが、人口が他の国と比べてずば抜けて多いだけで、まだまだ貧しい国民が多くいます。 

こういった貧しい国の人達は、アニメや日本の文化が好きで来日して日本語を習うワケではありません。

日本で働いて稼いで貧しさから脱するために来日して日本語を習います。

例えば2017年9月より運用開始された「介護ビザ」の制度では、介護福祉士の国家資格を取得した外国人であれば長期間日本で働けるようになりました。

日本で「介護」というと、どちらかというと給与水準は低い職種ですが、アジアの途上国から見ると魅力ある給与です。

介護ビザを取得するには、外国人留学生として来日して日本語学校で日本語を学ばなければなりません

EPA協定により、フィリピン、ベトナム、インドネシアからは以前から留学生として受け入れていましたが、現在では他のアジア諸国からも受け入れています。

ここで勘違いしてはいけないのが、彼ら彼女達は好きで日本語を学んでいるのではなく、「留学生」として認められるには日本語をイヤでも学習しなければならないということです。

実態はともかく、形だけでも留学生ということで日本に滞在中は日本語を勉強しなければなりません。

こういった所得水準が低い貧しい人達を相手にするのが日本語学校であって日本語教師です。

経済格差の上に成り立つ職業が日本語教師であると言えます。

途上国によっては平均月収が2~5万円以下という国もあります。

そういった元々お金を持っていない人が相手の商売ですから、高額な授業料なんてとても回収できません。

ボランティアが多い背景もそこにあります。

需要と供給のバランスによって日本語教師の給料もおのずと控えられます。

そこに日本語教師の給与が安い理由が存在します。

2024年4月から日本語教師の資格は国家資格化されました。

しかし、いくら国家資格になったとはいえ、お金を払ってくれる対象者が変わらなければ日本語教師の待遇は変わりません。

先進国のセレブと言われる人達が相手であれば、きっと日本語教師の給与は高水準でしょうけど。

関連情報:知らないうちに悪事の片棒をかついでいる日本語教師(サイト内ブログ)

欧米やオセアニア地域で働くのは現実的に難しい

「欧州や北アメリカ、オセアニア地域へ移住して日本語教師として働いてみたい!」なんて夢を抱いている人も多いようです。特に女性です。

しかし、現実的にはかなり難しいです。

現地での日本語の需要が少ないからです。

現地在住の無償のボランティアなら活動できる程度です。

その理由は簡単です。

経済力、物価、所得水準ともに日本と同等かそれ以上の欧州・北米・オセアニア地域の人達には、日本語は役立つ言語ではないので学習するメリットがないんです。

こういった先進国では、現地の大学などの教育機関を除き、日本語教師ではビザや労働許可証すら取れない可能性もあります。

下記は、日本語学習者数とその割合です。圧倒的にアジア地域が多いのが分かります。

参照:令和4年日本語教育実態調査報告書|文化庁(pdf)
※21ページの表を一部抜粋して引用。

世界で最も使われている言語は何か?英語?いえいえ、実は中国語だと言われています。

中国の人口は10億人以上、プラス世界各地に中国人はいます。

英語は世界の公用語です。ビジネスの世界では全て英語でやり取りをします。

主要な会議は全て英語です。

中東の国であろうと、南米の国であろうと、そして日本であろうと国際的な会議は全て英語で行われます。

経済の中心はアメリカです。そして、貿易の中心は実は中国です。

世界を相手にビジネスを展開するのであれば、英語と中国語は必須とも言われる時代です。

一方、日本語はアジアの一地域のマイナーな言語にすぎません。

日本は経済力の低下とともに国力は低下し、貿易やビジネスの相手としての存在も薄れています。

事実日本の貿易は輸入・輸出ともに年々減少し続けています。

日本語の需要が少なくなれば、必然的に日本語教師の需要も少なくなります。

例えば、オーストラリアでは、これまで第二外国語として日本語に人気があったんですが、政府の方針で中国語重視の教育へと既に転換しています。

欧米であれば、現地に在住している日本人も少なくないです。

日本語教育の需要があったとしても、そういった現地の日本人やワーキングホリデーで来ている日本人で需要をほとんど満たしてしまいます。

わざわざ日本から日本語教師を呼び寄せる必要がないんです。

欧米に移住するのが目的であれば、日本語教師は求人が少なく将来性もないのでおすすめできません。

他の手段を考えましょう。

日本語教師には誰でもなれる、結果として続かない

日本語教師養成講座受講生募集の看板

現在、日本語教師になるための「日本語教育能力検定試験」という民間資格があります。

しかし、必ずしも取得しなければならない資格ではないので、誰でも日本語教師と名乗って日本語学校で教えられます。

※国家資格となった登録日本語教員は一部の人たちだけが必要になります。

しかし一応は、「日本語教員資格ガイドライン」により、日本語学校が日本語教師を採用する際の一定の基準が以下の通り設けられています。

  1. 大学または大学院で日本語専攻あるいは副専攻
  2. 大学卒で日本語教師養成講座420時間以上を受講
  3. 日本語教育能力検定試験に合格(学歴不問)

概ね、この3つが日本語教師になるための条件だと言われています。

参考:日本語教育機関の運営に関する基準(pdf)
(これが世間一般で「日本語教員資格ガイドライン」と呼ばれているものです)

日本語教師になるための手段として、多くの人は、2.大学卒で日本語教師養成講座420時間以上を受講、あるいは、3.日本語教育能力試験に合格、を選びます。

日本語教育能力検定なら学歴不問で通信教育でも取得できます。

4年生大学卒であれば、必要な420時間の講座さえ受講さえすれば日本語教員資格者として認められます。

420時間受講するのが条件であって難易度も高くはないです。

本来、日本で学校の教師になるには、4年制の大学を卒業して教育実習を受け、国家試験に合格しなければなりません。

民間の日本語教師の資格にはこういった条件がないので、現状ではお金と時間さえあれば誰でも日本語教師になれます。

資質とか学歴などほとんど関係ないです。

ただし、いざ日本語教師の求人を探すと概ね大卒が条件となっている場合がほとんどです。

海外で働くには、大卒の学歴がないとほぼ就労ビザがおりません。

せっかく420時間の養成講座を受講したけど、高卒だから仕事に就けないという人も大勢いてトラブルの原因の1つになっています。

日本語教師として稼いで生活していけるかどうかは全く別の話し

インターネット広告で日本語教師を知って興味を持った、定年後に人の役に立つ仕事をしたい、外国での生活に憧れて将来日本語教師として欧米へ移住したい、子どもに手がかからなくなったら日本語専任教員として働いてみたい、という軽い気持ちで講座を申し込む人が多くいます。

きっと、人前に立って上から目線で指導できる「教員」の仕事に潜在的に憧れているのでしょう。

特に定年後の元サラリーマンや再就職を考えている女性、現状に不満がある会社員にはこういった傾向が顕著です。

「なんとなく憧れて」という理由で、特に教師としての情熱もなく強い希望もなく日本語教師を始めるとどうなるか・・・

まず、結果として続きません。

日本語教師は決して楽な仕事ではありません。

事務の仕事のように、9時から5時まで働いて、家に帰れば家事や自分のことに専念できる生活は基本的にはできません。

収入は不安定で金額にあった仕事とは言えず、しかも生活できるほど十分稼げません。

ワーキングプアのようになって、結局短期間で辞めてしまいます。

この業界はいつも求人が途絶えません。ネットで日本語教師の求人はいくらでも見つかります。

それは、労度条件の悪さに辞めていく人が多いからです。

420時間日本語教師養成講座はトラブルも多い

講習会で話す女性

4年制大学を卒業していれば、日本語教師養成講座420時間コースを受講すれば日本語教師として認められます。

「日本語教師養成講座420時間コース」とは、文化庁が示した「日本語教員養成において必要とされる教育内容」がガイドラインとなって発表された「日本語教育機関審査内規」に基づいた講座のことです。

参考:日本語教育機関審査内規(pdf)
参考:3.日本語教員養成研修の届出について|文化庁

国の示したガイドラインに沿う形で、民間の日本語学校が教師育成のために養成講座を運営しています。同時に生徒を広く募集しています。

代表的なところでは以下の3校が有名です。受講料は以下の通りです。

  • ヒューマンアカデミー 545,600円あるいは644,040円(いずれも税込)
  • 千駄ヶ谷日本語教育研究所 583,000円(税込)
  • アークアカデミー 594,000円(税別)

※金額は2024年4月現在です。

参考:日本語教員養成研修実施機関・団体一覧|文化庁(pdf)
(こちらに全国の日本語教員養成研修実施機関一覧が載っています。)

通学は1年程度ですが、最短半年で修了するコースもあります。

費用は教材込で約50万~60万円が相場です。コースの内容によって若干費用は違います。

どこの学校も、もちろん国の指針に沿って授業を進めます。

模擬授業などの実習も行うのでかなり本格的な内容です。

養成講座の参加者は定年後の元サラリーマンか主婦がほとんどです。

しかし、実は詐欺まがいの強引な勧誘も多く、トラブルも少なからず発生しています。

少し前になりますが、こんな記事も掲載されました。全て引用元は下記です。

※引用元:急増する日本語学校 教師養成講座で日本人がトラブルも|- 2018/12/2 NEWSポストセブン

以下は記事を抜粋して引用したものです。

講座を受講してもらおうと熱心に誘うのだが、その後の就職などについて丁寧な説明をしてくれることはほとんどない。

養成講座さえ受ければ、誰でも日本語教師になれるかのように誘う学校が少なくありませんが、実際はそうじゃない。

養成講座で一緒になった同級生のほとんどが、定年後のお年寄りか主婦でした。

受講するうちに気づいたのですが、国文でもなんでもない短大卒の私は、養成講座を修了するだけでは日本語教師として正規に雇ってもらえない。

日本語教育能力検定試験に合格するか、四年制大学の日本語教育コースか国文科卒業と同等以上の学歴が必要なんです。

その話を同級生にしたら、このままでは日本語の先生になれないとうろたえる人が何人もいました。

受講前の説明でも『これからの仕事として有望です』『パート勤めするより収入がよくなりますよ』と良いことばかり言われた。

でも、就職できる条件に達することが出来る人は、ほとんどいません。

半年かけて、何にもなれないなんて悔しいです。

主婦にぴったりの新しい資格、副業ですよと、いかにも素晴らしい仕事であるかのように見せているけれど、副業なんて生やさしいものではなかった。

お金を払うのだから自分で詳しく調べるべきだ、自己責任だと言われるかもしれません。

でも、事前説明をきちんとしない学校にも、責任があるのではないでしょうか。

全てがこういった被害者ばかりであるとは決して言いません。

中には日本語教師としてイキイキと第二の人生を過ごしている卒業生もいるでしょう。

けれど、こうしたクレームが多数あるのも事実です。

養成講座の受講料50万60万を払って、すぐに辞めたり、そもそも教師になれないようでは本当にもったいないと思います。

大切なお金と時間を費やす前に、納得がいくまで調べてください。

そして、現実・将来性・メリットについてよく考えてみてください。

理想ばかりではない日本語教師の実態が見えてくるはずです。

日本語教師の現実はとても厳しいです。現実を知って目指すのを途中で諦める人も大勢います。

役に立つ資格なのか?

日本語教師になるために日本語教師の養成講座に参加するのは、ほとんどが定年後の元サラリーマンか主婦です。

そりゃ、気持ちは分かります。

誰もが「教師」という言葉の響きになんとなく憧れるのは理解できます。

仮に、65歳で定年退職した大学卒の元管理職のサラリーマンであれば、再就職先で年下の男性にアゴで使われるのもイヤでしょう。

毎日家にいてブラブラしているよりも、外国人相手に日本語の教師をしてるといえば、何となく世間体も保てます。

主婦であれば、かつて何か高度な専門職に就いていた女性以外は再就職といってもせいぜい単純労働のパート程度です。

もっと女性として輝ける仕事をしたい、自分の能力を活かせる仕事をしたい、そう考えるのはいたって自然です。

そこで、どこかで日本語教師募集のチラシを見たのかキッカケに興味を持ち、養成講座を運営する学校に資料請求をしたり、説明会やガイダンスに出席します。

すると、後々しつこいくらい何度も勧誘の電話がかかってきます。

そりゃ、授業料が1人50万円~60万円もするので結構な稼ぎです。学校も必死になって勧誘します。

「これから有望で将来性のある仕事」「定年後や主婦にピッタリ」「空いた時間に副業としても稼げる」「今取っておけば国家資格化される」なんて有る事無い事平気で話します。

けれど、その気になってはいけません。騙されてはいけません。

単純に「日本語ができる日本人だから」というだけでは日本語教師は務まりません。

※もちろん全ての日本語教師養成講座が「良くない」などとは言ってません。実態は別として、多くは法令の範囲内で営業活動をしています。

将来性について徹底研究

ひらがな一覧表と初心者マーク

この民間資格の活かし方

低収入でも構わないのであれば、主に東南アジアの途上国などで日本語教師の仕事は見つけやすいようです。

実際に働いている日本語教師が多いのは、中国、ベトナム、ネパール、韓国、フィリピン、台湾、インドネシアなどです。

こういった途上国で一度生活してみたい、アジアの現実を見て少しでもその国の発展に貢献したい、そう考えるのであれば日本の大学を出て、そのまま海外で働くのも悪くはありません。

大学新卒でも探せば仕事は見つかります。

多くの人はイヤになって1~2年で日本に戻ってくるようですが、まだ若ければ日本での再就職もなんとかなります。

現地の言葉や中国語をマスターすれば、貿易関係の会社へ転職も可能です。

一度海外で日本語教師を経験してから、さらに日本語教師の道を極めるか諦めるかはその人次第です。

もちろん日本に帰国してからも日本語教師の道を選ぶ人もいます。

また、日本国内の自治体で開催している日本語教室のボランティアとして活躍する手段もあります。

ボランティアであれば学歴も資格も特に問われません。

留学生が理解してくれたときにやりがい感じ、いろんな国の人と知り会う機会があって自分自身の知識が増える、そんなボランティア教師に生きがいを感じる人もいます。

日本語教師になる過程で学んだ知識は、こういった道であれば十分に活かせるメリットはあります。

4年制の大卒以上の学歴が求められるケースが多い

日本国内で日本語教師として働くのが目的であれば、必ずしも大学卒の学歴はいりません。

しかし、実際は求人条件が4年制大学卒以上となっているところがほとんどです。

日本語教師という職業に就いて、給料を得てそれなりに自立して生活していこうと考えるのであれば、4年制大学で日本語学を修了しないと難しいです。

例えば、日本語教員養成課程がある大学で、専攻は人文学系や語学系などです。

さらに、大学院まで進んで、修士・博士の学位を取得するのが理想です。

海外で日本語を教える「教師」として働く場合、最低でも大学を出ていないと就労ビザがほとんど下りません。

資格以外に学歴や職歴(教師歴)などを求められます。一歩海外へ出ると、学歴ってとても重要なんです。

日本人であれば誰でもOKみたいな感じで採用する海外の日本語学校もありますが、多くは4大卒以上という条件です。

現地で採用する際は、日本の大学卒であることが最優先になります。

採用する際に、日本語に関する専門分野の学位(大卒)に加えて経験5年以上という条件の学校もあります。

条件が厳しい求人の方が給与面での待遇は良くなります。

420時間講習を受講、あるいは日本語教育能力検定試験に合格しただけでも日本語教師になれますが、しっかりとした学校で教えるのはまずこれだけでは無理です。

420時間コースは、日本語教育能力検定試験に合格するためだけに必要な知識を教えてくれる場所です。

日本語教師になるには役立ちますが、実際の授業で必要になる知識はほとんど学べません。

国内・国外を問わず、日本語学校では正しい日本語や文法などの専門知識の他、それらを学習者に教えられるスキルが求められます。

そのスキルを証明できるのが大学卒あるいは大学院卒の学歴です。

本気で日本語教師を目指すのなら、大卒以上の資格を取っておくべきです。

大学院卒業であれば、日本や海外の大学で日本語を教えられる可能性も出てきます。

海外の大学で日本語関係の教師職に就けると、収入や待遇が格段によくなります。

そのため、一度海外へ渡って日本語教師になったけど、大学院に行くためにもう一度日本へ戻って来る人もいます。

アジアの途上国で働く日本語教師の現実

前述の通り、欧米やオセアニア地域で日本語教師として働くのは非常に困難です。

海外であれば、東南アジア諸国・中国・インド・台湾で働いている人がほとんどです。

こういった途上国なら就職先は豊富にあります。

420時間の講習、日本語教育能力検定などを取得していれば一応日本語教師になれます。

しかし、現地採用なので大変給料は安いです。

東南アジアであれば、もちろん勤務先によって違いますが月数万円(2~8万円)程度です。

これは、現地の人の平均月収よりは若干高いくらいです。

アジア諸国であれば物価は日本よりもずっと低いので、給料が安くても生活できます。

しかし、決して贅沢はできません。月の給料が数万円程度では貯金もできません。

日本ではまさにワーキングプアと呼べるレベルです。コンビニでアルバイトをしている方がよほどマシです。

例えば、最も日本語教師として働く人が多く、待遇もアジア地域では良い方の中国であっても、給料は6万円前後+家賃や光熱費は無料という待遇です。

同じ中国国内でも、田舎へ行くとさらに条件は悪くなります。

現地で生活はできても貯金ができなければ、日本に一時帰国あるいは帰国した後の生活費が大変です。日本で貯めた貯金を使ってる人もいます。

せっかく夢を抱いて日本語を教えるために海外へ渡っても、将来性に限界を感じ、ほとんどの人は1~2年で逃げるように日本に戻ります。

日本語教師になるなら非常勤でも国内がおすすめです。

一度社会人を経験してからの方がおすすめ

日本語を学ぶ東南アジアの人達の多くは、日本で働いて稼ぐことを目的としています。

そのため日本語教師は、単に留学生に日本語を教えるだけではなく、日本でのビジネスマナーや会社内での敬語の使い方なども正しく教えられなければなりません。

大学新卒や社会経験がない主婦が教壇に立つと、時々とんでもない適当なことを平気で教えたりします。

実際に民間企業に就職して、自分で経験していなければ日本について正しく教えられません。

社会経験もない日本語教師では、教室で放つ言葉に説得力がありません。

会社経験も、日本語教師になるための大切な勉強の1つです。

特に中国の場合は、比較的若い教師は敬遠されます。

実践的にも社会人経験のある日本語教師を求める傾向にあります。

一度日本で普通の社会人を数年経験してからでも日本語教師になるのは遅くはありません。

日本で社会人として経験を積めば、日本語教師としての価値も高まります。

外国語の能力は必ずしも必要ではない

日本語教師は、日本語を母語(日本語の環境で生まれ育つこと)としない海外の人達に日本語を教えるのが仕事です。英語やその他の外国語が流暢に話せる必要はありません。

日本国内の日本語学校に集まってくる留学生は国も言語もバラバラです。

全ての学生が英語圏であれば授業で英語を使う機会もあるでしょうが、中国語、韓国語、スペイン語、ガタログ語など世界各地のあらゆる国から来ています。

そんな場合、英語や中国語で説明するわけにはいきません。日本語のみで教えることになります。

実際に、日本国内の日本語学校では、日本語だけで授業を進める「直接法」が主流です。

日本語教師として重要なのは、外国語の能力よりも、人に正しい日本語を教えられる専門の知識です。

例えば、海外でまともな学校(大学や日本語学校)に就職するのであれば、修士以上の学歴が求められます。

修士以上の学歴があれば、日本語について正しい知識を身に付けていると判断されるからです。

もちろん海外で教えるのであれば、現地の言葉を覚えてマイナスにはなりません。

自分が生活する上で現地の言葉が話せれば何かと便利です。話せた方が事務処理もスムーズです。

関連資格:日本語検定とは

日本語教師になるには

ホワイトボードに書いて説明する女性

繰り返しになりますが、日本語教師となるための方法を詳しく解説します。

前述の通り、日本語学校が日本語教師として採用する基準は以下です。

  1. 大学または大学院で日本語専攻あるいは副専攻
  2. 大学卒で、日本語教師養成講座420時間以上を受講
  3. 日本語教育能力検定試験に合格(学歴不問)

概ね、この3つの条件のいずれかを満たせば日本語教師になれます。以下で各基準ついて簡単に説明します。

※ただし、いずれも民間資格であって国家資格ではありません。つまり資格などなくとも誰でも日本語教師と名乗れます。

1.大学または大学院で日本語専攻あるいは副専攻

日本語教育について専門あるいは副専攻で学べる大学は、国公立・私立を問わず全国にいくつか存在します。

その多くは「外国語学部」「文学部」「国際~学部」のような学部内に、「日本語学」や「日本語教育学」のような名称で学科があります。

「国文学」や「英語学」関係の学科で、副専攻として履修できる大学もあります。

大学によっては、日本語を理論的に研究する学科もあれば、日本語教師育成のために教育実習制度などが充実している実践的な大学もあります。

大学や大学院で学んだ日本語教師がステータスとしても一番上です。海外の大学で日本語教師として教えられる道も開きます。

2.大学卒で、日本語教師養成講座420時間以上を受講

これは、文化庁が示した「日本語教師養成のための標準的な教育内容」方針に沿った講座を指します。

参考:法務省による日本語教育機関の告示基準の策定に伴う「日本語教員養成課程・コース」を設置する専修学校・各種学校に対する周知のお願い(pdf)

日本語教師養成講座とは、通学による養成講座です。主に日本国内にある民間の専門学校・各種学校が開催しています。

参考:日本語教員養成研修実施機関・団体一覧|文化庁(pdf)
(こちらに全国の日本語教員養成研修実施機関一覧が載っています。)

学校によっては、実習として模擬授業にかなり時間をかけます。

受講生は授業のために相当時間をかけて準備をしなければなりません。

中途半端に実習に臨めば、散々後で立ち直れないほどけなされます。

養成課程は通常1年ほどかけて学習します。あくまでも講習ですから難易度は高くないです。

真面目に出席すれば合格率はほぼ100%です。仕事をしながらであれば修了までにかなり時間がかかるので、意志が強くなければ続きません。

養成課程は教室に通って受講するのが基本ですが、中には全て通信教育という講座もあります。

その場合、自宅学習のみで模擬授業もありません。

しかし、日本語教師の求人の中には、「通信を除く」という条件が明記されている場合もあります。

つまり、単に机上のライセンスだけではなく、「必ず模擬授業や実習で訓練している」という条件を明確にしているということです。

420時間養成課程を受講するのであれば、面倒ですが通学コースを選ぶのがおすすめです。

3.日本語教育能力検定試験に合格

日本語教師になるための資格というと、日本国際教育支援協会が試験を実施する日本語教育能力検定試験(JEES)がほぼ唯一社会的に認められている試験です。

この検定試験を通して日本語教育の専門家として基礎的な水準にあるかどうかを判断します。

この検定試験は国家資格や公的試験ではありませんが、日本語教師として働くための基礎的な資格として広く社会に認められています。

受験資格に制限はなく、学歴や年齢を問わず誰でも受験できます。

日本語教師を希望する人の多くはこの試験の合格を目指します。

ちなみに合格率は28%ほどですから、難易度としては一応は難しい試験になります。

日本人だから誰でも短期で合格・・・なんてワケにはいきません。

日頃あまり意識しない日本語の文法について覚える必要があります。

検定試験には、2カ月ぐらい勉強して合格する人もいれば、3年くらい時間を要する人もいます。

暗記事項も多いため、根気がないと途中で挫折します。

この資格を取得しなければ日本語教師になれないわけではありませんが、合格していれば知識の証明につながるので持っていた方が就職は有利です。

単純に日本語教育能力検定試験に合格しただけでは、やはり採用は難しいです。

就職をより有利にするために、420時間の養成講座受講+日本語教育能力検定合格というパターンが最も多いです。

420時間講習や日本語教育能力検定といわれているものは、求人先の採用条件の1つに過ぎません。

やはり学歴や経験の方が重視されます。

日本語教師として、生涯に渡って自分を磨き続ける覚悟がなければ簡単には務まりません。

参考までに、ユーキャンも日本語教師養成講座(59,760円:税込み)を提供しています。

「グローバルに活躍する日本語教育のスペシャリスト」なんて宣伝してますが、もちろんおすすめしません。ほぼ意味ないです。

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