LPICは意味ない?一応評価はされるけど取得費用が高い
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | やや易しい | ※50% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | 5~10万円 | 3か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
スキルアップ | 82件 |
- 上記はLPIC-1についてです。合格率は公表されていませんが概ね50%です。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年7月6日に集計。
LPICとは、OSの一種であるLinuxに関する知識と技術力を認定する世界的な検定試験です。
経験が重視される業界なので難易度の低いLPIC-1を取得しても就職や転職が有利になるメリットは少ないです。
LPIC-2(level2)以上で、技術者としての経験が豊富であれば転職はかなり有利になるはずです。履歴書に書いて評価される可能性もあります。
合格率は公表されてません。
LPICとは
Linuxに関する認定試験
LPIC(エルピック:Linux Professional Institute Certification)とは、OSの一種であるLinuxに関する知識と技術力を認定する世界的な検定試験です。
OSとは、Operation System(オペレーティング・システム)の略です。
スマホではandroid(アンドロイド)やiOS(アイオーエス)、パソコンではwindows(ウィンドウズ)やMacOS(マックオーエス)がOSにあたります。
スマホやパソコンには、ゲームや表計算ソフトなどさまざまなアプリ(ソフトウェア)をインストールしますが、それらは全てOSの上で動作します。
OSとは、アプリだけではなくデバイス(カメラ、プリンターなどの周辺機器)なども含め、これらを正常に動作させるための基本となるソフトウェアです。
Linuxは、パソコンをはじめスーパーコンピュータ、スマホ、家電製品など、幅広い種類のハードウェアで使用されているOSです。非常に信頼性が高く、誰でも無料で使えるのが特徴です。
主催者サイト:LPI日本支部| Linuxプロフェッショナルインスティテュート
難易度によって3種類のレベル
LPICの試験のグレードは、難易度の低い順にLPIC-1(level1)、LPIC-2(level2)、LPIC-3(level3)の3種類のレベルに分かれています。
LPIC-1が初心者、LPIC-2が中級者、LPIC-3が上級者という位置付けです。
上位のレベルに進むには下位のレベルに合格していなければなりません。
LPIC-1には101試験と102試験の2種類があって両方合格しなければなりませんが、同時に受験する必要はなく、片方ずつ受験できます。
LPIC-2も同様に201試験と202試験に合格しなければなりません。
LPIC-3は3つの試験に分かれています。全ての試験に合格する必要はなく、試験毎に以下のように認定されます。
- LPIC-3 300:混在環境
- LPIC-3 303:セキュリティ
- LPIC-3 304:仮想化とハイアベイラビリティ
LPICは、各試験毎に5年間の有効期限が定められています。
認定されるために2試験の合格が必要な場合(LPIC-1とLPIC-2)は、両方の試験を5年以内に合格しなければなりません。
なお、勉強時間、合格率などは後述しています。合格するにはをご覧ください。
役に立つ資格なのか?
履歴書に書けば一応評価の対象になる
ネットワーク・サーバー系に関するエンジニアの求人は多く見つかります。
試しに、Linuxサーバーの開発者・技術者に関する求人を検索してみると、全国で2,600件以上(2024年4月10日時点)見つかりました。
しかし、「経験者優遇」となっている求人が多く、資格については「不問」となっている場合がほとんどです。
LPICやLinuCと言っても民間資格です。
合格しても特別な仕事ができるワケでもなく、単なる知識の裏付けにすぎません。
特に転職ともなると、やはり経験と実績がモノを言う業界です。
転職で役立つのはLPIC level2以上です。LPIC level1は意味ないとまでは言いませんがやはり基礎レベルという評価です。
経験者として転職するのであればLPIC level2以上は持っていたほうがいいでしょう。
経験や実力の裏付けとしてアピールできます。
全くの未経験者や新卒予定者であっても、LPIC level1を取得すれば「前向きな姿勢」を面接の際にアピールできるメリットはあります。
ただし、未経験者で採用される可能性があるというのは20台前半までです。
将来性について徹底研究
LIPCはどこまで役立つ資格なのか?
LPICあるいはLinuCと言っても、一体どれくらい役立つ民間資格のか?・・・これは気になる点です。
まず言えるのは、初心者向けのLPIC-1(レベル1、level1)を取得しても就職や転職が劇的に有利になることはありません。
ただし、実際の業務には役立ちます。
LPIC level1を持っていると、Linuxの基本操作や運用はできるものとみなされます。
Linuxの操作はWindowsと全く異なります。サーバーに関わる業務に携わるなら、Linuxの知識がないと全く意味が分からず仕事ができません。
社内システムや社外向けインターネットサーバーのOSとしてLinuxを用いて運用している会社であれば、システムの構築や操作、メンテナンス等にLPICで得た知識は役立ちます。
自己PRに利用したいのであれば国家資格
IT業界と言っても仕事の内容は様々です。
プログラム開発、ネットワーク構築、Webデザイン・・・全く違うとまでは言わないまでも似て非なるものです。
それぞれにおいて、国家資格、技能検定、ベンダー系資格、民間資格などが存在しますが、役立つ資格もあれば取得してもあまり意味ない検定試験まで様々です。
会社の全支店と全部署をネットワークで結んで、リアルタイムでデータのやり取りをするようなハードウェア的なインフラ構築(サーバー構築、ネットワーク構築)をするのであればLPICが役立つでしょう。
さらには、CCNP(CCNAの上位)を取得すると知識の幅が広がるのでおすすめです。
CCNPとは、ネットワーク専門の民間資格です。
インフラ構築よりも、その上で動く業務用プログラムを設計・開発したいのであれば、基本情報技術者や応用情報技術者などがおすすめです。
自己PRのために資格が欲しいのであれば、やはり国家資格です。
国家資格であれば取得費用も安く、過去問題集も豊富に出版されているので試験の対策も立てやすいです。しかも有効期限もありません。
CCNPやLPICのようなIT系民間資格はとにかく取得費用が高いです。しかも有効期限などがあって更新などにもお金がかかります。
LPICとLinuCの違いについて
Linuxの技術者試験は、現状ではカナダに本部を置くLPI(Linux Professional Institute)によって運営されているLPICと、日本に本部を置くLPI-Japanが主催するLinuC(リナック)の2つが混在しています。
関連資格:LinuCとは
LinuCとは、2018年3月より開始された日本独自のLinux技術者認定資格です。
もともとは、LinuCを提供するLPI-JapanがLPICの試験を実施していました。
「LPICの試験問題の流出」における対策が原因で分離したと表向きは発表していますが、まぁ本音を言うと、両団体の利益配分の調整がうまくいかなかったんでしょうね。
世界的に見ても、LPICは日本人の受験者数が圧倒的に多かったようです。
利権の奪い合いがまとまらず結局ケンカ別れするなんてよくある例です。
では、共にLinuxに関する資格であるLPICとLinuC、実際にどう違うのでしょうか。
LPICの強みは、世界標準で海外へ行っても使えるし、昔からあるので認知度が高いという点です。
一方、LinuCの強みとしては、日本発の試験なので日本のニーズに合わせた知識を得られるという点があげられます。
簡単に言うと、LPICは世界で通用するけれどLinuCは日本でしか通用しないということです。
現実的にはどちらが良くて、これから勉強するならどちらがおすすめなのか・・・と言うと、今のところどちらが優位という目立った違いはないようです。
試験自体についても、難易度、受験金額、試験対策などに違いはなく、LinuCを勉強するにしてもLPIC向けの勉強をすればまにあいます。逆もしかりです。
取得するメリット、就職・転職時の評価等はほぼ同じだと考えてよさそうです。
ただし、LinuCは「日本市場に特化」した資格を目指して提供をされているため、今後はLPICとの差別化のために試験内容が変わっていく可能性が高いようです。
この先、LPICとLinuCの違いは少しずつ明確になっていくかもしれません。
合格するには
LPIC-1であれば初心者でも合格可能
LPIC-1であれば、Linuxをほとんど触ったことがない初心者であっても1日1~2時間の勉強で2~3か月程度で合格できます。
最短2週間程度で取得できるスケジュールを提供している予備校もあります。
参考書に載ってる練習問題や模擬試験で確実に70%以上正解すれば合格できます。
Linuxのコマンド操作に日頃から慣れておけば合格できます。
なお、合格率は公表されていませんが、全体の合格率が30%程度であることから、LPIC-1の合格率は50%前後だと推測できます。
LPIC level1の出題範囲が2倍になるので、しっかりと勉強しないと合格できません。
3~6か月程度の勉強時間が必要です。
LPIC level3ともなると、受験するのは実務でLinuxを使っている「プロ」の人達です。
未経験者じゃ太刀打ちできません。1年くらいは勉強時間が求められます。
問題演習には、Ping-tを利用する
受験生の多くが利用している優良なサイトがあるので紹介します。Ping-tというサイトです。こちらで学習するのをおすすめします。
Ping-tとは、インターネット上でLPICやCCNA等のIT資格の問題演習が掲載されている学習サイトです。
アカウントを作成すれば、豊富な問題数に挑戦できます(LPIC101は約730問)。
このPing-tの素晴らしいところは、なんといっても解説が丁寧でわかりやすい点です。
それが人気のある一番の理由です。利用するメリット十分です。
参考:Ping-t
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
LPIC試験対策でもっとも売れているテキストがこちらの通称「あずき本」です。問題集というよりは参考書です。
解説は細かく丁寧で、内容に関しては質も高いです。試験範囲全体について最低限合格できるような解説を1冊に凝縮した印象です。重要な箇所・コマンドについてはよくまとまっています。
問題数・模擬問題についてはおまけ程度にしかついていないため、スピードマスターなどの問題集と組み合わせて学習するのがおすすめです。
※グレードと最新版であるかを確認して購入してください。
※Kindle版(電子書籍)もあります。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
あまり事前の知識が無いままLPICの試験対策を始める人もいますが、いきなり問題集にチャレンジしても初学者が理解するのは困難です。
こちらのテキストは、全くLinuxについて知らない、触ったことがないとい、これから業務でLinuxを使う予定という人にはかなりおすすめです。
初級者向けだからといって内容に手抜きはなく、各種コマンドのオプションなどについても掲載しています。問題集というよりも参考書です。Linuxスキルに自信がない人はまずはこちらで勉強しましょう。
実際に受験生の間でも評判は高いです。これ一冊で合格というワケにはいきませんが、とっかかりには最高の一冊です。
種類 | 評価 |
テキスト |
おすすめ問題集
LPIC level1の問題集ですが、内容はかなりハイレベルです。
問題には詳しい解説があり、周辺知識にも触れているのでとても親切な内容です。詳しく説明しすぎてページ数が多くなりすぎたりぜず、問題数も十分です。
この問題集を使うメリットは、実際の出題形式を学べる点です。スピードマスターに書かれている問題がLPICの本試験の問題と非常に類似しています。これはLPICの受験生にとって利用しない手はないということです。
試験対策問題集と言えば、上記で紹介する「あずき本」か、こちらの「スピードマスター」のどちらかになりますが、あずき本は問題集というよりは参考書、こちらのスピードマスターは問題集になります。
「あずき本」+「スピードマスター」で勉強するのが合格へつながる勉強方法です。
※グレードと最新版であるかを確認して購入してください。
※Kindle版(電子書籍)もあります。
種類 | 評価 |
問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
随時実施(CBT方式によるコンピュータ試験)
お申し込み
随時受付
受験資格
どなたでも受験できます。
※上位を受験するには下位レベルの認定が必要です。
試験会場
全国のピアソンVUEのテストセンター(CBT受験)
受験料
各試験ごとに15,000円(税別)
試験内容
以下は「LPIC-1」についてです。LPIC-1を取得するには101試験と102試験の2試験に合格しなければなりません。
【101試験】
四肢択一式、記述式 60問:90分
- システムアーキテクチャ
- Linuxのインストールとパッケージ管理
- GNUとUnixのコマンド
- デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準
【102試験】
四肢択一式、記述式 60問:90分
- シェルとシェルスクリプト
- ユーザインターフェイスとデスクトップ
- 管理タスク
- 必須システムサービス
- ネットワークの基礎
- セキュリティ
問題数:60問
試験時間:各90分
合格基準
合格点:800点満点の500点(62.5%)以上
合格発表
試験終了後、すぐに確認できます。
主催者情報
試験に関する詳しい情報はLPIC-1:Linux管理者| Linux Professional Instituteをご覧ください。