ひきこもり支援相談士って怪しいだけの民間の検定試験
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | 易しい | 99% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
指定講座受講 | 5~10万円 | 1か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
自己満足 | 0件 |
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年4月16日に集計。
単に講座受講料を目的としただけの怪しいナゾの資格商法です。
こういった民間の検定試験に合格してもひきこもり支援のような公的な仕事には就けません。
全国各地に「ひきこもり相談支援センター」「精神保健福祉センター」などがありますが、民間資格では支援業務として個々の相談にはのれません。
それは、ひきこもり相談支援センターで働く際の資格要件にひきこもり支援相談士が該当しないからです。
ボランティア程度なら可能です。
ひきこもり支援相談士とは
役に立たない民間資格
ひきこもり支援相談士とは、一般社団法人ひきこもり支援相談士協議会が認定する民間資格です。
実は、単なる現代版資格商法の代表例です。注意してください。
講座受講料と受験料を目的としているだけです。お金と時間の無駄です。申し込まないでください。
引きこもり当事者(つまり本人)あるいはその家族に第三者として寄り添い、良き相談相手となって支援を行うのが目的です。
ひきこもり支援相談士になるには、指定の通信講座を必ず受講しなければなりません。
講座の受講を通して、ひきこもりに対する正しい知識を身に付ける狙いがあります。
講座を受講後、レポートを送付してに課題に合格すればひきこもり支援相談士として認定されます。
非常に簡単な内容なのでほぼ100%誰でも合格できます。
合格後は、会費(認定料)5,000円を払って正式に認定してもらいます。認定は1年間有効です。1年毎にさらに会費(認定更新料)5,000円を払って更新します。
ひきこもり支援相談士協議会は、同様の民間資格として「不登校訪問専門員」も実施しています。こちらも負けず劣らず怪しさでいっぱいです。
主催者サイト:ひきこもり支援相談士認定協議会(http://www.khj-hsc.org/index.html)
※2023年10月頃に閉鎖されています。
役に立つ資格なのか?
ひきこもり支援相談士などとさぞ立派な名称ですが、受講料目当ての資格商法にすぎません。
こういった短期間で誰でも取得できるような怪しい民間資格でひきこもりの支援をするなど、あまりにも無責任な気がしてなりません。
自宅に訪問して問題改善のための支援や家族面談、カウンセリング等を行うなどもってのほかです。
当然ですが、公的な機関における求人などはなく就職や転職にもつながりません。
将来性について徹底研究
民間資格でひきこもりの相談業務などできません
ひきこもりを支援する公的な施設としては、全国各地に「ひきこもり相談支援センター」「ひきこもり地域支援センター」「精神保健福祉センター」などがあります。
ひきこもり相談支援センターの業務の目的は、大きく以下の2点です。
- 個々の相談にのる
- 市町村・民間団体との連携調整をする
こういった公的な施設で相談員として働くには、精神保健福祉士、社会福祉士、保健師、看護師などの国家資格が必要です。
小中高生が相談に訪れるような施設であれば、小中学校・高校の教員免許(1種・2種)が必要です。
上記のような資格を持っていなければ学歴を問われます。
大学・短大・専門学校にて社会福祉・心理学・教育・保健看護について学んでいなければなりません。
ひきこもり地域支援センターでは、社会福祉士、精神保健福祉士、保健師、公認心理師、臨床心理士等の資格を有するひきこもり支援コーディネーターが、ひきこもりの状態にある方やその家族へ相談支援を行い、適切な支援に結びつけます。
つまり、人命に関わることなので、専門の教育を受けていない素人には任せられない業務なんです。
ひきこもり支援相談士認定協議会のサイトを見ると、以下のように目的を説明しています。
《ひきこもり支援相談士養成の目的》
引きこもり当事者(本人・家族)に第三者として寄り添い支援を行うこと。
引きこもり回復の第一歩である中間施設(若者の居場所、グループホームなど)へと繋ぐこと。必要があれば医療機関等に繋いだり同行する。
引用元:ひきこもり支援相談士とは?|ひきこもり支援相談士認定協議会(閉鎖)
これだけを見ると、ひきこもり支援相談士はずいぶん立派な「資格」のような気がします。
しかし、残念なことにこの程度の民間資格では、ひきこもり支援業務として個々の相談にはのれません。
それは、ひきこもり相談支援センターで働く際の条件となる資格要件にも学歴要件にもひきこもり支援相談士が該当しないからです。
もちろん、ひきこもり支援コーディネーターにもなれません。
仮に働けたとしても、正規の職員の補助的な業務や事務作業、自宅訪問時の運転手、あるいは無償のボランティアなどです。ひきこもり支援相談士としては就職できません。
通信講座などで取れる安易な民間資格では、公共性の高い施設でお金をもらって相談業務などできません。
勉強法が確立しているとは言えず、学習する内容も曖昧です。
こういった民間資格でひきこもりの支援・相談業務などもってのほかです。
資格とは名ばかりの無責任な検定試験
ひきこもり支援相談士協議会には全国に30箇所の支部があり、全国的な活動実績をPRして受講生を募っています。
しかし、各支部での具体的な活動の実態などは一切紹介されていません。多くは個人名の記載で、ひきこもりの人の支援体制が整っているようには思えません。
また、地区の代表会員として「地区統括代表会員」が載っています。しかし、こちらに記されているのは人数だけで、活動内容などは不明です。
単に団体のPRをしているだけにしか思えません。おそらくその通りでしょう。
ひきこもり支援相談士認定協議会は、よく似た資格として、不登校訪問専門員の講座も運営しています。
こういった短期間で誰でも取得できるような民間資格で、ひきこもりや不登校児童を支援をするなど、あまりにも無責任な気がしてなりません。
仮に、ボランティア目的でひきこもり支援相談士について勉強するにしても、ひきこもりの人との関わり方が通信教育だけで身に付くとは考えない方が良いでしょう。
自宅に訪問して問題改善のための支援や家族面談、カウンセリング等を行うなどもってのほかです。取得する意味ないです。
テキスト・問題集・参考書
おすすめ参考書
内閣府の調査では、40~64歳のひきこもり状態にある人は推計61万人だということです。これは15~39歳の54万人を大きく上回っており驚きの数字です。
引きこもりというと、「多感な思春期の問題」と思っている人が多いと思いますが、実態は違います。このままでは、80代の親が50代の子どもの面倒を見なければならない「8050問題」が増々深刻になると考えられています。
ひきこもりという現象の現状、その心理分析と構造的理解、ありがちな偏見、具体的な支援の方法、家庭内暴力への対応、引きこもりの歴史的経緯、時代的・文化的背景などについて書かれており、とにかく盛りだくさんの内容です。
「ひきこもり」とはそもそも何か。何が正しい支援なのか。医師であり思春期精神医学の第一人者による決定版解説書です。
※ひきこもり支援相談士とは関係ない内容です。
種類 | 評価 |
おすすめ本 |
引きこもり問題に対応しているNPO法人のスタッフが書いた本です。
本書では様々なひきこもりの具体的事例を紹介しています。高学歴の人が不登校になったり、引きこもりになったりするケースが意外と多いことには驚きます。
一口に引きこもりと言っても、そこにはいろいろな事情や理由があります。また、相談にやってきた「親の問題」についても具体的事例を紹介して問題点を指摘しています。
親は、本人は、社会は、一体何をすればいいのか、多様性のある社会に解決の糸口を見つけようとして解決策を模索しています。
具体的にどうれば引きこもりが解消されるかまでは書かれていませんが、今の引きこもりの人たちの実態が良く理解できる一冊です。
※こちらももちろん、ひきこもり支援相談士とは関係ない良書です。
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