移動式クレーン運転士
資格所有者が少ないため就職や転職が有利になり給与アップも見込める。
種類 | 学習期間 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
国家資格 |
1か月以内 |
--- |
65%(60%) |
活かし方 | 取得費用 | 受験資格 | おすすめ度 |
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一生モノの技術 |
~20万円 |
誰でも受験可 |
※難易度を表すのはふさわしくないので省略します。
※学科試験の合格率は約65%、実技試験の合格率は約60%です。
最終更新日:2022/10/20
移動式クレーン運転士とは
「移動式クレーン」とは、動力を利用して自由に場所を移動できるクレーンのことを指します。
つまり、道路を走ることができる車両にクレーンがついているタイプのものです。
移動式でないクレーンとは、例えば倉庫や工場の壁などに設置されている床上運転式クレーンなどです。
つり上げ荷重が5トン以上の移動式クレーン(トラッククレーン、ラフテレーンクレーン、クローラクレーン、フローチングクレーン)などを運転するには、移動式クレーン運転士の国家資格が必要になります。
移動式クレーン運転士の資格を取得するには、労働安全衛生法にもとづく国家試験に合格しなければなりません。
多くの現場で幅広い需要がある
移動式クレーンは定置ではなく移動することができるクレーンですから、いろんな現場へ移動できます。
そのため、移動式クレーン運転士は活躍できる場所が多く、建築現場や土木現場はもちろんですが、造船場、工場、倉庫、港など幅広い分野で需要があります。
移動式クレーン運転士の免許は、あくまでもクレーンを操作するための資格です。クレーン付きの車両で公道を走行する際は車両に対応する中型自動車免許、大型自動車免許、大型特種免許などが必要です。
また、玉掛け作業も移動式クレーン運転士の資格ではできません。別途取得する必要があります。
主催者サイト:公益財団法人 安全衛生技術試験協会
移動式クレーンの免許は3種類
クレーンを操作する免許や資格は、吊り荷重によって以下の3種類に分類されます。
- 移動式クレーン運転士:吊り上げ荷重の制限なし
- 小型移動式クレーン運転技能講習:吊り上げ荷重が5t未満
- 移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育:吊り上げ荷重が1t未満
上から順に取得する難易度は高くなります。
移動式クレーン運転士の免許を取得するには、自動車免許を取得するのと同じで、まず教習所で移動式クレーン実技運転講習を受講し、教習所の実技検定合格を目指すのが一般的です。
「技能講習」は20時間(3日間)の講習、「特別教育」は13時間(2日間)の講習を受講すれば取得できます。所有資格により講習は短くなります。どちらも受講資格はないので誰でも受講でき、ほぼ全員合格できます。
関連資格:小型移動式クレーン運転技能講習とは
吊り上げ荷重が1t未満の小型移動式クレーンの作業が減っているため、「移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育」よりも「小型移動式クレーン運転技能講習」を受講したほうがいいでしょう。
役に立つ資格なのか?
移動式クレーン運転士の免許は、建築現場や土木現場、造船場、工場、倉庫、港湾など幅広い分野で役立つ資格です。
活躍できる場所が多く需要が高い資格ですが、取得している人が少ないため資格を持っている人は就職や転職が有利になります。
とは言え、やはり経験が重視される業界です。現場での経験が豊富であれば、将来的に長い間活躍できます。定年を迎えた後も働き続ける人も多いようです。
40代になって建設現場での作業が体力的にキツくなって、現場で使われることが多い移動式クレーン運転士の資格を取得する人もいます。クレーンのオペレーターであれば体力的にも少し楽になります。
建設業界は人手不足が深刻な業界のひとつです。中でも移動式クレーン運転士は需要に供給が追い付かない状況です。
資格を取得すれば安定した需要があり、役立つ資格であるのは間違いないようです。
将来性を徹底研究
取得するメリットは想像以上に大きい
移動式クレーン運転士の資格を取得すれば、吊り上げ荷重の制限なく大型のクレーンの操作も行えます。
しかし、どんなに大型のクレーンであっても、操作するのは運転士の手であり指先です。
高速操作をしても荷物が揺れない、荷物が揺れてもすぐに止められるなど繊細な指先の感覚や高い技術力が必要になります。
また、移動式クレーン運転士の資格を取得するには移動式クレーンのことだけを勉強すればよいわけではなく、油圧系の重機の知識も必要です。
もちろん、関係法令なども勉強しなければなりません。学ぶことが多いので、「勉強が苦手・・・」と言って途中で投げ出してしまう人も実は多くいます。
難しい資格だからこそ取得すると一生役に立ちます。周りからは「クレーンの指導者」「クレーンのプロ」という目で見られ、給与も上がります。定年まで安定収入が得られるでしょう。
経験を積んで、安全担当者や教育担当者として社内で活躍する人もいます。
将来性もあり取得するメリットが大きい資格です。
運転技術が伴っていないと合格できない!
移動式クレーン運転士の資格は労働安全衛生法に定められた国家資格です。
合格するためには学科および実技の試験に合格しなければなりませんが、実技試験の合格率は65%程度です。
当然ですが、ある程度の運転技術が要求されます。運転技術が伴っていないと合格できません。
そのため、まずは少し難易度の低いクレーン・デリック運転士の資格を取ってから、キャリアアップのために移動式クレーン運転士の資格を取得する人がほとんどです。
また、吊り上げ荷重5t未満の小型移動式クレーン運転技能講習を受講して、クレーンの知識と技能を身に付けて自信をつけてから移動式クレーン運転士を目指す人もいます。
いずれにせよ、移動式クレーン運転士は、簡単に誰でも合格できるような試験ではないようです。
玉掛け作業者の資格も取得しておきたい
移動式クレーンの免許と合わせて取得したいのが、「玉掛け作業者」の資格です。
関連資格:玉掛け作業者とは
「玉掛け」とは、クレーンのフック(先が曲がった金属製の器具)に、荷物を掛けたり外したりする作業のことをいいます。クレーンの作業に従事するなら、現場ではほぼこの作業が伴います。
玉掛け作業者の資格は、「玉掛け技能講習(3日間)」あるいは「玉掛け特別教育(2日間)」を受講すれば比較的簡単に取得できます。
玉掛け作業者を持っていれば、各種クレーンの資格取得時の料金が安くなったり、合図などの実技が免除になる場合があります。逆に、移動式クレーンを持っていれば玉掛け技能講習の一部が免除されます。
クレーンは重い荷物や大きな荷物を吊り上げます。バランス良くフックに掛けないと、落下や転倒などの事故が発生する場合があります。そのため、労働安全衛生法に基づいた講習で正しい知識や合図方法、技能を学びます。
特別教育を修了すると、つり上げ荷重(制限荷重)が1トン未満のクレーンの玉掛け作業ができますが、1t未満の玉掛け作業が減っていることから技能講習がおすすめです。
合格するには
移動式クレーン運転士の試験は、全国の安全衛生技術試験協会の各センター(安全衛生技術センター)で年に6回(2か月に1回)開催されます。
試験は、学科・実技の2つで、ともに合格しなければなりません。
移動式クレーン運転士の資格(免許)を取得する手段は以下の3パターンです。
- クレーン教習所へ通い、学科・実技ともに習う
- 学科のみ独学、実技はクレーン教習所で習う
- 学科・実技ともに独学で本試験に挑戦
やはり・・・クレーン教習所・学校に通って、実技・学科ともに学ぶのが合格への王道です。自動車教習所のような認定のクレーン教習所を卒業すれば実技試験は免除になります。
ほとんどの人は、自動車免許の取得の為に自動車教習所に通ったのと同じように、クレーンの教習所に通います。そこで配布されたテキストと問題集で勉強します。
やはり独学では取得するのは難しい
いきなり試験会場へ行って学科・実技を一発合格することも可能ですが、現実には実技試験をいきなり受験する人は少数です。
やはり、独学では難しい試験です。
すでに何らかのクレーン運転士の資格を持っているなら独学でも合格できるかもしれませんが、クレーンについて初めて勉強する人は、一体何のことを言っているのかわからない状態になります。
自動車免許取得には3~6か月かかりますが、移動式クレーンは最短で6日間、長くても1か月以内で取得できます。
教習所へ通うのであれば、仕事のスケジュールをどう調整するのかが重要になります。その期間は全力で勉強できるようにすれば学科・実技ともに合格できるはずです。
2.のパターンで、学科を先に取って実技は後で教習所で取ることも可能です。この場合、クレーン教習所では、実技教習のみになるので、若干料金が安くなります。
3.のパターンであれば、受験料だけで済むので最も安く取得できます。職場でクレーンの練習ができる環境であれば、直接試験場で受験しても合格できます。
そういう環境にいなければ、やはりクレーン教習所などの専門教習機関に入校するしかありません。
最終合格率は50%程度
移動式クレーン運転士の学科試験の受験者数は例年5,500人ほどです。
学科試験の合格率は3,600人ほどなので、合格率は約65%です。
学科試験に合格しないと、実技試験を受験できません。合格するために必要な勉強時間は、人によって違いますが、1週間~1か月もあれば十分でしょう。
教習所へ通ってある間はとにかく集中して勉強してください。
実技試験の合格者は、約60%です。
全体の受験者から学科と実技両方の合格者は概ね40%~50%程度です。
実技試験では、トラッククレーン・ホイールクレーン・クローラクレーンの中から、つり上げ荷重が5t以上のタイプを使用します。
経路にはポール障害やバー越え障害物、壁障害物が設置されています。つり荷の形状は重量500kg以上の円筒形です。
合図の試験は5肢択一方式で、基本的な合図から出題されます。
実技試験の場合、減点の合計が40点以下であれば合格です。
試験情報
試験日 |
お申込み |
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1年に6回開催 |
試験日の2カ月~14日前 |
受験資格 |
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受験資格の制限は一切ありません。どなたでも受験できます。 |
試験内容 |
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試験地:全国7カ所の安全衛生技術センター(北海道、宮城県、千葉県、愛知県、兵庫県、広島県、福岡県)
資格試験内容
【実技試験】
※自動車教習所のような認定のクレーン教習所を卒業すると実技試験は免除になります。
【合格率】最終には50%ほど。 |
試験に関する詳しい情報は受験資格(移動式クレーン運転士)をご覧ください。
おすすめテキスト・基本書
移動式クレーン運転士学科試験 徹底研究 改訂2版 | |||||
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移動式クレーン運転士学科試験 徹底研究 改訂2版 |
移動式クレーンについて何も知らない状態から勉強しようと考えている人にはおすすめの一冊です。
初学者が、いきなり過去問題を解くには無理があります。理解できずに挫折の原因になりかねません。
こちらの参考書であれば、用語や意味について詳しく解説しているので理解が進みます。確認問題やまとめとしての問題も掲載されているので、しっかり読み込めばかなり実力が付きます。
実技試験前に学科試験をパスしておきたい方や、教習所へ行く前に少しでも移動式クレーンについて理解しておきたい人には特におすすめできる本です。 |
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おすすめ問題集
移動式クレーン運転士 過去問題・解答解説集 2022年4月版 | |||||
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独学で学科を受験するのであれば、この過去問題集がおすすめです。これだけで一発合格する人も珍しくありません。
本試験は過去問からの出題が多いです。テキストを3周やって、わからない内容は解説をよく読んで理解すれば、テキストにない問題が出題されても対応できます。
解説も丁寧で分かりやすいのでおすすめです。 |
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