【クレーン・デリック運転士】高い需要が見込める有望資格、教習所へ通うのが一般的
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | — | 60(50)% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~16万円 | 1か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 657件 |
- 難易度を表すのはふさわしくないので省略します。
- 合格率は学科試験では約60%、実技試験の場合は約50%です。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年4月18日に集計。
クレーン・デリック運転士とは、工場の天井付近や建設現場に定置(固定)され限られた範囲を移動するタイプのクレーンを運転する免許(資格)です。
過去問で独学で勉強して学科試験に合格した後で実技は教習所で学びクレーン限定を取得するのがおすすめです。
クレーンの免許(資格)はいくつか種類がありますが運転できるものが違います。
クレーン・デリック運転士とは
大型UFOキャッチャー
クレーン(crane)とは、皆さまご存知の通り巨大なものや重いものを吊り上げて運ぶ機械のことです。
UFOキャッチャーを大きくして、建設現場や工事現場で使うようなイメージです。
もう少し詳しく説明すると、クレーンとは動力によって荷をつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置です。
要約すると以下の通りです。
- 荷を動力を用いてつり上げる(人力によるものは含まない)
- 荷を水平に運搬することを目的とする機械装置(人力によるものも含む)
動力によって荷をつり上げることがクレーンの要件で、人力によって荷をつり上げるものはクレーンに該当しません。
水平方向の移動は人力・動力いずれであってもクレーンに該当します。
クレーンを運転する免許は2種類
なお、クレーンを運転(操作)するための資格は、クレーンデ・リック運転士免許と移動式クレーン運転士免許の2種類に分けられます。
クレーン・デリック運転士は、工場の天井付近や建設現場に定置(固定)され、限られた範囲を移動するタイプのクレーンを運転する資格です。
トラックの荷台付近にクレーンが付いて、必要に応じて現場を移動するタイプ(いるいわゆるユニッククレーン)は除きます。その場合、移動式クレーン運転士免許が必要になります。
つまり、クレーンには、移動するタイプと固定されたタイプの2種類があり、そのうち固定式のクレーンを運転する資格がクレーン・デリック運転士免許というワケです。
クレーン・デリック運転士の免許は3種類
クレーン・デリック運転士免許には3種類あります。
- クレーン・デリック運転士(限定なし):すべてのクレーンとデリック
- クレーン・デリック運転士(クレーン限定):デリックを除くすべてのクレーン
- クレーン・デリック運転士(床上運転式クレーン限定):床上運転式クレーンとデリック
※この資格の分類は、旧来のクレーン運転士とデリック運転士の免許を統合して2006年4月1日から始まりました。
例えば、クレーン・デリック運転士(限定なし)の実技教習を修了して学科試験を合格すれば、つり上げ荷重が5トン以上の天井クレーン、橋形クレーン、ジブクレーン、ガイデリック、スチフレッグデリック、ジンポールなどの各種クレーンおよびデリックを運転できます。
参照:クレーン運転の資格(クレーンの資格について見やすくまとまっています)
クレーン・デリック運転士(クレーン限定)を取得すると、吊り上げ荷重に関わらず床上操作式クレーン、床上運転式クレーン、無線操作式クレーンを操作・運転できます。デリックは運転できません。
デリックは、日本国内に150台ほどしかなく、現在ではほとんど需要がなくなりました。したがって免許の需要もほぼありません。
床上運転式クレーンとは、床上でクレーンを運転し、運転者がクレーンの走行方向のみに移動するタイプのクレーンです。運転者は走行の際は荷と一緒に歩きますが、横行の時は一緒に歩く必要はありません。
床上操作式クレーンとは、運転をする者が荷の移動(横行と走行・縦と横)と共に移動するタイプです。
関連資格:床上操作式クレーン運転技能講習とは
※クレーン全体がレールに沿って移動する動きを走行といい、それに対する直角の動きが横行です。UFOキャッチャーを例に上げると、最初のクレーンの動きが走行で、奥へと移動する動きが横行です。
参考:資格の紹介(クレーン・デリック運転士(限定なし)〔クレーン限定〕〔床上運転式クレーン限定〕)
役に立つ資格なのか?
今後も需要が見込める有望資格
工事現場、建設現場、工場、倉庫・・・多くの場所で様々なクレーンが使われています。
そのため、クレーンを運転する資格があれば就職や転職は有利になります。今後も有資格者の需要が見込めます。
ただし、資格を取るだけではなく、もちろん現場経験も必要になります。
手に職を付けたいという人にはピッタリです。
大きな機械を操縦して荷物を運ぶクレーン運転士は肉体労働のイメージがありますが、実際は繊細な仕事が多く精神力も必要です。
例えば、鉄骨の穴に小さなボルトを通す際のオペレーター作業はハイレベルな熟練の技術を要します。早々簡単には身に付きません。
まずは移動式クレーンからでも十分役に立つ
腕を磨いて海外の大規模ダム建設現場などでクレーンを操る人もいます。もちろん危険も伴います。
まずはクレーンの資格を取って就職に活かしたい・・・というのであれば、移動式クレーンから入るのがおすすめです。
各現場へ移動できる移動式クレーンはメリットが大きく、建設業のほとんどの現場で利用されています。
どちらかと言えば、工場に固定されたクレーンよりも移動式クレーンの方が需要があって求人は全国で見つかります。
将来性について徹底研究
職場にデリックがなければ「クレーン限定」で十分
前述の通り、デリックと呼ばれる特種なクレーンは日本全国に150台程度しかなく、今後も減る一方で需要は見込めません。
一方、一般的なクレーンは日本に約13万台以上もあります。
そのため、就業先にデリックがない限り、3種類あるクレーン・デリック運転士の免許の中では「クレーン限定」で十分です。
「限定なし」であればデリックに関する問題も出題されるので覚える項目が多くなります。自信がなければまずはクレーン限定からおすすめします。
限定はちょっとカッコ悪いと感じられるようでしたら、各免許の限定を解除する「限定解除」の試験を受けるのもいいでしょう。
限定解除の試験は年に一回(10月)に実施されます。
この場合、デリックに関する知識と法令に関する学科試験のみです。
日本クレーン協会から出版されているデリック運転士教本を使えば合格できます。
玉掛け作業者の資格も取得しておきたい
クレーンの資格全般に言えることですが、是非合わせて取得したいのが玉掛け作業者の資格です。
「玉掛け」とは、クレーンのフック(先が曲がった金属製の器具)に、荷物を掛けたり外したりする作業のことをいいます。クレーンの作業に従事するなら、現場ではほぼこの作業が伴います。
玉掛け作業者の資格は、「玉掛け技能講習(3日間)」あるいは「玉掛け特別教育(2日間)」を受講すれば比較的簡単に取得できます。
玉掛け作業者を持っていれば、各種クレーンの資格取得時の料金が安くなったり、合図などの実技が免除になる場合があります。
逆に、クレーン・デリック運転士を持っていれば玉掛け技能講習の一部が免除されます。
クレーンは重い荷物や大きな荷物を吊り上げます。バランス良くフックに掛けないと落下や転倒などの事故が発生する場合があります。
そのため、労働安全衛生法に基づいた講習で正しい知識や合図方法、技能を学びます。
特別教育を修了すると、つり上げ荷重(制限荷重)が1トン未満のクレーンの玉掛け作業ができますが、1t未満の玉掛け作業が減っていることからつり上げ荷重に制限のない技能講習がおすすめです。
さらに、フォークリフト運転技能講習も受講すれば活躍の場が増えます。
床上操作式クレーンでも十分活かせるが・・・
扱っている重量物や加工している物によっても違いますが、多くの工場では床上操作式クレーンが主流です。
物流業や大型倉庫などでは処理能力の高い大型クレーンを使用していますが、台数自体はそんなに多くありません。
つり上げ荷重3t以上のクレーンになると、指定機関による性能検査があり維持費がかかります。そのため、大型のクレーンの数は必要最低限に留めています。
荷とともに運転者が移動する「床上操作式クレーン」であれば、つり上げ荷重5トン以上(つまり無制限)であっても床上操作式クレーン運転技能講習(3日間の講習)を修了すれば操作できます。
一般的な工場や倉庫内のレーンであれば床上操作式クレーンの資格だけでも十分です。
ただ、近年は仕事の高効率化やケーブル巻のき込まれ事故を防ぐために無線化されたクレーンが増えています。
床上操作式技能講習を修了しても無線式のクレーンは運転できません。タワークレーンも機上式天井クレーンも運転できません。
クレーン・デリック運転士であれば、仮に「クレーン限定」であっても移動式クレーン以外全てのクレーンの操作ができます。
もちろん無線式も運転できるのでより多くのり需要に応えられます。
経験を積んで転職する場合や仕事の幅を広げたいのであれば、床上操作式クレーンよりもクレーン・デリック運転士免許の方が活かせます。
合格するには
クレーン教習所へ通うのが一般的
クレーン・デリック運転士の試験は、全国の安全衛生技術試験協会の各センターで毎月開催されています。
試験は、学科・実技の2種類で、ともに合格しなければなりません。
クレーン・デリック運転士の資格(免許)を取得する手段は以下の3パターンです。
- クレーン教習所へ通い、学科・実技ともに習う
- 学科のみ独学、実技はクレーン教習所で習う
- 学科・実技ともに独学で本試験に挑戦
クレーン教習所・学校へ通って、実技・学科ともに学ぶのが確実です。
自動車教習所のような認定のクレーン教習所を卒業すれば実技試験は免除になります。
クレーン限定の学科・実技両方のコースで最短で6日間、\150,000円くらいの費用で受講できます。
多くの人は、自動車免許の取得の為に自動車教習所に通ったのと同じように、クレーンの教習所に通います。そこで配布されたテキストと問題集で勉強します
次に多いのは、先ず独学で問題集を買って学科試験に合格します。続いて近隣のクレーン教習所に通い、そこで実技試験の免除の教習を受ける方法です。
これが一番時間的に節約できるかもしれません。学科に合格していれば教習所の費用も若干安くなります。
学科は2か月ほどしっかり勉強すれば合格できる
全く予備知識がなくても、2~3か月しっかりと勉強すれば合格できるはずです。
「限定なし」を受験するなら、デリックの知識も必要なのでもう少し勉強時間が増えます。
本試験では過去の問題が繰り返し出題されます。
まったく同じ出題もあれば、数字だけが変わっている、正解と不正解が逆なだけ、解答群の数字が入れ替わっただけの問題などが出題されます。
最低でも過去問題集5年分を勉強しましょう。もちろん解答を暗記するだけではダメで内容を理解しなければなりません。
実技は素人が直接受験してもまず合格できない
合否を分けるのはやはり実技です。
自信が有れば試験場で受けるのもよいかもしれませんが、初心者がいきな試験場で実技試験に合格するのは相当難易度は高いです。
単純に言うと、教習所の採点は免許取得のため、試験場は振り落とすための試験です。
最寄りのクレーン教習所に入校して卒業し、1年間の実技試験免除で学科試験のみ試験場で受験するのが確実です。
クレーン学校では実技を教えてくれますが、講師の言うことをよく聞いていれば大丈夫です。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
※「クレーン限定」用の学科試験受験対策本です。
豊富な写真、図面、説明文で詳しく解説されていて、構成配置もよく考えてまとめられています。教習所の教本より数倍分かりやすい内容です。
この本は、前半部分は主にテキストになっていて、イメージしづらい専門用語をイラストや写真でわかりやすく解説しています。後半部分は、過去問題と解説になっています。
基本的な学習を前半部分でしてから、後半部で直近6回分の過去問を繰り返し問いて、間違いの多い部分を前半の解説に戻って確認します。
繰り返し学習すれば確実に問題が解けるようになり、合格レベルに達します。
種類 | 評価 |
テキスト&過去問題集 |
おすすめ問題集
「限定なし」向けの6回分模擬問題集です。本試験と同じ形式で学習できます。
過去問中心で学習する人が多いと思いますが、もちろん試験では過去問以外からも出題されます。
過去問だけでは心配だという人は、こちらもやっておくと、ひねった問題にも慌てずに対応できます。
内容的に少し難しい問題集なので、ある程度学習を進めた人向けです。
種類 | 評価 |
模擬問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
毎月実施
お申し込み
概ね試験の2か月前から
受験資格
受験資格の制限はなく、どなたでも受験できます。
試験会場
全国7箇所(北海道、宮城県、千葉県、愛知県、兵庫県、広島県、福岡県)のセンターにて実施
受験料
学科:6,800円
実技:11,100円
試験内容
【学科試験】13:30~16:00(2時間30分)
- クレーンおよびデリックに関する知識 10問(30点)
- 関係法令 10問(20点)
- 原動機および電気に関する知識 10問(30点)
- クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 10問(20点)
【実技試験】
- クレーンの運転
- クレーンの運転のための合図
合格基準
- 筆記試験:100点満点中、60点以上で合格。ただし、各科目ごとに40%以上正解していること。
- 実技試験:減点の合計が40点以下で合格。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は受験資格(クレーン・デリック運転士(限定なし))をご覧ください。