義肢装具士とは?需要も将来性もある狙い目の医療系国家資格
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | — | 80~90% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
養成課程修了 | 200万円~ | 3年以上 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
一生モノの技術 | 80件 |
- 義肢装具士になるには、所定の養成機関で必要な教育を修了し国家試験に合格しなければなりません。
- 合格率は最終の国家試験についてです。
- 全国求人数は、ハローワークの情報を基に2024年4月20日に集計。
手足の一部を失った人のために手脚の役割を果たす義肢や身体をサポートする装具を作るのが義肢装具士の主な仕事です。
比較的新しい国家資格で養成校も全国に10校しかありません。
そのため有資格者の数が不足しています。
一方で需要は高く就職率はほぼ100%の有望資格です。
義肢装具士とは
手脚の役割を果たす義肢と装具を作る専門家
事故や病気で手足の一部を失った人のために、手脚の役割を果たす「義肢(ぎし)」や身体をサポートする「装具(そうぐ)」を作るのが義肢装具士の主な仕事です。
義肢とは、手や脚を失った人の元の手足の形態または機能を復元するために装着する「人口の手足」です。
手足腕につける人工の義肢を「義手」、脚につける義肢を「義足」と呼びます。
装具とは、一時的に失った身体機能を補い、回復を図るために装着するものです。
コルセット、サポーター、インソール、義眼などが装具に含まれます。
義肢装具士は、医師の指示のもと患者さんの体型に合わせて採型(さいけい)・採寸(さいすん)を行います。
採型とは、文字通り「型を採る」作業のことで、対象となる部位の形状の鋳型をとる作業です。
また、義肢装具士は装着後の調整やトレーニングも行います。
義肢や装具が患者の身体に適合しているか、あるいは正しく機能しているかをチェックし、日常生活に適応するように調整します。
1987年に誕生した医療系国家資格
近年では、パラリンピックなどで義足を付けたアスリートが活躍する姿がマスコミなどで報じられ、義肢装具士の仕事が一般に知られるようになりました。
日本で義肢装具士の資格制度が誕生したのは1987年です。
医療専門職のなかでも比較的新しい国家資格です。
義肢装具士は、一般的にPO(Prosthetist and Orthotist)と呼ばれています。
義肢装具士は、リハビリテーション医療チームの一員として働くことが一般的です。医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などと協力しあって患者のリハビリテーションに貢献します。
なお、福祉用具専門相談員の資格は、指定の講習を修了すると得られます。
役に立つ資格なのか?
就職率はほぼ100%、就職先は民間企業
毎年200名前後の義肢装具士が誕生していますが(第36回国家試験の合格者は162人)、資格取得者よりも求人数が多い状況が続いています。
圧倒的な売りて市場で大学・専門学校の多くでほぼ100%の就職率を達成しています。
義肢装具士は、主に民間企業である義肢装具製作会社に勤務します。
その会社の社員として提携している病院・リハビリテーション施設へ出向き、そこで多くのメディカルスタッフと連携してチーム医療を実践します。
その点が、多くが病院やリハビリ施設に勤務する理学療法士や作業療法士とは異なります。
義肢装具士の活躍の場は、福祉用具や福祉機器などのリハビリ機器メーカーなどにも広がっています。
さらに、義足や義手が必要な人が多い発展途上国などで国際支援活動に従事する義肢装具士もいます。
将来性について徹底研究
コミュニケーションスキルも求められる職人
義肢装具士は、モノづくりのプロフェッショナルというイメージの職業です。
患者の身体に合わせてギプス等で型をとり、その型をもとに義肢装具を製作します。
材料は金属、プラスチック、皮革、繊維材料など様々です。加工には大型の工作機械も細かな工具も使います。
装具を間違えると症状の悪化もありえます。
不具合があれば原因を突き止めて調整し、さらにまた調整を繰り返して最終的に身体に適合した義肢装具を提供します。
そのためにはコミュニケーション・スキルも重要です。
患者だけではなく、医師や他のメディカルスタッフとの円滑な人間関係も求められます。
義肢装具士に向いている人とは、笑顔で「双方向のやり取りができる人」なのかもしれません。
もちろん医学に関する知識が必要となるのは言うまでもありません。
義肢装具士になるには
養成課程のある大学か専門学校で履修
義肢装具士になるには、養成課程のある専門学校あるいは大学で3年以上義肢装具士として必要な知識および技能について学習します。
その後、国家試験に合格すると免許が与えられます。
2024年4月現在で、義肢装具士の養成校は10校(大学院クラス1校、大学4校、専門学校5校)あります。
乱立ぎみに増えすぎた理学療法士や作業療法士の専門学校と比べると少数です。
難易度は低く専門学校であれば入学は容易
義肢装具士になるための養成校は、専門学校であれば入学希望者が少なく入学は比較的容易です。
4校ある大学も偏差値は40~52くらいなので難関というほどでもありません。
国立障害者リハビリテーションセンター学院は大卒者が対象の大学院的な扱いです。そのため難易度は高いようです。
中には入学試験が国語程度という専門学校もあります。不合格になる可能性はほとんどないでしょう。
大学に行くか専門学校に行くかという点についてですが、義肢装具士として早く働きたいのであれば専門学校のほうが1年早く卒業できます。
高い専門性を身につけたいのであれば大学進学がおすすめです。
卒業後に大学院へ進んでさらに研究することもできます。
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テキスト・問題集・参考書
おすすめ参考書
精巧な義手や義足を作り、使用者に合わせた調整まで担う義肢装具士。
パラリンピックなどで注目される機会も増えました。実際の仕事の様子から国家資格の取り方まで詳しく解説しています。
種類 | 評価 |
参考書 |
義肢装具士、理学療法士を志す学生におすすめの一冊です。
運動学の本質を簡潔にまとめたテキストです。基礎的な内容について詳しく書かれているため、授業の予習復習用に最適です。
義肢装具士の国家試験によく内容が引用されているという噂です。
種類 | 評価 |
参考書 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年1回:2月下旬
お申し込み
1月上旬~中旬
受験資格
専門の養成機関で定められた課程を修了という学歴の条件があります。
詳しくは義肢装具士国家試験の施行|厚生労働省をご覧ください。
試験会場
東京都
受験料
59,800円
試験内容
【国家試験の試験科目概要】
- 臨床医学大要(臨床神経学、整形外科学、リハビリテーション医学、理学療法・作業療法、臨床心理学および関係法規を含む)
- 義肢装具工学(図学・製図学、機構学、制御工学、システム工学およびリハビリテーション工学)
- 義肢装具材料学(義肢装具材料力学を含む)
- 義肢装具生体力学
- 義肢装具採型・採寸学
- 義肢装具適合学
合格基準
一般問題を1問1点、実地問題を1問2点 合計130点満点とし、78点以上を合格とする。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は義肢装具士情報|公益財団法人テクノエイド協会をご覧ください。