作業療法士とは?求人は多く女性におすすめの医療系専門職
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | — | 80% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
指定講座受講 | 200万円~ | 3年以上 |
活かし方 | 全国求人数 | おすすめ度 |
一生モノの技術 | 10,667件 |
- 作業療法士になるには、所定の養成機関で必要な教育を修了し国家試験に合格しなければなりません。
- 合格率は最終の国家試験についてです。
- 全国求人数は、ハローワークの情報を基に2024年5月28日に集計しました。
入浴や食事など日常生活の動作や、手工芸、園芸及びレクリエーションまで、あらゆる作業活動を通して体と心のリハビリを行うのが作業療法士です。
全国的に求人は多く、就職や転職には困りません。
学生のうちに取得すれば就活が有利になるような民間資格はありません。
訪問リハビリテーションでは自動車免許は必須です。学生のうちに取得しましょう。
作業療法士とは
作業活動を通して体と心をリハビリ
作業療法士は、食事や入浴など日常生活の動作や、手工芸、園芸及びレクリエーションまで、あらゆる作業活動を通して体と心のリハビリを行います。
その他にも例えば、編物、手芸、織物、陶器、人形づくり、銅・革・竹細工、木工、金工、園芸、農耕、芝居、音楽演奏、ゲーム、スポーツなどの中から、患者が積極的に参加できる種目を選び、その作業を通して機能の回復を計ると同時に家庭や社会への適応回復能力を高めていきます。
作業療法士が理学療法士と異なる点としては、作業療法士はそううつ(躁鬱)病及び摂食障害などの精神的な障害がある患者もリハビリの対象としているところです。
当サイト運営者の友人が、以前軽いそううつ病になり入院しました。
彼の症状はあくまでも精神的な病気であって体が悪いわけではないので、入院といっても特に終日ベッドで横になっている必要はありません。
そんな入院中に、心をケアするために曜日を決めてゲームや手工芸などのリクリエーションを指導してくれたのが若くて笑顔の耐えない作業療法士でした。
関係団体:一般社団法人 日本作業療法士協会
理学療法士と作業療法士の違い
作業療法士は一般的にOT(Occupational Therapist)と呼ばれています。よく似た国家資格でもある理学療法士はPT(Physical Therapist)と呼ばれています。
理学療法士と作業療法士とではリハビリの目的が違います。
理学療法士は、患者の主に腰から下の下半身の機能の回復のリハビリが専門です。
つまり理学療法士は、起き上がる、座る、立ち上がる、歩く、…等々、生活する上での基本動作を担当します。
関連資格:理学療法士とは
一方、作業療法士は、主に腰から上の上半身の機能の回復のリハビリが専門です。
手を使って文字を書く、箸を使って食事を摂る、洗濯物を干す…といった応用動作を担当します。
例えば、ケガや手術などによりベッドの上で長期安静を余儀なくされていた患者は、ケガが治ったからといってすぐに身体を自由に動かせません。以前と同じ生活を取り戻すためにリハビリをはじめます。
そこでまずは理学療法士が、患者が足を使って部屋の中を自由に動けるようになるまでのリハビリを担当します。
作業療法士はさらにその先、もっと生活しやすくなるように患者が関節や筋肉を動かし体を動かせるようになるためのリハビリを担当します。
- 理学療法士:下半身、足(脚)の訓練と移動
- 作業療法士:上半身、手の訓練と衣食などの身の回り
といった分け方もできます。
ちなみに言語聴覚士は、首から上、口に関係する「話す、食べる」が担当になります。
関連資格:言語聴覚士とは
それぞれの役割分担は曖昧だが法律上は別の職種
日本では、「理学療法士及び作業療法士法(PTOT法)」という法律で、作業療法士と理学療法士を別々に定義しています。2つは別職種になります。
実際のリハビリの現場では、理学療法士と作業療法士の役割の分担は曖昧な場合が多いようです。
足を使うリハビリだから理学療法士に代わって、手を使うリハビリだから作業療法士にその都度代わるなんて現実的じゃありません。
理学療法士も作業療法士も名称独占資格であって業務独占資格ではないめ、どちらがお互いの業務をしても法律上問題はありません。
しかし、作業療法士と理学療法士の仕事を明確に区別している施設も少なくないです。
例えば、先ほどの当サイト運営者の友人の場合ですが、精神的な病気であって身体の機能には問題はないため、この場合、精神科の作業療法士がリハビリをしなければ診療報酬は認められません。
病院等では施設基準(専従の常勤作業療法士が3名以上勤務していることという国の基準)をクリアするために作業療法士と理学療法士を明確に分けて登録しています。
役に立つ資格なのか?
患者に喜ばれる尊い仕事
当サイトの理学療法士のページでも紹介していますが、作業療法士も患者に喜ばれ感謝される尊い仕事です。
作業療法士が熱心にレクリエーシに取り組むことによって、今まで暗かった患者の顔に笑顔が戻ります。
それが例え単純な折り紙やお遊び程度のリクリエーションだったとしても、患者は真剣に取り組み、病気や疾患からくる障害を乗り越えたときには患者だけではなくその家族や周りの人も満面の笑みにすることができます。
笑顔をもらえる現場は無数といってよいほどあり、非常に尊い仕事です。専門性が高く一生涯役立つ資格です。
医者は患者に必要な処置を施すことによって命を救い寿命を延ばします。そして作業療法士は、その命の質を以前と同じ状態に戻すためにリハビリを通して自然回復以上の結果を得るように努めます。
医者以外で人の体に直接触っての「診療行為」ができるのは理学療法士と作業療法士だけです。
看護師も人体に触れますが、彼女(彼)らが実施するのは、あくまでも「看護」です。
※当サイトの理学療法士のページと一部重複しています。ご了承ください。
こだわらなければ就職先は見つかります
就職先の病院・施設の所在地や、自分がやってみたいリハビリの分野などを選ばなければ就職先が見つからないという心配はそれほどありません。
理学療法士と同様に作業療法士も供給過剰、飽和状態などとも一部言われていますが、仮に新卒や若年層であれば日本中どこでも就職先の施設は見つかりますし、経験と業務に対する前向きな姿勢さえあれば転職先にも困りません。
作業療法士の主な就職先は身体障害者施設、精神障害者施設、老人保健施設などです。特に老人保健施設は都心部だけではなく地方で増える傾向があります。
ただ、養成校の乱立により有資格者数が増え続けており、仕事に対する前向きな姿勢がない作業療法士・理学療法士は淘汰されますし就職先も限定されるでしょう。
訪問リハビリテーションは比較的給料がいいですが、その場合必須となるのはなんと言っても自動車免許です。学生のうちに取得するのをおすすめします。
リハビリをした内容をパソコンに入力する作業も多いので、パソコン操作については一定レベル以上習得しておいた方が良いでしょう。もちろん就職後に覚えても問題ないです。
将来性について徹底研究
年収・給与面での待遇について
作業療法士の年収は決して高額とは言えません。
これは理学療法士にも言えます。どちらかと言えば年収は低いという意見が多いようです。
とは言っても普通に生活できるくらいは貰えます。ボーナスも夏・冬と出る病院や施設がほとんどです。一般の企業に勤めるサラリーマンとさほど違いはありません。
初任給こそ今のところ一般企業並ですが、作業療法士の数が増え続けているので年々低下傾向です。現に、低い年収でも応募があるようです。
昇給は少ないようです。年功序列的に給与が毎年確実にアップすることはありません(一般企業にもいえますが)。同じ施設で長年勤務するメリットは少ないと言えます。
同じ勤務先で経験を積んで責任のある立場になればそれなりに年収も増える病院・施設もありますが、勤務先の給与体系によります。
病院の多くは福利厚生が充実していませんが、日赤のような大規模病院や自治体が運営する公共の病院(つまり公務員になる)であれば、手当も多く、福利厚生面も充実しています。
年収も高めでほぼ確実に毎年昇給します。そういった病院へ一度就職したら、まず途中で退職しないので欠員もでません。
当然ですが、本人の努力や能力次第でかなり年収に開きが出ます。自分を積極的に売り込んで、条件の良いところへ何度も転職する作業療法士もいます。
長く同じ施設に勤めている人が少ないので、長く勤めていれば機能訓練室長というような中間管理職に就けるケースもあります。
ただ、そうなっても手当が少ない上に余計な作業が増えるという理由で役職を敬遠する作業療法士も少なからずいるようです。
どんな仕事にでも言えますが、仕事の本音・・・語りだしたらキリがないです。
作業療法士と理学療法士、どちらを目指すべきか?
作業療法士と理学療法士は似ていますが、資格としては別になります。
一般的にイメージされるリハビリは理学療法であることが多いので、理学療法士の志望者が多いのが現状です。
例えば、作業療法士の業務内容には、料理、裁縫、あみもの、折り紙、浴室での体洗いなどがあります。
やはりこういった手先の作業は男性は敬遠しがちです。男性の多くは理学療法士を目指します。
一方で、モノを作るのが好きなので一緒に作業をしながら工作もできるという理由で作業療法士を選ぶ人もいます。女性に多いようです。
スポーツ関係へ進みたいのなら理学療法士の方が就職しやすいですし、お年寄りと触れ合う機会が多い老人保健施設なら作業理学療法士の方が就職しやすいです。
就職しやすいのは作業療法士か?あるいは作業療法士か?と疑問を持たれる方が多いようですが、答えは人によって違います。
「もちろん理学療法士だ!」という人もいれば「就職先を選べるのは作業療法士!」という人もいます。
多少地域性があるとは思いますが、就職の決まりやすさで言えばほぼ同じではないでしょうか。
新規で資格を取得する人と求人数のバランスが微妙に保たれているようです。
どちらの方が就職しやすいというのはないと思います。「理学療法士あるいは作業療法士のどちらか」という採用枠で募集している施設も多くあります。
気になる給与面ですが、作業療法士と理学療法士とでは差をつけてないところがほとんどです。
作業療法士と理学療法士ではどちらの取得が難しいか?
高校卒業後に、大学や専門学校などの養成校を受験する際は理学療法士のほうが人気があって倍率は高いです。
理学療法士の学部に行けなかったから作業療法士の学部にしたという人もいます。
これは作業療法士のほうが難易度が下というよりも、理学療法士のほうが人気で倍率が高いということにすぎません。
最終の国家試験レベルになると、理学療法士も作業療法士も難易度は同じくらいです。ほとんど違いはないです。
入学後、どちらの学習内容が難しいかは個々の感覚次第だと思います。学習量としては作業療法士も理学療法士も大きく差はありません。
学習内容としてはかなり専門的で、解剖学、運動学、生理学などの科目は驚くほど高度な知識を習得します。覚えなければいけない内容が広範囲で、学習を続けるのは決して楽ではないです。
作業療法士は精神科もあるため、認知症や統合失調症についても学びます。老人保健施設で働く場合、認知症の患者と接する機会が多いので理学療法士に比べたら詳しく学習します。
その分、就職の幅は若干広いようです。
一方で理学療法士は、温熱療法等の物療についても詳しく学んでいるようです。
理学療法士と作業療法士とでは勉強する内容も違ってくるので、自分が学習したいと思える学部に進んでください。
就活を控えて他に取得しておきたいおすすめの資格は?
「少しでも就活が有利になるような資格は何かありますか?」「持ってるといい資格は?」
こう考える学生が多いようです。就職先で給与などの待遇は違いますから、少しでも条件の良い所へ就職したいと思うのは当然でしょう。
結論から申し上げると、そういった資格はありません。
例えば、よく考えがちなのが、心理カウンセラー、MOS、食生活アドバイザーなどの民間資格です。
こういった誰でも短期間で取得できる程度の民間資格など、採用する側は評価しません。
重要なのは在学中の成績です。成績が良い学生はほとんど苦労することもなく人気の病院などへ就職できます。
「就職が有利になるような他の資格は何か?」と言っている学生は、概ね成績も良くないです。
成績もイマイチ、授業もよく休む、実習の態度も良くない、国家試験も微妙・・・これじゃあ就職先もしれてます。
これから養成校へ進もうと考えている方、在学中の成績は想像以上に重要ですよ!
現役の作業療法士に役立つ資格
作業療法士の仕事をする上で役立つ他の資格、ダブルライセンスとして役立ちそうな資格がいくつかあるので紹介します。
- 福祉住環境コーディネーター
- 3学会認定呼吸療法認定士
- 認定作業療法士
- 専門作業療法士
- ケアマネジャー(介護支援専門員)
この中で一番簡単なのは、福祉住環境コーディネーターです。
民間資格ですが、公共性が高い一面があります。受験制限が無いので誰でも受験できます。
知識としては役立ちますが、それ以外に大きなメリットはありません。もちろん就活ではほぼ意味ないです。
3学会認定呼吸療法認定士とは、日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会が認定する公共性の高い民間資格です。
作業療法士・理学療法士・臨床工学技士・看護師は2年以上、准看護師であれば3年以上の実務経験が必要です。受験するには学会や講習会にも参加しなければなりません。
認定作業療法士や専門作業療法士は、作業療法士協会が認定する資格で、作業療法士の上位という位置付けです。
同協会によると、現状(2022年11月1日現在)では作業療法士の数が約66000人ですが、認定作業療法士は1319名、専門作業療法士は142名しかいません。数字だけを見ると取得者は少ないようです。
参照:認定作業療法士一覧|日本作業療法士協会 、専門作業療法士一覧|日本作業療法士協会
実は、受験するのに条件がいろいろあって手間と時間がかかり、取得後の更新費用もかかるとあって取得する人が少ないということです。
合格しても診療報酬に加算されないので病院の売り上げアップにはつながりません。もちろん病院が手当てをくれるわけもありません。
取得する手間と費用のワリには見返りがないので人気がないということです。
最後にケアマネジャー(介護支援専門員)ですが、作業療法士として5年以上の実務経験があれば受験資格を得られます。
大きなメリットが期待できるワケじゃありませんが、国家資格なので転職の際に有利になる可能性はあります。
いざという時のために別の国家資格も取っておこうという理由でケアマネジャーを取得する人が多いようです。
前述の通り、自動車免許は持っておいた方がいいです。
訪問リハビリテーションは比較的給料がいいですが、その場合必須となります。学生のうちに取得しましょう。
よほど興味が無い限り進まない方がいい道
一昔前であれば、高校の先生が進路の決まっていない生徒に、手に職で仕事に困らない、将来性があって需要の高い分野、役立つ資格・・・などと言って作業療法士の学校への進学を安易にすすめていたようです。
しかし、現実は甘くないです。
学校で習う内容は想像以上に難しく、基礎科目は医学部並みです。ついてこれず脱落し留年や退学する人は他の学部より多くいます。
先ほども書いた通り、養成校の乱立で理学療法士・作業療法士は供給過剰です。年収も決して良くないのが現場の本音です。
就職後も自分の時間を犠牲にして仕事に関する勉強しなければなりません。
リハビリは人の人生を背負っています。損得勘定よりも大切なこともあります。
「迷ってるならおすすめできない」これが多くの現役作業療法士の本音です。
作業療法士になるには
専門の養成課程で3年以上勉強
作業療法士になるには、高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成校(養成施設)で3年以上学習し、必要な単位を取得後卒業して国家試験の受験資格を得なければなりません。
その後、国家試験に合格してはじめて作業療法士になることができます。
養成校は次の4種類です。
- 4年制の大学
- 3年制の短大
- 3年制または4年制、夜間の専門学校
- 特別支援学校(視覚障害者が対象)
仮に大学を目指す場合、受験生は作業療法士を敬遠する傾向があるので、同じ大学で学科が分かれているようであれば、作業療法士の方がボーダーラインが低いようです。どちらでもかまわいのであれば、作業療法士の方が入りやすいようです。
ユーキャンがやってるような通信講座や通信教育で作業療法士の受験資格は得られません。必ず養成校へ通って学習します。
まずは無料の資料請求
社会人でも入学できる大学・専門学校の資料請求
テキスト・問題集・参考書
おすすめ参考書
日本作業療法士協会により作業療法士について解説した本です。
特に理学療法士と作業療法士の違いとは何かがよくわかるように解説されているので、迷っている人には参考になります。学校の選び方などの解説も役立つでしょう。
国家試験についてや男女比など基礎的データも充実しています。年収・給与面は他の医療系の資格との比較も含めて詳細に書かれています。
多くの作業療法士の仕事ぶりを紹介したインタビューも豊富で、現実と本音の違いが理解できるはずです。
種類 | 評価 |
関連書籍 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年に1回。2月下旬~3月上旬の2日間。
お申し込み
12月中旬~1月上旬。
受験資格
所定の養成機関で定められた課程を修了していること。
試験会場
筆記試験:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県
口述・実技試験:東京都
受験料
10,100円
試験内容
【筆記試験】
- 一般問題:解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む。)、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法
- 実地問題:運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法
【口述試験及び実技試験】
重度視力障害者に対して、筆記試験の実地問題に代えて次の科目についておこなう。運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法。
合格基準
一般問題を1問1点(158点満点)、実地問題を1問3点(117点満点)とし、次の全てを満たした者を合格とする。
- 総得点:60%以上
- 実地問題:35%以上
年度によって若干の違いがあります。
合格発表
3月末ごろ
主催者情報
試験に関する詳しい情報は作業療法士国家試験の施行|厚生労働省をご覧ください。