福祉住環境コーディネーターとは?2級は公共性が高い一面も
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | やや易しい | 20~70% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~2万円 | 2か月以上 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
スキルアップ | 176件 |
- 難易度、学習期間、合格率は2級についてです。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年7月2日に集計。
福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害者に対して住みやすい住環境を提案するアドバイザーです。
民間資格ですが2級以上であれば住宅改修に添付する理由書が書ける等のメリットがあります。公共性の高い一面を有する民間資格です。
建築士、ケアマネジャー、理学療法士などの国家資格を合わせて持っていればこの資格を活かせます。
単独で所有してもあまり就職や転職に役に立つとは言えません。
福祉住環境コーディネーターとは
高齢者が住みやすい住環境を提案
福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害者に対して住みやすい住環境を提案するアドバイザーです。
必要に応じて適切な住宅改修プランを提案し、行政や住宅リフォーム会社とのコーディネート(調整役)の役割を果たします。
また、福祉用具や諸施策情報などについてもアドバイスをします。
お年寄りや体の不自由な人が日常生活で不便なく暮らしていけるように、段差を解消する方法、手すりをつける場所や良い設置方法といった建物を含む住環境について提案します。
主催者サイト:東京商工会議所検定サイト|福祉住環境コーディネーター検定試験
例えば、スロープや手すりなど
人は加齢とともに足腰が弱くなり、室内のちょっとした段差につまづくようになります。
お風呂場やトイレの利用も大変です。
普通の人では問題なく住める家でも、高齢者が安全に暮らすには室内を改装する必要もあるでしょう。
車椅子であれば階段を乗り越えられないので、スロープがなければ家に入ることも2階へ上がることもできません。
廊下やお風呂、トイレには手すりをつけた方が便利です。階段はスロープに変える必要があります。
福祉住環境コーディネーターは、そういった住みやすい住環境を提案する役割を果たします。
2級以上であれば住宅改修に添付する理由書が書ける!
介護保険を利用して住宅改修を行うには、住宅改修費支給申請書に理由書を添付して自治体に提出しなければなりません。
この理由書は誰にでも書けるわけではなく、ケアマネジャーのような専門的な国家資格の有資格者に限定されています。
ケアマネジャー以外の専門職でも、理学療法士・作業療法士・福祉住環境コーディネーター(2級か1級)であれば理由書を書けます。
福祉住環境コーディネーターは東京商工会議所が主催する民間資格ですが、2級以上を取得すれば非常に公共性の高い書類の作成ができます。
※ケアマネジャー自身が作成するように指導している自治体もあります。
役に立つ資格なのか?
求人はいくつか見つかる
福祉住環境コーディネーターは民間の検定試験です。
勘違いする人も多いようですが国家資格ではありません。
この資格を持っていないとできない独占業務はありませんが、一部の業種においては就職・転職の際に役立ちます。
例えば、住宅リフォーム会社や介護用品の販売・レンタルの会社の中には、福祉住環境コーディネーターの有資格者を優遇する求人がいくつか見つかります。
住宅リフォーム会社であれば職種は営業です。日々の業務内容は個人宅へ訪問してのリフォームの営業です。
はじめから営業職を希望しているのであれば役に立つ資格です。
福祉の現場では役立つ機会もある
福祉住環境コーディネーターは福祉の業界ではかなり知名度のある民間資格です。
介護・福祉の分野で知識を活用できるので、その点では役立つ資格といえます。
例えば、ケアマネジャーであれば高齢者や障害者の家族から住宅改修について相談を受ける機会もあります。
そんな時には福祉住環境コーディネーターの学習で得た知識が活かせます。
自分のスキルアップのために取得して、名刺に「福祉住環境コーディネーター2級」と印刷しているケアマネジャーもいます。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
福祉住環境コーディネーターの資格を取得しても就職・転職に影響は少ないですが、2級あるいは1級以上であれば知識を仕事に活かせます。
3級では取得してもあまり意味はありません。
リフォームを専門的に施行する建築関係の会社や、福祉用具業者であれば資格を活かせます。
建設会社であれば建築士の資格も合わせて持っていれば就職・転職は有利になります。
実際に、建築士や介護士・相談員の人がステップアップのために学習するようです。
特に建築士であれば、バリアフリー住宅への改装や要介護者への住宅改修などに関わる際、福祉の知識がまったくないよりは役立つでしょう。
福祉系の資格には介護福祉士や社会福祉士、リハビリ関係なら理学療法士や作業療法士などがありますが、福祉住環境コーディネーターは、それらの資格にプラスして知識を広げるための自己研鑽の資格といえます。
福祉用具専門相談員との違いは?
介護保険制度の保険給付の対象となっている車椅子・歩行器・つえなどの福祉用具の貸与を事業として行う場合、各施設毎に2名以上の福祉用具専門相談員がいなければなりません(設置義務)。
参考:福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員は介護保険法により定められた国家資格です。
福祉用具専門相談員になるには、都道府県が開催する講習会を受講しなければならず、そこで福祉用具の貸与、販売、住宅改修について包括的に学びます。
一方、福祉住環境コーディネーターは民間の検定試験です。法律的な根拠はありません。学習する内容も住宅改修に特化しています。
社会的な必要性という意味でも福祉用具専門相談員の方が価値がある資格といえます。
福祉用具専門相談員の資格は講習を受ければ誰でも合格できます。
仕事の幅を広げる意味でも持っていて損はないです。
合格するには
2級までで十分
福祉住環境コーディネーター試験は難易度の低い順に3~1級に別れています。
入門級が3級という位置づけです。
各専門分野での補助的な知識として活かすには2級まで持っていれば十分だという印象です。
2級、3級であればテキストと過去問を利用した独学で十分合格可能です。
1級は相当難しいので、それなりに取得する理由がなかったらおすすめしません。
2級からの受験や、3・2級を同日に受験することも可能です。
各級の合格率は以下の通りです(2023年度実施分)。
- 3級:40.9%
- 2級:38.1%
- 1級:14.5%
2級までなら難易度も低いので初学者であってもわずかな福祉の知識と建築の知識を合わせて2か月程度勉強すれば合格できます。
全くの初学者でも3か月程度毎日少しずつ勉強すれば十分合格できます。
基本的に東京商工会議所発行のテキストから出題されるので、テキストを繰り返し読みながら過去問を解きます。
福祉機器などは実物にさわって確かめるのも有効な勉強方法です。
福祉住環境コーディネーター試験は「医療」「福祉」「建築」分野と幅広く、それぞれの法改正で頻繁に改訂版が出ていますので最新のテキストや問題集を使用してください。
2級までは福祉よりの出題が多いため、医療・福祉の仕事に従事している現職者の合格率が高いようです。
1級になると建築関係のウエイトが激増し専門的な出題が増えるのでとたんに合格率が下がります。出題内容も、福祉・建築ともに専門的です。
2級は合格率の変動が特に激しい!合格は運次第?
最も難易度の低い3級試験の合格率はだいたい40~60%の間で推移していて大きな変動はありません。
一方、2級の合格率を見てみると、これがすごい振れ幅なんです。
合格率は10%~70%前後という非常に激しい変動を見せています。
3級の試験は1999年からはじまっていますが、2級は2000年からはじまっています。
最も低い合格率は2007年の13.5%、最も高い合格率は2013年の75.8%ですから、その差は6倍ほど!
福祉住環境コーディネーター2級は100点満点中70点以上が合格点です。
いくら絶対評価による合格基準とはいえ、これはちょっと開きすぎでは?という気もします。試験の難易度も全然違います。
運悪く難しい回に当たると、過去問だけの学習ではおそらく不合格でしょう・・・合格は運次第の要素も否定できません。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
予備知識がほとんどない人はまずテキストで用語の理解からはじめてください。少々値段は高めですが、このテキストが出題の基準となっています。
分厚い辞書のような本ですが、過去問題集を解きながら戻って照らし合わせると理解がすすみます。問題集の解説も分からなければこの本に戻って復習して学習します。
やはり公式テキストだけあって、そのまま文章が出題されます。全部覚えるのは大変ですが、要点を理解すればこのテキストだけで合格できます。
種類 | 評価 |
テキスト |
分かりやすく簡潔にテキストに沿ってまとめてられている参考書兼問題集です。
一単元10分位で読めますし、単元毎に問題が付いているので、記憶の定着に役立ちます。
別冊の重要ポイント集は取り外せて便利です。項目毎に一問一答&過去問形式の一問があり確認できます。
公式テキストは買わずにこの一冊だけでも合格できます。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
おすすめ問題集
解説が詳しく内容が丁寧なので、この問題集を解きながら、間違えたところをテキストに戻って確認して学習すれば試験で合格点を取れます。納得できるまでとにかく繰り返し学習することです。
解説の下に公式テキストの対応ページが記載されていて、疑問に思ったらすぐにテキストに戻って確認できます。シンプルですが必要なものが全部入っています。解答と解説が別冊になっているので見やすく、答え合わせがしやすいのも特徴です。
高価な教材や、通信講座などは必要ないです。
種類 | 評価 |
問題集 |
おすすめ参考書
福祉住環境コーディネーターの資格とはあまり関係のない書籍ですが、評判が良いのでここで紹介します。
高齢者の介護施設といっても介護の状態や受けるサービスによっていくつかの種類に別れています。特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、グループホーム、介護老人保健施設、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどです。
高齢者施設についてはさまざまな呼び方がありますが、サービスの内容やレベルも違うため、一般の人ではどこが適しているのか迷ってしまいます。
施設ごとに特色があって、良い点もあれば悪い点もあります。この本はそれらをきちんと体系たてて解説していているので、全体を理解するのにとても良い内容です。
家族の為に高齢者施設を探している人には一番知りたいことが全部載っていると思います、高齢者施設にどのようなものがあって、どのように選択すべきかを知るために参考になります。
実際の入居者の生の声が多く書かれており、実体験に基づく記述で実態がかなり理解できます。
おすすめの一冊です。
種類 | 評価 |
参考書 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
【1級】11月下旬(年1回)
【3級・2級】7月上旬と11月下旬(年2回)
お申し込み
【1級】9月上旬~10月上旬
【3級・2級】4月下旬~5月下旬と9月上旬~10月上旬
受験資格
3級と2級は受験資格の制限はなく、誰でも受験できます。
1級の受験は2級合格者のみです。
試験会場
IBT:自宅やオフィスなど
CBT:全国のCBT試験会場
受験料
1級:9,900円 + CBT利用料2,200円
2級:7,700円
3級:5,500円
※CBTは+2,200円
試験内容
【2級の出題範囲】
3級の範囲および2級公式テキストに該当する知識と、それを理解した上での応用力を問います。
- 高齢者・障害者を取り巻く社会状況と住環境
- 福祉住環境コーディネーターの役割と機能
- 障害のとらえ方
- リハビリテーションと自立支援
- 高齢者・障害者の心身の特性
- 在宅介護での自立支援のあり方
- 高齢者に多い疾患別にみた福祉住環境整備
- 障害別にみた福祉住環境整備
- 福祉住環境整備とケアマネジメント
- 福祉住環境整備の進め方
- 福祉住環境整備関連職への理解と連携
- 相談援助の実践的な進め方
- 福祉住環境整備の共通基本技術
- 生活行為別福祉住環境整備の手法
- 福祉住環境整備の実践に必要な基礎知識
- 福祉用具の意味と適用
- 生活行為別にみた福祉用具の活用
【2級の合格基準】
- マークシート方式
- 制限時間は2時間
- 100点満点とし、合格点は70点以上です
※上記は2級に関する試験情報です。1級・2級に関してましては主催者サイトをご覧ください。
合格基準
1級:マークシート方式・記述式各100点満点とし、それぞれ各70点以上で合格。
2級、3級:100点満点とし、70点以上で合格。
主催者情報
試験の申し込みに関しては東京商工会議所検定サイト|試験要項|受験案内・お申込み|福祉住環境コーディネーター検定試験をご覧ください。