ボイラー技士とは?根強い需要があり求人も多い有望資格
種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | やや易しい | 55% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~1万円 | 2か月以上 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 1,792件 |
- 上記は2級ボイラー技士についてです。
- 「二級」ボイラー技士が正式な表記です。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年4月2日に集計しました。
近年、資格のいらない貫流ボイラーが増えてボイラー技士の必要性は薄れています。
しかし、大きな病院やホテルなどでは根強い需要があります。
専門性が高い国家資格なのでまだまだ将来性は十分、合格すれば就職や転職に役立つメリットがあります。
試験では過去問が繰り返し出題されるので難易度はそれほど高くはないですが、1級へ進むには実務経験が必要になります。
ボイラー技士とは
まずは、ボイラーとは
ボイラーとは、石油や石炭、ガス、灯油、重油などの燃料を燃やし、それによって得られた熱エネルギーを水に伝えて蒸気や温水を発生させる装置です。
工場、大型オフィスビル、デパート、病院、ホテルなどで、主に温水を供給する給湯器や暖房器具としてボイラーは利用されています。
ボイラー技士とは、ボイラーを安全に利用するために、運用から管理・メンテナンスまでを行う国家資格を持った技術者です。
ボイラーの設置や定期検査ができるのはボイラー技士のみです。
また、ボイラーの運転操作においては、燃料の経済的な使用を図るとともに排出ガスによる大気汚染などの公害を防ぐなど、環境対策と省エネ化も求められています。
ボイラーって実は身近な存在
ボイラーって聞いたことがあると思いますけど、あまり見たり触ったりする機会は少ないですよね。でも身近なところで実は活躍していいます。
例えば、大型の病院やホテルでは、同時に大量の湯を使う可能性がありますが、ガスや電気で沸かすよりも灯油ボイラーで沸かした方が圧倒的に費用は安く済みます。
ボイラーの装置は、燃焼にともなうガス爆発の危険や、高圧によるボイラーの破裂の危険が常に潜んでいます。
これらの危険を排除して安全に利用するためには、ボイラーの正しい操作と日常の点検と保守が大切になります。
ボイラー技士には、特級、1級、2級がある
ボイラー技士には特級、1級、2級があります。
最も初級である2級は誰でも受験できますが、18歳にならないと免許は交付されません。
ボイラー技士の資格を取得すれば、級の区分にかかわらず全てのボイラーの取り扱いができるようになります。
級によって作業できる範囲が異なるような説明がなされているサイトも多く見受けられますが、それは間違いです。
取扱者を統括する立場の作業主任者に選任されるには、ボイラー設備の区分に応じた級が必要となります。
小規模ボイラーや小型ボイラーに関して一定の作業ができる小規模ボイラー取扱者の資格の制度もありますが、正確にはボイラー技士資格とは違います。
小規模ボイラー取扱者は各都道府県で定期的に開催する「ボイラー取扱技能講習」を修了すると取得できます。
関連団体:一般社団法人 日本ボイラ協会
役に立つ資格なのか?
有資格者は根強い需要がある
最近は、ボイラー技士を必要とする大型ボイラーの使用をやめ、資格が不要な簡易ボイラーに転換する施設が増えています。
その方が維持費が少なくすみ、省エネにもつながるからです。
そのためボイラー技士の必要性は薄れています。ボイラー技士の資格が役立つ職場は今後減るであろうと予想されています。
ボイラーの耐用年数は10~15年です。今現在ボイラー技士の資格が必要な大型ボイラー等が設置されている施設でも、この先は小型の貫流ボイラーに順次置き換わるはずです。
とはいえ、工場においては大きな熱量を必要とするので、ボイラー技師はまだまだ需要があります。
大きな病院やホテルなど多くの場所のボイラーが設置され、暖房や加湿、給湯用に利用されています。
取り扱いに資格が必要なボイラーは減っていくのは間違いないですが、無くなる可能性は低いでしょう。
採用する側としても、仮に資格が不要な設備であったとしても全くの素人よりはボイラーの資格を持っている人の方が安心して任せられます。
インターネットで求人を検索すると、「ボイラー技士の有資格者なお可」「ボイラー技士資格必須」などの求人も少なからずあります。
二級ボイラー技士の資格手当てがつく会社もあります。
ボイラー技士の資格を取ったからといって就職・転職に困らないとまでは言えませんが、やはり役立つ資格であるのは間違いないと思います。
まだまだ需要のある国家資格です。
将来性について徹底研究
他の資格も持っていると有利になる
2級ボイラー技士の就職先は、工場、学校、病院、工場、ホテル、デパート、病院などボイラーを設置している大型の施設、あるいはこれらの施設のメンテナンスを請け負う会社、ビル管理会社、ビル設備会社などです。
上位資格である1級や特級ボイラー技士を持っていると、大規模工場、プラント建設会社、大型の病院、職業訓練校などへの転職も可能になります。
ボイラーを設置している施設自体が少なくなってきているので有資格者が飽和状態だとも言われていますが、まだまだ根強い需要があります。
ボイラーには燃料である灯油が付き物です。
取り扱う量も多いので、危険物取扱者乙4種を取得すればボイラー技士の資格がさらに活きます。
プラスして、電気工事士(第二種)、電気主任技術者(電験三種)、冷凍機械責任者の資格があればビル管理に不可欠な「ビルメン4点セット」の資格となり、仕事に困らないと言われています。
ビル全体について環境衛生面の管理・監督などを行うのであれば、建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の資格も役に立ちます(ただし実務経験が必要です)。
将来的にボイラー技士の仕事は少なくなる?
前述の通り、近年はボイラー技士資格が必要ないいわゆる貫流(簡易)ボイラーが主流になりつつあります。
ボイラー技士が必要か必要でないかは、ボイラーの伝熱面積によって決まります。
貫流ボイラーは他のボイラーと違い、保有水量がとても少ないため、実際の伝熱面積に10分の1を掛けて換算します。
そのため暖房や加湿、給湯用にビルに設置される貫流ボイラーは伝熱面積が少なく計算されます。ほとんどが2級ボイラー技士資格さえ必要ないことになります。
しかも、貫流ボイラーであれば労働基準監督署長にあらかじめ提出する設置届の手続きが容易です。維持費を含めたコスト削減にもつながります。
参照:ボイラー(小型ボイラー)の適用区分|一般社団法人 日本ボイラ協会
とは言え、大型のビルや商業施設では、現在もボイラーを暖房や加湿、給湯用に使っています。複数台入れてるところもまだ多くあります。
ボイラーは工場の動力用等に使われていることも多く、その場合は規模的にビル用よりもずっと大きな設備になります。
その場合、もちろんボイラー技士の資格が必須です。
中規模以上のボイラーを扱う施設ではボイラー技士が必要です。
ボイラーの資格は社会的にも根強いニーズがあるので、決して将来性の無い資格ではないでしょう。
実務経験がつめず、1級や特級へ進めない人が多い
ボイラー技士は、最初は2級からスタートして、さらに上位の1級や特級の資格を取得することでステップアップができます。
上位の資格を取得するためには、その級の試験に合格するだけではなく現場での実務経験が必要です。
しかし、ボイラー技士が必要なボイラーを使用している設備が少なくなっているため、いざステップアップしようにも1級の実務経験として認められる規模のボイラーを取り扱っている職場を見付けること自体難しくなっています。
筆記試験だけは合格しているけど実務経験がないので、合格通知ハガキが手元にあるけど免許の交付申請ができないままになっている人が多くいます。
いつかチャンスがあったら免許に・・・と思っても近くに大型のボイラーがなくてなんともならない、そんな現実があります。
合格するには
全国各地で出張試験も開催されています。
ボイラー技士の試験会場である安全衛生技術センターは全国の主要都市に7カ所あり、そこで毎月試験を開催しています。
地方に住んでいると試験会場まで行って受験するのが大変なため、各センター内で出張特別試験が実施されています。
学科試験手数料は各センターで受験するのと同じです。都道府県別試験会場と出張試験会場の試験に難易度の差はありません。
主催者サイト:公益財団法人 安全衛生技術試験協会
2級ボイラー技士は誰でも受験可能
2級ボイラー技師は比較的取得しやすい国家資格の1つです。
以前は、2級ボイラー技士の免許の交付を受けるには、ボイラーに関する学科を修め卒業しているか、ボイラーのある現場で実務経験を有している必要がありました。
しかし、2012年(平成24年)より、計20時間(3日間)のボイラー実技講習を受けることで、免許の交付要件を満たすようになりました。
未経験者であっても、誰でもボイラー技士の資格取得を目指せるようになったわけです。
このボイラー実技講習者は、都道府県労働局長登録講習機関が定期的に開催しています。
講習を受けると2級ボイラー技士免許の交付要件が満たされます。
もちろん試験に合格する必要があります。ボイラー実技講習は、試験の前でも後でも受講できます。
ボイラーの試験は過去問が繰り返し出題される
2級ボイラー技士の試験は、過去問ベースの問題が多く出題されます。
何年も試験が繰り返されているので、それは仕方のないことでしょう。
とは言え、選択肢も解答も全く同じ内容であるワケはありません。問題の文章も多少変わってますし、選択肢の文章や順番も違います。新しい問題も出題されます。
全くボイラーに関する知識がない人は、先にボイラー実技講習を受けて実際に本物のボイラーに触れて、少しでも理解してから試験の勉強をする方が効率的です。
ボイラー実技講習で使用した教材だけで勉強すれば合格も可能ですが、別途過去問題集を購入して繰り返し解くことが必要です。
解説が詳しく記載されている問題集を選びましょう。
ネット上に無料で利用できる過去問が公表されていますので、テキストや参考書を見ながら利用するのもおすすめです。
おすすめの通信講座
JTEXは40年の実績があります。主に企業単位での受講者が多いのが特徴です。
効率よく学習できるように工夫された2冊のテキストで、合格に必要な知識が着実に身に付きます。値段もお手頃です。おすすめの通信講座です。
テキストを主とした系統立てた学習ができ、提出用レポートにより客観的な評価が得られるのが特徴です。
2級ボイラー技士を受験するにあたっては、受験に備えた学習が欠かせません。
※こちらから受講申し込みができます。
※なお、ヒューマンの講座は、JTEXとの提携講座です。こちらから受講申し込みができます。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・問題集
受験生の多くが利用しているテキスト&問題集です。
私も本屋さんで実際に手に取って読んでみましたが、とにかく分かりやすかったです。引き込まれるようにスラスラ読めます。
解説が丁寧で、立体的に書かれたイラストが本物のボイラーをイメージしやすいように工夫されています。文章もわかりやすく読みやすいです。
ボイラーを見たこともなく知識ゼロでもこれ一冊で合格レベルに達するボリュームです。
この本だけを繰り返し学習すれば合格できます。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
おすすめ参考書
テキストや問題集で勉強を始めたけれど、全然わからず挫折しそうになった人におすすめの本です。
マンガですから、会話形式で説明されています。小単元ごとに分かりやすく文章でまとめられたページがあります。
特に良いのが図による解説です。この本であればよく理解できると思います。
マンガですが、やはりテキストの一種と思って繰り返し読んで学習しましょう。
ボイラーの知識が全くない人でも何回か読んでいるうちに理解できるようになります。まずは広く浅く理解する入門書としてはおすすめです。
種類 | 評価 |
参考書 |
あまり日頃意識する機会も少ないボイラーですが、実はオフィスビル、工場、デパート、病院、ホテル、発電所や船など、身近なところで多く使われています。
そんなボイラーの歴史を、初期の蒸気機関車や蒸留技術から現在のボイラーの環境対策と省エネに至るまで詳しく解説しています。
豊富なイラストと写真で解説しているので、読んでいるだけで理解が深まります。
種類 | 評価 |
参考書 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
各地区で毎月1~2回実施
下記主催者のサイトでご確認ください。
お申し込み
試験日の2か月前から2日前
受験資格
2級は誰でも受験できます。
ただし、18歳未満の人は18歳になるまで免許は交付されません。
試験会場
北海道、宮城、千葉、愛知、兵庫、広島、福岡
受験料
6,800円(非課税)
試験内容
【試験科目】
- ボイラーの構造に関する知識(熱および蒸気、種類および型式、主要部品の構造、附属設備および付属品の構造、自動制御装置)
- ボイラーの取扱いに関する知識(点火、使用中の留意事項、埋火、付属設備および付属品の取り扱い、ボイラーの用水およびその処理、吹出し、清浄作業、点検)
- 燃料及び燃焼に関する知識(燃料の種類、燃焼方式、通風および通風装置)
- 関係法令(労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令および労働安全衛生規則中の関係条項、ボイラーおよび圧力容器安全規則、ボイラー構造規格中の附属設備および付属品に関する条項)
【試験時間】
13:30~16:30(3時間)
合格基準
各科目10問(100点)で、科目ごとの得点が40%以上でかつ合計点が60%以上で合格。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は公益財団法人 安全衛生技術試験協会をご覧ください。