種類 | 難易度 | 合格率 |
国家資格 | 普通 | 25~35% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~1万円 | 6か月程度 |
- 上記は三種・免除なしの場合です。
- 全国の求人数は、ハローワークの求人情報を基に2023年2月14日に集計。
冷凍機械責任者とは、高圧ガス製造保安責任者という国家資格の1つで、冷凍設備に関わる設備・装置の保安業務を行うための資格です。試験は合格率80%ほどの難易度です。冷凍に関する知識を証明する資格で、資格手当を支給する会社も少なくないです。
冷凍機械責任者(高圧ガス製造保安責任者)とは

冷凍機械の保安を担当
冷凍機械責任者とは、高圧ガス製造保安責任者という国家資格の区分の1つです。
高圧ガス製造保安責任者には、一般高圧ガス関係の6種類と、冷凍設備に関わる3種類の合計9種類があります。
冷凍機械責任者とは、冷凍に関わる高圧ガスを製造する冷凍機械について、設備の点検や調査などの保安業務を行うことができる資格です。
一定規模以上の冷凍設備がある施設では、冷凍機械責任者の有資格者の中から冷凍保安責任者を選任しなければならないと高圧ガス保安法で定められています。
冷凍機械とは
私たちの身の回りには、家庭用の冷蔵庫から業務用の大型冷凍倉庫まで様々な冷凍機械があります。
冷凍機械とは、その名の通りモノを冷凍して冷やす機械です。食品や素材を冷凍保存するためだけではなく、ビルや住居の空調設備などにも利用されています。
例えば、冷凍機械の一種としてよく利用されているのが冷凍庫ですが、モノを冷凍するには、電気で冷やす方法と、高圧ガスを利用する方法の2種類があります。
高圧ガスとは、圧力をかけて圧縮したガスのことです。例えば、家庭で使用するプロパンガスなどです。私たちの生活のいたるところでこういった高圧ガスは使われています。
ガスは引火性があり、爆発する性質があります。高圧ガスは取り扱いを間違えると大事故につながります。
冷凍機械責任者は3種類に分かれる
冷凍機機械責任者の資格は、難易度の低い順に以下の3つの種類に別れます。
- 第3種冷凍機械責任者(1日の冷凍能力が100t未満)
- 第2種冷凍機械責任者(1日の冷凍能力が300t未満)
- 第1種冷凍機械責任者(全ての製造施設)
正式名称は、「第三種」と漢数字を使います。一般的には「冷凍3種」や「3冷」のように略して表記したり、呼ぶことが多いです。
難易度としては、第3種冷凍機械責任者が最も易しく、第2種、第1種になるにつれて難しくなります。それと同時に取り扱える冷凍設備の規模も大きくなります。第1種冷凍機械責任者になると、全ての規模において冷凍設備の保安業務が可能です。
受験資格の制限がないので、経験ゼロでも全ての種別を受験できます。しかし、設備の保安責任者になるには1年以上の実務経験が必要です。
冷凍保安責任者の下で冷凍機械を運転するには資格は不要です。
なお、第3種と第2種の試験については都道府県知事が実施しますが、第1種は経済産業大臣が試験を実施します。
主催者サイト:ホーム | 高圧ガス保安協会
役に立つ資格なのか?
実は需要は少ない
大型の冷凍機械を導入している企業では、規模に応じた種類の資格を持った冷凍機械責任者を選任しなければなりません。
しかし、最近の冷凍機械は冷凍保安責任者が必要ない、いわゆるユニット型というパッケージタイプのものが主流です。
つまり、冷凍機械責任者の資格が活かせる企業は限られていて、ごく一部の旧式の大型設備を使っている工場等を除いて有資格者の必要性は低いということです。
仮に、有資格者が必要になれば、経験豊富な社員の誰かに検定試験を受けさせれば足ります。わざわざ有資格者を外部から中途採用するほどでもありません。
知識が役立つ国家資格
第3種冷凍機械責任者の試験は、検定試験であれば合格率80%以上です。この程度の難易度の試験であれば、合格しても就職・転職では有利にならないので特に役立つ資格でもありません。
しかし、冷凍機械責任者が不要な冷凍機械が増えているにもかかわらず、最近の国家試験受験者数・検定講習受講者数は、逆に増加傾向にあります。
それは、冷凍機械責任者試験に合格すれば、冷凍サイクルに関する知識があるという証明につながるからです。
冷凍機械を設置している会社へ就職・転職する際に「冷凍機械について理解してます」とアピールできるというメリットがあります。
ビルメンテナンス業界では、「冷凍機械責任者等あれば尚可 」という求人をよく見かけます。資格そのものよりも、知識が役立つ資格であると言えます。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
冷凍機械責任者は法律で定められた必置資格です。そのため、一部の企業では根強いニーズがあります。
冷凍機械責任者の有資格者が必要になるのは、大型の冷凍機械を導入している冷凍・冷蔵倉庫業、大規模な製氷工場・アイスクリーム工場などです。
必ず冷凍機械責任者がいなければならないような設置場所は減っていますが、冷凍設備に関する知識は多くの現場で求められています。
例えば、ビルの空調施設、食品工場や化学工場の冷凍・冷却装置、商業施設、病院、倉庫などです。意外と身近な場所で冷凍機械責任者の需要は今後も見込まれます。
冷凍機械責任者の試験には年齢制限や受験資格はありません。学生が就活に備えて取得することも可能です。
就職を希望する会社が大規模な冷凍設備を備えているのであれば、有資格者は多少有利になる可能性はあります。
しかし、第3種では最低限の知識の証明にすぎません。できたら第2種以上を取得しましょう。さらに実務経験もあれば転職に活かせます。
単に資格を取得したというだけではなく、身に付いている専門的な知識をどこまでアピールできるかがこの資格を活かすポイントです。
他の国家資格とあわせて取得すればより活かせる
冷凍機械責任者は、ビルメンテナンス業界では有名な「ビルメン4点セット」の1つです。
「ビルメン4点セット」とは、電気工事士、危険物取扱者乙4、ボイラー技師、冷凍機械責任者の4種類の国家資格です。
関連資格:電気工事士とは、危険物取扱者とは、ボイラー技士とは
この4種類の資格を持っていても、現場で直接必要となる機会は少ないのですが、知識の証明につながるため根強い需要があります。会社によっては資格手当が支給されたり、管理職への昇格条件になっています。
それぞれ応用分野も広いため、ビルメンテナンス業以外への転職にも活かせます。
電気工事士とボイラー技士あるいは消防設備士の資格を持っていると、ビル設備管理者会社へ就職も可能です。
関連資格:消防設備士とは
さらに、電験三種(第三種電気主任技術者免状)や建築物環境衛生管理技術者、エネルギー管理士なども合わせて取得すれば、就業できる業種の幅も広がります。
関連資格:電験三種とは、電験二種とは、建築物環境衛生管理技術者とは、エネルギー管理士とは
ボイラー技士2級とどちらが難しいのか?
冷凍機械責任者第3種とボイラー技士2級、どちらが難しいのか気にしている人も多いようです。
難易度としては少しだけ冷凍機械責任者第3種の方が難しいです。
ちなみに、ビルメン4点セットの中で、一番難しいと言われるのが冷凍機械責任者です。
本試験においても、ボイラー技士の出題は、「間違ったものを選べ」あるいは「正しいものを選べ」となっているので消去法で答えが導けます。
一方冷凍機械責任者は、「正しい組み合わせはどれか」という形式で出題されるため、より正確な知識が求められます。消去法では正解が導けません。
ボイラー技士1級が冷凍機械責任者第3種と同程度と言われています。
合格するには
冷凍機械責任者になるには、以下の2種類の方法があります。
- 全科目の国家試験を受験
- 講習を受講して一部科目免除となり国家試験を受験
以下、それぞれについて説明します。
全科目の国家試験を受験
冷凍機械責任者は、難易度の低い順に第3種~第1種に分かれています。受験制限がないため、どの級からでも受験できます。
試験の難易度と必要な知識の目安は、それぞれ下記のように言われています。
- 第3種:工業高校を修了
- 第2種:高等専門学校を修了
- 第1種:大学の工学部を修了
第3種は入門編です。計算問題も出題されません。おそらく文系で数学苦手の人でも合格できるでしょう。
冷凍機械責任者は難易度が高い試験と言われますが、「とりあえず」受験するようなレベルの低い人も多くいます。他の国家資格と比べると、どちらかというと簡単な部類です。
過去問題集で繰り返し学習して、疑問点があればテキストに戻って確認する勉強方法を4~6か月続ければ、初学者でも合格できる実力が身につきます。
ただし、過去問題の解答を丸暗記するだけではもちろんダメです。内容を理解し、「蒸発」→「圧縮」→「凝縮」→「膨張」の冷凍サイクルを頭の中でイメージできるようにしなければなりません。
この基本さえしっかりと頭の中で構築できるようになれば、自然と頭に入って理解が進むはずです。
試験のレベルとしては、3種、2種、1種には難易度の差がかなりあります。いきなり2種を受験するのではなく、3種を国家試験のみで合格してから2種に進むのをおすすめします。
1種は別次元の試験です。受験生の多くは理工系大卒者などです。物理化学(熱力学)が理解できていないと相当難しく感じられます。特に学識問題では90%以上が計算式で占められているので計算式が苦手な人は難易度が格段に上がります。
講習を受講して一部科目免除となり国家試験を受験
国家試験を受けて合格する方法以外に、高圧ガス保安協会が毎年2回開催する冷凍機械責任者の講習(高圧ガス製造保安責任者講習)を受講する方法もあります。これは全ての種別で開催していますが、1種のみ年1回です。検定講習は3日間通しで受講します。
講習修了後の検定試験に合格すれば、国家試験の一部が免除になります。冷凍機械責任者の場合は法令が免除になるため、第3種の場合は検定試験で「保安管理技術」だけを受験します。そして6割以上の得点で合格です。
講習の最終日に検定試験に出そうな部分を教えてくれるので、そこを確実に全て覚えればほぼ合格できます。
全て国家試験で受験するよりも合格率は高く、合格率は80~90%と跳ね上がります。
この講習と検定試験はセットで第3種冷凍機械の場合は19,500円(電子申請、2022年11月現在)です。講習を欠席すると検定試験の受験資格が無くなります。
参照:高圧ガス製造保安責任者講習(冷凍) | 高圧ガス保安協会
講習を受講しても、しっかりと時間をかけて勉強しないと普通に最終の国家試験で不合格になります。自信がなければ、2種からスタートして1種合格を狙うのが良いでしょう。
捨てるな!2種の計算問題は得点源です
第2種冷凍機械責任者の試験になると計算問題が2問出題されます。これは計算問題が苦手な人にとってはやっかいです。
ついつい弱気になって、計算問題を諦めてそれ以外だけで合格を狙いたくなります。
けれど、実は2問の計算問題は捨てるのはあまりにももったいないです。この計算問題は毎年出題の傾向がはっきりしているため、確実に得点できるボーナス問題なんです。
計算が苦手な人でも、その気になって勉強すれば、1か月ほどで理解できるはずです。2問確実に得点できれば、あとの8問がとても楽になります。
受験生の多くが利用する「SIによる 初級 冷凍受験テキスト」などのテキストは、一般の書店や通販サイトでは販売していません。
最初から計算問題を捨てるのはもったいないです!
参考までに
購入される場合は社団法人日本冷凍空調学会よりお申し込みください。一種の公式テキストです。本試験はここから出題されます。
また、「Echoland」は多くの受験生が利用しているサイトです。このサイトだけで第3種に合格する人もいます。是非ご利用ください。
参考:冷凍機械責任者試験支援サイト EchoLand-plus トップページ
おすすめの通信講座
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試験情報
試験日
毎年11月の第2日曜日
お申し込み
8月下旬~9月上旬
受験資格
受験資格の制限は一切なく、どなたでも受験できます。
試験会場
第一種冷凍機械:札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄
第二種・第三種冷凍機械:各都道府県
受験料
第一種冷凍機械:17,300円
第ニ種冷凍機械:11,100円
第三種冷凍機械:9,800円
(各非課税)
試験内容
【試験科目】
- 法令(高圧ガス保安法に係る法令)
- 保安管理
- 学識(応用化学・機械工学)
冷凍機械責任者の試験は、第1種と第2種は試験科目は同じです。
※3種は、学識の科目がありません。
第3種冷凍機械責任者試験は、法令・保安管理ともに択一式です。
合格基準
全科目それぞれ60点以上
主催者情報
試験に関する詳しい情報は国家試験の概要 | 高圧ガス保安協会をご覧ください。
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