ビジネス実務法務検定は役に立つ?難易度は低くメリット少ない
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | やや易しい | 80% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~2万円 | 2か月程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
自己啓発 | 17件 |
- 上記は3級についてです。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年7月25日に集計しました。
試験の級 | 3級、2級、1級 |
講座受講料 | - |
受験料 | 3級:5,500円 2級:7,700円 1級:9,900円 |
その他費用 | - |
- CBT受験の場合は別途2,200円が加算されます。
- 金額は全て税込み2024年7月4日現在です。
試験の学習を通して法令遵守能力の基礎となる実践的な法律知識を身につけるための民間の検定試験です。
検定試験の学習で身に付いた知識を仕事に活かせますが、就職や転職で役に立つ機会は少ないです。
仮に最も難易度の高い1級を取得して履歴書に書いてもあまり評価されません。
学習しても難易度の低い3級で十分です。
1級を狙うのなら他の国家資格をおすすめします。
ビジネス実務法務検定とは
コンプライアンス能力を身につけるための検定試験
ビジネス実務法務検定とは、試験の学習を通してビジネスに不可欠なコンプライアンス・法令遵守能力の基礎となる法律知識を効率的に身につけることを目的とした民間資格です。
民法、商法、会社法、独占禁止法、個人情報保護法、消費者保護法、その他ビジネスにかかわる幅広い法律知識を広く浅く学習するのが特徴です。
現代社会においては、仕事をしていく上で様々なリスクが発生しますが、法律的な知識があれば未然に防げる可能性も高くなります。
例えば、会社間で契約を締結する際、細かく内容が書かれた契約書を締結するのが一般的です。
その際に必要な実務をしっかりと理解していればトラブルを未然に防げます。
万が一トラブルが生じても損害を最小限にとどめて、必要な再発防止策などの次の手も打てます。
一人ひとりの法令知識が企業を守ることにつながります。
ビジネス実務法務検定試験は、東京商工会議所が主催している民間の検定試験です。
東京商工会議所は、簿記検定を主催している団体としても有名です。
主催者サイト:東京商工会議所検定サイト|ビジネス実務法務検定試験
ビジネスマンにはコンプライアンスの知識が求められる
そもそもコンプライアンス(compliance)とはどういう意味でしょうか。
コンプライアンスとは、一言で日本語で表すと「法令遵守」です。
個人が社会で生きていくには「法」に従わなければなりませんが、企業や職場においても積極的に「法」に従いましょうという意味で使われます。
最近、テレビや新聞で多くのコンプライアンス違反が報道されています。
セクハラ、パワハラ、いじめ、過労死、賃金未払い、助成金の不正受給、機密情報の持ち出し、著作権侵害、食品の産地偽装、賞味期限の偽り・・・このような不正行為(コンプライアンス違反)の例は枚挙にいとまがありません。
一流の大企業でも例外ではなく、ひとたび事件として報道されると社会的批判を受け、消費者や取引先からの信用を失い、業績悪化にとどまらず倒産の危機にも直面します。
現在の企業運営において、「コンプライアンス=法令遵守」は、リスク回避の最大の問題であり会社存続のための最重要課題のひとつになっています。
多くの会社で「コンプライアンス」の重要性が叫ばれています。
広くビジネス全般において業務上のリスクを未然に察知し、法的にチェックし、万が一トラブルになっても問題点を解決に導く法律知識は、法務部門に限らず、全ての社会人にとって必要不可欠な能力です。
役に立つ資格なのか?
履歴書に書いてもメリットは少ない
ビジネス実務法務検定は民間の検定試験なので、合格しても特別にできる業務はありません。
もちろん勉強する意味がないとは言ってません。
けれどメリットは少ないです。履歴書に書くのはもちろん自由ですが採用の決定打にはならないでしょう。
仮に会社員であったとしても、社内で取得を推奨していなければ取得しても評価アップにはつながりません。
それは一番難易度の高い1級であっても同じです。
あくまでも、コンプライアンス、法令遵守などの一定の法律知識を効率的に学ぶための手段です。
学習を通して得た知識を仕事に活かすのが目的です。
取得を推奨する企業もある
企業の中には、積極的に従業員にビジネス実務法務検定を推奨しているところもあるようです。
そういった会社であれば資格を活かせるかもしれません(かつては主催者ホームページに一覧が掲載されていましたが現在は削除されています)。
もしも入社したい会社にそのような規定があれば、是非取得しましょう。
就職や転職が有利になるかもしれません。
将来性について徹底研究
取得しても2級まで、1級を狙うなら他の国家資格を
ビジネス実務法務検定は、難易度別に3級から1級まであります。
3級は難易度も低いため比較的容易に取得できます。
もっとも難しい1級の合格率は1割程度で、解答も全て論述です。
1級の問題は単なる知識だけで解けません。実務能力まで問われるので簡単には合格できません。
何か明確な目的がなければ1級まで取得するのはおすすめしません。
学習に時間もかかるので他の国家資格にチャレンジすることをおすすめします。
公的資格であると盛んにPRしていますが・・・
ビジネス実務法務検定を紹介しているサイトを見ると、多くは、就職・転職が有利になると紹介しています。例えば・・・
- キャリアアップ・昇進、転職、就職に有利になる公的資格!
- 東京商工会議所が主催している公的資格!
その根拠は様々ですが、公的資格であるというのが理由の1つのようです。
実は、公的資格の制度は既に廃止されています。
かつては簿記検定、秘書検定、漢字能力検定のように、関係省庁(国)から認定を受けている公的な検定試験制度がありましたが、現在「公的資格」は存在しません。
関連情報:公的資格(旧認定資格)について
ビジネス実務法務検定を取得してもキャリアアップ・昇進、転職、就職が有利になるのは極めて限定的です。
民間の検定試験に過度の期待は禁物です。
法律を専門的に学ぶ資格は意外と少ない
法律関係の国家資格は探してみると意外と少数です。
司法試験、司法書士、弁理士などは専門的ですが、難易度が高すぎておいそれと手を出せません。
行政書士も難易度が高い試験ですが、ビジネスに必要な法律知識を学ぶには適していません。
そんな中で、ビジネス実務法務検定は会社員に必要な法知識に的を絞って学習できます。
企業法務を学ぶという明確な目的があれば学習するメリットがあります。
また、民法や会社法を基本から学べるので、他の資格(行政書士、宅地建物取引士など)へのステップアップに知識を活かせます。
合格するには
3級・2級なら短期間で合格可能
ビジネス実務法務検定は難易度の低い順に、3級・2級・1級があります。
各級の基準は以下の通りです。
- 【1級】:業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる。
- 【2級】:企業活動の実務経験があり、弁護士などの外部専門家への相談といった一定の対応ができるなど、質的・量的に法律実務知識を有している。
- 【3級】:ビジネスパーソンとしての業務上理解しておくべき基礎的法律知識を有し、問題点の発見ができる。
要約すると、3級は社会人に必要な最低限の知識、2級は弁護士などの専門家に橋渡しができる程度の知識、1級は法務部門で働く人に必須の知識ということです。
3級は民法、2級は商法や会社法を中心に出題されます。合格率は、3級で74%、2級が23%ほどです。
難易度としては、検定試験の中でも易しい部類に入ります。
出題形式は、択一式のマークシートをはじめ正誤問題や選択の穴埋め問題など解きやすいものばかりです。
特に3級であれば問題集を何度も繰り返して解けば1~2か月ほどの学習でほぼ合格できます。
法学部出身であってもなくても違いはありません。
2級は出題範囲が若干広くなりますが4か月くらい学習すれば大丈夫です。公式の問題集とテキストを使った学習がおすすめです。
1級になるとかなり難易度は上がります。合格率は11%ほどです。合格までに6か月以上は時間を要します。
2級の合格者しか受験できない上、2級までのマークシートの選択問題とは違って論述式の解答になります。法務部門に携わる人が取得する難関の試験です。
3級を飛ばして2級から狙っても十分合格可能
こういった検定試験は、初学者であれば最も簡単な3級から勉強するのが一般的です。
基本的な用語は3級のテキストに載ってる場合が多く、時間的にも余裕があればまず3級から勉強して基礎固めをするのが良いでしょう。
しかし、2級のテキストは実務的で会社員にとっては面白い内容です。
法律の知識が多少でもあれば基本的な内容である3級を学習する必要性は薄いでしょう。
多くの人が3級を飛ばして2級を一発で合格しています。
社会人であれば、基本の3級を飛ばして2級から学習するのもおすすめです。
合格するためには公式問題集と公式テキストが必須
本屋さんに行って下記の公式テキストと公式問題集を購入して学習するのが合格への一番の近道です。
他の出版社もビジネス実務法務検定の問題集を出しているようですけど、公式問題集は試験主催者の東京商工会議所が出版しているのでこの公式問題集が絶対的な存在です。
まずは無料の資料請求
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
とりあえず公式のテキストですからこちらを購入するのが無難です。テキストと問題集を何度か学習すれば短期間での合格も可能です。
ただ、内容としては普通の公式テキストです。わかりやすい解説が豊富というワケでもありません。特に可もなければ不可もないといった感じです。初学者にはおすすめできません。
下記で紹介する「テキストいらずの問題集」の方が使っている人も多いようですし、評判も上々です。
種類 | 評価 |
テキスト |
おすすめ問題集
公式問題や公式テキストよりも評判が良いのがこちらです。
問題に対して解答が裏面にあるので使いやすく、どこでもサッと取り出して勉強できます。しかも、内容が詳しくわかりやすいです。1日2問から3問解いて、解説をよく読むことで理解が深まります。
他の参考書やテキストに手を出すより、これ1冊を2、3回繰り返したほうが確実だと思います。
試験の会場でもほとんどの人がこれを使っています。おすすめです。
種類 | 評価 |
問題集 |
試験の主催者が出している公式問題です。
解説が詳しいので、テキストがなくても学習をすすめられます。不明な点や語句の意味がわからない時にテキストに戻って確認します。
過去問と模擬試験が掲載されています。こちらの問題集中心に学習すれば合格できます。
種類 | 評価 |
過去問と模擬試験 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
例年6月、12月の2回(2級、3級は同時受験が可能)
お申し込み
主催者にお問い合わせください。
受験資格
どなたでも受験できます。
試験会場
任意の場所。
※コンピュータ試験(IBT方式 or CBT方式)
受験料
- 1級:12,100円
- 2級:7,700円
- 3級:5,500円(各税込)
※CBT方式では、受験料の他に利用料2,200円(税込)が別途必要
試験内容
出題範囲は以下の通りです。
※下記は3級についての説明です。
- ビジネス実務法務の法体系
- 取引をおこなう主体
- 法人取引の法務
- 法人財産の管理と法律
- 債権の管理と回収
- 企業活動に関する法規制
- 法人と従業員の関係
- ビジネスに関連する家族法
解答は、マークシート方式です。
制限時間:2時間
※2級からの受験や、2・3級の併願受験も可能です。
※1級は2級合格者のみ受験可能です。申込登録時に2級証書番号が必要になります。
合格基準
100点満点とし、70点以上で合格
主催者情報
試験に関する詳しい情報は東京商工会議所検定サイト|試験要項|受験案内・お申込み|ビジネス実務法務検定試験をご覧ください。