健康運動指導士は意味ない?就職や転職に役立つ旧公的資格
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | — | 55% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
指定講座受講 | 10~30万円 | — |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
就職・転職 | 232件 |
- 事前の知識によって難易度・学習期間はかなり違います。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年4月8日に集計。
試験の級 | - |
講座受講料 | \133,650円~\288,750円 |
受験料 | \13,619円 |
その他費用 | 登録料:\24,200円 再登録費用(更新料)/5年:\22,000円 更新の際の講習会受講費:\10,000円~ |
※金額は2024年4月現在全て税込です。
健康運動指導士とは、スポーツクラブや保健所、病院や介護施設などで運動指導を行う専門のトレーナーです。
完全なる民間資格ですが、かつては国が認定していた旧公的資格(国家資格ではない)であったため、現在も取得すれば就職や転職は一部の施設で有利になります。
取得するには養成校へ通うか養成講習会を受講します。
ただし、取得・更新ともに費用が高い!
健康運動指導士とは
運動指導を行うトレーナー
健康運動指導士とは、スポーツクラブや保健所・保健センター、病院や介護施設などで、運動指導を行う専門のトレーナーです。
社会人や高齢者の運動指導、生活習慣病の予防や肥満予防のための運動指導、食育指導などが主な目的です。
運動をする人の心身状態に合わせて安全にできる「運動プログラム」を保健医療関係者と連携して提案し、健康運動指導士が実際に運動を指導することで健康を支えます。
健康運動指導士は、人々の生活や健康に深く関わっています。健康や運動に対して正しく幅広い専門的な知識が求められます。
主催者サイト:健康ネット|健康運動指導士|健康運動指導士とは
当初は公的資格として誕生、現在は完全なる民間資格
健康運動指導士の制度は、国民の生活習慣病予防・適切な運動習慣の普及を目的とした当時の厚生省の施策の一つとして1988年に始まりました。
当初は国(厚生省)の認定事業として健康運動指導士は養成され、国家資格的な色合いの強い公的資格という位置付けでした。
しかし、2005年に民間技能審査事業認定制度が廃止されたため、2006年度以降は財団法人健康・体力づくり事業財団の独自事業となり、現在は完全な民間資格になっています。
とはいえ、もともと国のお墨付きで始めた事業です。
現在でも非常に公共性は高く、安全で効率的な運動指導がおこなえる専門家としての標準的な資格であることには変わりありません。
現在も厚生労働大臣認定健康増進施設制度の認定基準の1つとして健康運動指導士の配置が求められています。
ちなみに、財団法人健康・体力づくり事業財団は、省庁も認める天下り団体です。
今後、国家資格になる可能性は完全には否定できません(当サイト運営者の勝手な意見です)。
情報元:総務省|各府省等からの再就職者が5代以上続いている独立行政法人・特殊法人等・公益法人の役職に関する府省庁によるあっせんの有無等の再調査
※参考資料(pdf)をクリックすると団体名一覧が表示されます。
スポーツ系の資格は、取得も更新も金額が高い!
こういった最近のスポーツ系、医療系、健康系の民間資格は、どれも取得するのも維持するのもお金がかかります。けっして安くはないです。
例えば、健康運動指導士になるには、多くの人は健康運動指導士養成講習会を受講しなければなりません。
経験や取得している資格によって料金が違いますが、概ね133,650円~288,750円が必要です。
そして、認定試験が13,619円、合格後の登録料が25,300円です。
一度登録しても有効期限が設けられ、5年毎に再度登録費用が22,000円がかかります。
登録費用とは名簿に記載する事務手数料です。
更新する際には指定された講習会を受講しなければなりませんが、実費で10,000円以上です。
天下り団体の利益のため・・・とは思いたくはないですが、ちょっと高いですね。
取得を検討するのであればコストパフォーマンスもよく考えてからにしましょう。
参照:健康ネット | 健康運動指導士 | 健康運動指導士養成講習会開催要領
※金額は2024年4月現在で全て税込です。
役に立つ資格なのか?
民間資格だが求人は多い
健康運動指導士は民間資格ですが、求人を調べてみると意外と見つかります。
ハローワークインタネットサービスで、健康運動指導士の免許・資格コード(2912)を入力して検索すると、2023年3月時点で約232の求人が全国で見つかりました。
1都道府県当たり5件程度です。求人に偏りはなく、都会から地方まで見つかります。
求人を出しているのは、病院・介護施設・リハビリ施設が中心です。スポーツクラブなどのトレーニング施設の求人が少ないのは意外です。
内容を詳細に見ると、多くは「健康運動指導士の資格必須」あるいは「あれば尚可」となっています。資格として一定の価値が認められています。
健康運動指導士は、民間資格ですが、就職・転職に役立つようです。
取得するメリットはあるでしょう。
将来性について徹底研究
他の国家資格と組み合わせるのが理想
健康運動指導士の資格は、単独で持っているよりも他の国家資格と合わせて取得することでさらに活かせます。
例えば、管理栄養士、栄養士、看護師、理学療法士、作業療法士などの国家資格です。
管理栄養士・栄養士は栄養学の専門家です。スポーツと食生活の指導を合わせて行えば、より効果的に健康指導ができます。
理学療法士や作業療法士であれば、介護予防通所リハビリテーション・介護予防通所介護事業所で、運動器機能向上加算(病院の利益となる料金)を算定できます。
介護予防通所介護では、さらに看護師も加算が算定できます。
運動器機能向上加算とは簡単に言うと、できるだけ長く自立した日常生活を送れるようにするリハビリ運動などです。
民間の資格である健康運動指導士では加算がとれません。この資格を持っていなくても運動指導はできるので、単独では必要性は低いということです。
その他に、柔道整復師、保健師などの国家資格と合わせて取得しても活かせます。
給与・年収面においては、医療系の専門資格であれば医療職の俸給表で算出しますが、健康運動指導士は民間資格なので無資格可扱いです。
事務職などの俸給表で算出するため給与は低く抑えられています。
スポーツクラブでも給料は安いのが現実です。
おそらく、健康運動指導士の資格だけで働いている人は少数です。
勤務先の状況と今後の動向
2022年12月1日時点で、全国の健康運動指導士は18,244人(女性11,594人、男性6,650人)で、女性の方が圧倒的に多いことが分かります。
勤務先は以下の通りです。
- アスレチッククラブ・フィットネスクラブ等 3,907人
- 診療所・病院等 2,837人
- 保健所等 1,312人
- 介護老人保健・福祉施設等 1,227人
- 学校 1,193人
- 健康組合・会社 311人
- フリーで活動 2,455人
- その他学生含む 5,205人
ちなみに、2022年4月1日時点で全国で18,865人でした。減少しているようです。
参考:健康ネット|健康運動指導士|健康運動指導士とは
※画面を下へスクロールすると円グラフが出てきます。
健康運動指導士の働く場はスポーツクラブなどが中心ですが、最近は、病院、老人福祉施設、介護保険施設や介護予防事業等で活動する人が増加しています。
また、就職を控えて取得する学生も大幅に増えています。
病院、老人保険施設、保健所などで働く健康運動指導士の数は合計で5,376人となって、スポーツクラブで働く3,907人を既に抜いています。
介護施設は今後も増えることが予想され、健康のために運動という意識は今後も高まるでしょうから、当分健康運動指導士の需要が減ることはないでしょう。
健康運動実践指導者との違いについて
健康運動実践指導者という健康運動指導士とよく似た名称で、同じく公益財団法人健康・体力づくり事業財団が試験を実施している民間資格があります。
関連資格:健康運動実践指導者とは
ともに「健康のための運動方法を指導」という面では似ていますが、役割に違いがあり、取得するための条件も違っています。
健康運動指導士と健康運動実践指導者の違いを簡単に説明すると
- 健康運動指導士:運動プログラムや指導計画をつくり実際に指導もする
- 健康運動実践指導者:運動プログラムに基づいて実践指導をする
という違いがあります。
つまり、運動を指導するだけであれば、健康運動実践指導者でもOKですが、あくまでも健康運動指導士が立てた運動プログラムを実践して指導できるということです。もちろん、健康運動指導士はどちらも可能です。
健康運動指導士の方が高度な専門知識を必要とし、上位資格という位置付けです。試験の難易度にもかなりの差があります。
よく似た怪しい健康系民間資格にご用心!
健康系や運動系の民間資格は他にもたくさん世の中に存在します。
例えば、介護予防運動指導員、介護予防主任指導員、パーソナルトレーナー、子ども身体運動発達指導士、スポーツリーダー、スポーツプログラマー、スポーツリーダー、スポーツ栄養士、健康管理士・・・
どれも受講生集めに懸命です。全てが役に立たない現代版資格商法的な民間資格だとは言いませんけど、怪しさいっぱいの検定試験もあります。
例えば、健康管理士(一般指導員)、健康管理検定などです。
ちなみに、上記2つは同じ団体が主催しています。
学校へ通う必要のあるものや、通信教育だけで取得できるものもありますが、どれも国家資格ではないので、高いお金を払ったところで、就職や転職には結びつきません。
取得する必要があるのかどうか、お金と時間の無駄にならないように考えてください。
健康運動指導士になるには
受験資格は思いの外厳しい
健康運動指導士の受験資格を取得する方法は以下2通りです。
- 健康運動指導士養成講習会を受講する
- 健康運動指導士養成校で学ぶ
健康運動指導士養成校とは、財団法人健康・体力づくり事業財団と提携している体育系の大学です。下記にその養成校が一覧になっています。
参考:健康ネット|健康運動指導士|健康運動指導士養成校のご紹介
それ以外の人は、養成講習会を受講しなければなりません。
ただし、誰でも養成講習会に参加できるわけではなく、養成講習会に参加するための条件も存在します。概ね以下の通りです。
- 歯科医師、看護師、栄養士、薬剤師、理学療法士等で4年以上の大学卒業者
- 医師、保健師、または管理栄養士
- 4年制体育系大学の卒業者
- 健康運動実践指導者、日本スポーツ協会公認資格の所有者等
それぞれ学習する内容(取得する単位)、料金が違ってきますので、事前に主催者ホームページで確認してください。
受験資格を得て、健康運動指導士認定試験に合格した上で、健康運動指導士として登録されてはじめて健康運動指導士と名乗れます。
※健康運動指導士の受験資格がない人は、スポーツプログラマーを取得すれば受験資格が得られます。
試験は養成講習会で使用する公式テキストから出題される
健康運動指導士の試験は「健康運動指導士養成講習会テキスト上・下」の中からしか出題されません。
学習方法としては、このテキストをしっかりと繰り返し読み込むことです。テキストは最低3回は読みましょう。
ただ、上・下2冊で1000ページ以上あって、文字だらけで太字も下線もないつまらないテキストです。読み続けるのに苦痛さえ感じます。丸暗記などとても無理です。
文字をひたすら読んでいても頭に入りにくいので、問題集+別売テキストを購入して合わせて学習するのが効果的です。
学習期間については、やはり事前知識の量でかなり違ってくるので一概には言えません。
医療関係者、管理栄養士、保健師のように、あらかじめ健康に関する基礎知識を持っている人は短期間で合格できますし、ほとんど不合格になりません。
逆に基礎知識のない人は半年以上はじっくり学習しなければ合格できません。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
健康運動指導士養成講習会で使われる財団の分厚い公式テキスト(上・下)の要点をまとめた学習用テキストです。
各章ごとに、整理と暗記・予想問題に分けて解説されているので、試験に向けた日々の学習から試験直前対策まで幅広く利用できます。
養成講習会テキストを読んだ後に、このテキストで勉強すれば、かなり理解が進むはずです。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
おすすめ問題集
健康運動指導士養成講習会テキストに沿って学習できる予想問題集です。26年度からの新カリキュラムに対応しています。
あくまでも予想問題集ですから、まずは公式テキストで基礎力を付けた上で学習してください。この問題集だけでは合格できません。
多くの受験生が利用しています。
種類 | 評価 |
予想問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年3回(3月、9月、11月)
お申し込み
試験の約1か月前まで
受験資格
健康運動指導士養成講習会、または健康運動指導士養成校を修了していなければなりません。
※講習会受講資格は主催者サイトを参照ください。
試験会場
【養成講習会】
仙台、東京、愛知、大阪、福岡(試験によって異なります)
※e-ラーニングの場合は自宅など。
【認定試験】
全国各地
受講料・受験料
【養成講習会】
- 104単位コース:288,750円
- 70単位コース:213,950円
- 51単位コース:160,050円
- 40単位コース:133,650円
【認定試験】
- 13,619円
(各税込)
講習会・試験内容
【養成講習会の内容】40単位コースの例
- 健康管理概論(講義:3単位)
- 健康づくり施策概論(講義:3単位)
- 生活習慣病 NCD(講義:11単位)
- 運動プログラムの実際1(講義:4単位、実習:4単位)
- 運動プログラムの実際2(講義:2単位)
- 運動負荷試験(講義:1単位、実習2単位)
- 運動行動変容の理論と実際(講義:2単位、実習:1単位)
- 運動とこころの健康増進(講義:2単位、実習1単位)
- 栄養摂取と運動1(講義:4単位)
【認定試験】
- 四肢択一式 75問:2時間
- 養成講習会の内容に沿った出題。
合格発表
試験の約1か月後
主催者情報
試験に関する詳しい情報は健康ネット|健康運動指導士 健康運動実践指導者をご覧ください。