食生活アドバイザーとは評価されずメリットの少ない民間資格
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | 易しい | 65% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~2万円 | 2週間程度 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
自己満足 | 0件 |
- 上記は3級(一般受験者)についてです。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年8月5日に集計。
あくまでも趣味の範囲の「食生活のお勉強」です。
こういった短期間で取得できる民間資格では就職や転職が有利になることはありません。
履歴書に書いても評価されません。
評価されるとしたら栄養士・管理栄養士・調理師・製菓衛生師のような国家資格のみです。
数週間程度で取得できる民間資格に一体どれほどの価値があるのかよく考えてみてね。
食生活アドバイザーとは
勉強する内容は超基本的な内容
食生活アドバイザーとは、食生活に関するさまざまな知識を問う民間の検定試験です。
試験の学習を通して、食生活に関する知識を健康管理などに活用する方法を学びます。
健康的で安全な食生活をトータルにアドバイスするのが目的です。
食生活アドバイザーには3級と2級の2つのレベルがあります。
特別な受験資格もないため、食に興味のある方であれば誰でも取得を目指せます。
役に立つ民間資格なのか?
どれくらい役に立つのか求人数を調査
食生活アドバイザーって就職や転職に役立ちますか?
こういった質問をよくネット上で見かけます。
食生活アドバイザーは短期間で取得できる民間の検定試験です。
合格しても就職や転職が有利にはなりません。食に関する仕事につながる資格でもありません。
食生活や栄養に関する国家資格には栄養士・管理栄養士があります。試しに、それらと食生活アドバイザーの全国の求人数を比較した結果が以下です。
求人数の比較(2024年2月5日調査)
- 調理師 :23,441
- 管理栄養士 :9,058
- 調理師 :24,499
- 食生活アドバイザー :0
食生活アドバイザー募集の求人などは見つかりませんでした。
こういった民間資格は専門性も低く世間では資格として認められていないということです。
栄養士や管理栄養士の資格を取得するには、それぞれ最低でも2年・4年にわたって専門の教育を受けなければなりません。
学習する内容は、調理学・生化学・生理学・食品学・食品加工学・栄養学・臨床栄養学・応用栄養学などです。取得するには長い勉強時間を要します。
一方、食生活アドバイザーなどは数週間程度で取得できます。1週間の勉強で合格する人も珍しくありません。
学習する内容は、料理が上手になる方法や栄養バランスを考えた献立の作り方などのような実用的な知識とはほど遠く、食そのものや食材についての知識を断片的に学習するだけです。
こういった民間の検定試験でどれくらい専門的な知識が身に付くと思いますか?
冷静に考えれば、この程度で就職が有利になったり仕事に活かせることはないなんて分かるはずです。
結局この食生活アドバイザーだけを単独で取得しても、仕事・求人などには結びつきません。
「なんとなく資格らしいものがとれた!やったー!」という自己満足で終わります。
基本的な知識が身に付くかもしれませんが、そこまでです。
わざわざ食生活アドバイザーを取得しても、メリットは少ないです。
食に関する民間資格はどれもほとんど意味がない
食生活に関する民間の検定資格はたくさんあります。
例えば、食育アドバイザー、フードコーディネーター、その他に野菜ソムリエ、食品安全検定などです。
他にも、介護食士、食育インストラクター、アスリートフードマイスター、フードアナリスト、生活習慣病予防プランナー、食生活指導士、食育指導士、予防栄養学アドバイザー、フードスペシャリスト、離乳食・幼児食コーディネーター、食育実践プランナー、食育サポーター等々・・・100くらいは軽く超えるでしょう。
概ね共通して言えるのは、どれもお金を払って講座を受講すれば短期間で合格できるという点です。
そういった民間資格が果たしてどれくらい役に立つのか、就職や転職が有利になるのか、生活で役立つのか・・・少し考えれば分かるはずです。
こういった民間資格を全て「無駄」とまでは言いませんが、高額な教材の販売や、受講料目当ての胡散臭い講座が存在するのも事実です。
ほとんどが「趣味の食に関するお勉強」程度です。
表面的な知識は身に付くかもしれませんが仕事には結びつきません。
将来性について徹底研究
就職や転職、昇給は有利になりません
主催者のホームページではかつて、「合格すれば、食品メーカー、給食センター、飲食店、医療機関などで正社員として採用される可能性が高い」なんてPRしていました。
※さすがにこれは誇大広告と判断したようで、現在はこういった説明は削除されています。
食品メーカー、給食センター、飲食店、医療機関などで募集しているのは、調理師や栄養士、管理栄養士、製菓衛生師などです。
私の知る範囲では、食生活アドバイザーの資格取得を推奨している会社なんてありません。
資格手当を支給している会社もありません。
食生活アドバイザーの資格取得によってよって、個人的に食生活の知識がアップするかもしれませんが、そこまでです。
民間資格で食育指導などできません!
試験主催者の公式サイトを見ると「活躍のフィールド」の事例としこんな例が上がっています(2024年3月28日現在)。
学校など、教育現場で…
栄養・環境・マナーなど、教育の現場で「食育」全般の指導ができます。
ちょっと待ってください!それって消費者を欺く誇大広告ですよ。
大きな誤解を招きます。
小・中学校で食育指導ができる栄養教諭になるには、基本的に教員免許にプラスして栄養士、管理栄養士のような国家資格が必要です。
つまり、食生活アドバイザーのような民間資格では、小学校のような教育現場で生徒達を相手に食育指導(食育教育)などできません!
食生活アドバイザー程度の民間資格取得者に講師を依頼する学校や自治体はありません。
単に食に関する基本的な知識を身に付けるのが目的であれば、こういった民間資格に必要性は感じられません。
栄養に関する専門知識を持たない素人が「アドバイザー」などと称して誰かに指導まがいの行為をするのであれば、ちょっと無責任な気がします。
※参考までに、食育アドバイザー、食育指導士、上級食育指導士、食育インストラクター、食育総合などでも食育指導はできません。
栄養に関する本を読んで勉強すればいい
食生活や栄養に関する本は、書店にも図書館にもたくさん並んでいます。何冊も読み比べて気に入った本を数冊買えばそれで十分です。
YouTubeなどにも良質な動画がいくらでもアップされています。
合格するために有料の講座を受講する人もいますが、私は必要はないと思います。
栄養に関する基礎知識がある程度あれば、ほとんど見向きもされない民間資格です。
食生活アドバイザーになるには
比較的簡単に合格できる
食生活アドバイザーには3級と2級がありますが、3級は書店などで参考書があるのでこれをよく読んでおけばほぼ合格できます。
試験は3級と2級のみ実施されていて、1級は実施していません。3級2級ともに試験時間は90分です。
出題形式は3級は5肢択一式のマーク方式のみ。2級は6肢択一式のマークシート方式に加えて記述式問題も出題されます。
各級の合格率は以下の通りです。
- 3級:65%
- 2級:40%
頻出ポイントや重要事項さえ勉強しておけば比較的簡単に合格できます。
ある程度、食品の知識を持っているのであればそれほど難しくはありません。
通信講座は高いだけなので市販されているテキストを何度も繰り返し学習すればお金もかかりません。
はじめから講座受講料が目的?
「食生活アドバイザーの試験を何度も受験しているんですけど、いつも合格点まであと2〜3点が取れません」
実はこういった受験生(特に女性)が意外といます。
では、どうすれば合格点を取れるのかと言うと・・・
ちょっとカラクリというか裏技のようなイヤらしい方法があるんです。
「合格講座速習コース」という名の試験直前対策講座を受講すると合格率が下記のように格段に上がります。
- 3級:65%⇒80%
- 2級:40%⇒67%
講座当日に模擬問題集が配布されるようですが、そこにある程度試験に出る内容が書いてあるんでしょうね。もちろん有料です。3級12,000円(税込)、2級:18,000円(税込)です。
つまり、お金を払って合格率を高くするようなものです。
はじめからこれが狙いだとは思いたくないんですけど、よく考えてあるなと関心します。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・問題集
食生活アドバイザーの公式のテキスト&問題集です。とりあえず主催者公式なので受験生のほとんどが利用しています。
とてもわかりやすく書いてある本で、見やすくて勉強するのにとても良いという印象です。
下記で紹介する「一発合格! ここが出る! 食生活アドバイザー検定3級テキスト」と2冊で学習している人が多いようです。
まぁ、試験がそもそも簡単なので、口コミなどもない状況です。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
人気の問題集&テキストです。説明が詳しいので、理解しながら学習をすすめられます。試験ではほぼここから出題されるので、普通に学習すれば高得点が取れます。
後ろに付いている重要用語の入ってる冊子が重宝します。電車内で勉強するのに役立つでしょう。模擬試験が2回ついています。
種類 | 評価 |
テキスト&問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
年2回:7月の第2日曜日、11月の第4日曜日
お申し込み
4月上旬~5月下旬
9月上旬~10月中旬
受験資格
どなたでも受験できます。
試験会場
札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、新潟、金沢、静岡、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡
受験料
2級:8,000円
3級:5,500円
併願
2級・3級:13,500円
(各税込)
試験内容
【3級】理論問題:選択問題(マークシート形式)
【2級】理論問題:選択問題(マークシート形式)+筆記問題(記述形式)
- 栄養と健康(栄養・病気予防・ダイエット・運動・休養など)
- 食文化と食習慣(行事食・旬・マナー・配膳・調理・献立など)
- 食品学(生鮮食品・加工食品・食品表示・食品添加物など)
- 衛生管理(食中毒・食品衛生・予防・食品化学・安全性など)
- 食マーケット(流通・外食・中食・メニューメイキング・食品販売など)
- 社会生活(消費経済・生活環境・消費者問題・IT社会・関連法規など)
試験時間:90分
合格基準
約60%の正解で合格