相続検定は役に立つ?特別な権限や独占業務はない実用性の限界を解説

| 種類 | 難易度 | 合格率 |
| 民間資格 | やや易 | 40~55% |
| 受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
| 誰でも受験可 | ~2万円 | 2か月程度 |
| 活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
| 知識習得 | 0件 |
- 上記は2級についてです(1級は未実施)。
- 難易度・勉強時間は事前知識により異なります。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2026年8月29日に集計。
相続検定とは、相続に関する基本的な知識を学習するための民間の検定試験です。
難易度は低く、合格しても法律上特別にできる仕事はありません。
お年寄りから相続に関して相談を受けた場合、説明できることは一般的な事例に限定されます。
さらに、必要に応じて誰に相談すればよいのかをアドバイスして専門家を紹介することも可能です。
勉強するのであれば、専門業務のある国家資格がおすすめです。
相続検定とは

相続に関する基本的な知識を学習する検定試験
相続検定とは、相続に関する基本的な知識を学習するための民間の検定試験です。
勘違いする人がまれにいますが国家資格ではありません。
試験の学習を通して相続に関連する法律知識や、実際に相続が発生した際の手続きについて理解を深める狙いがあります。
ただし、合格しても民間資格なので法律上認められた特別な業務は存在しません。
あくまでも相続に関する知識・教養を試す検定試験です。
例えば、お金をもらって法律相談にのれば弁護士法違反になります。
税金の相談や試算は、個別具体的な事実関係に基づく相談であれば仮に無料であったとしても税理士の独占業務です。
では、相続検定合格者は一体何ができるのかと言うと・・・弁護士、税理士、司法書士、行政書士などへの業務の橋渡しです。
つまり、専門家の紹介が最終的な仕事内容です。
相続が発生した人あるいは今後発生しそうな人から相続に関する相談を受けたら、一般的な制度の概要や事例を挙げて説明することはできますが、個別具体的な解決策や対応方法になると専門家を紹介するしかありません。
実務的な相続業務などは一切行えないということです。
専門家を紹介して、紹介料(バックマージン)をもらうビジネスが成り立つのでは?と考える人がいるかもしれませんが、安易に行うべきではありません。
特に弁護士への事件の紹介や周旋の対価を受け取ることは、弁護士法(第27条・第72条など)により厳しく禁止されており、刑事罰の対象となります。
また、他の士業においても各会の倫理規程等により不当な周旋や対価の授受は厳しく制限されており、士業側も懲戒処分の対象となり得ます。
民間資格の知識は、あくまで「自分が困らないため」「専門家にスムーズに繋ぐため」の教養レベルと割り切るのが賢明です。
役に立つ民間資格なのか?
相続の仕事をしたいのであれば役に立つのは国家資格
相続に関して資格を仕事に活かしたいのであれば、やはり国家資格が必要です。
相続に関係する業務ができる国家資格は、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・行政書士・税理士・不動産鑑定士などです。
例えば、相続人の間でトラブルを防ぐために遺産分割協議書を作成することがあります。
遺産分割協議書とは、亡くなった方(被相続人)の遺産を、相続人全員でどのように分けるかを話し合って合意した内容をまとめた書類です。
不動産や預貯金の名義変更といった各種手続きを行うために必要になります。
遺産分割協議書には正確性が求められるため、すべての相続人の署名と実印の押印が必要です。
この遺産分割協議書の作成を業務として代行できる代表的な資格は以下の通りです。
※行政書士や司法書士、税理士が対応できるのは、あくまで相続人間の争い(紛争)がない場合に限られます。
※親族間で揉めている場合の交渉や、争いを解決するための協議書作成は弁護士の独占業務です。
遺産分割協議書に記されるのは主に預金・証券・不動産などについてです。
これらを相続する人は、当然ですが相続税などを納めなければなりません。
相続税の算出と納税は税理士の業務です。無料であっても概算や試算などは税理士以外は行えません。
土地・建物などの不動産が相続財産に含まれるときは、その価値(相続税評価額)を算出しなければなりません。
実務において、この不動産の評価を専門的に行うのは税理士の業務です(国税庁の基準に基づいて路線価などから算出します)。
一方、親族間で遺産の分け方をめぐって裁判(調停)になり、どうしても公的な「今の正しい時価」を割り出す必要があるような特殊なケースでは、不動産鑑定士が登場することになります。
不動産登記の名義を変更する必要があれば司法書士、土地を相続人で分割する場合は土地家屋調査士などといった具合です。
そして、争い事があれば弁護士が登場する可能性もあります。
専門性が高い内容は全て国家資格を持った専門家が処理しなければなりません。
相続検定をはじめとした各種民間の検定試験に合格しても、具体的な相続業務は行えません。
民間資格に合格しても、身に付くのは最低限の基礎知識です。
相続に関する知識を問う国家資格には宅地建物取引士やFP(ファイナンシャル・プランナー)などもあります。
こちらの方がおすすめです。
中には注意が必要な民間資格もあるので要注意です
相続に関する民間資格は数多く存在し、名称だけを見ると公的な権限があるかのように錯覚しやすいものも散見されます。
しかし、いずれも法律上の特別な権限や独占業務が与えられているわけではありません。
体系的に基礎知識を学ぶ目的であれば有意義な試験もありますが、中には実用的な権限が伴わないにもかかわらず、高額な受講料や合格後の登録料・更新料を必要とする団体も存在します。
実際、一般の方が民間資格の名称を国家資格と混同し、士業の独占業務にあたる手続きまで任せてしまってトラブルに発展する事例などについて、司法書士会などの専門家から注意喚起がなされています。
取得を目指す際は、費用に見合う知識が得られるのか、合格後にどのような維持費用がかかるのかを事前に十分見極めることが重要です。
どれくらい役に立つの?
民間資格は期待するほど役に立たない
相続に関する民間資格は多数存在しますが、どれを取得しても、あるいはいくつ取得しても就職や転職が有利になるとは期待しない方がよいでしょう。
履歴書に書くのは自由です。けれど、短時間で取得できる民間資格はどれもほぼ評価されません。
「相続資格のランキングを知りたい」「相続の資格でおすすめは?」などと質問を受けることもありますが、民間資格でおすすめはありません。
その証拠に、相続に関する民間資格を採用条件とする求人は、全国で探しても見つかりません。
高齢化社会が進む日本社会においては、今後ますます相続に関する業務は増えることが予想されますが、やはり需要が見込めるのは税理士や司法書士などの国家資格合格者です。
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
随時(パソコンを使ったCBT受験)
お申し込み
受験希望日の約3か月前~3日前
受験資格
誰でも受験できます。
試験会場
全国のCBT受験会場(全国約300か所以上のテストセンターにて実施)
受験料
8,800円(税込み)
試験内容
CBT方式による四肢択一式問題50問、120分
【相続の基礎知識】
- 相続の開始と相続開始後のスケジュール
- 法定相続人の範囲と順位
- 相続分
- 相続の承認・放棄
- 遺産分割
- 遺言の方式・効力
- 遺留分
【相続税の基礎知識】
- 相続税の納税義務者
- 相続税の課税対象財産
- 相続税の総額
- 基礎控除
- 各相続人等の相続税額
- 贈与税の計算
- 贈与税の非課税制度
- 相続時精算課税制度
- 申告と納付
- 非上場株式等についての納税猶予及び免除の特例
- 相続財産の評価
- 取引相場のない株式の評価
【相続対策とその他関連知識】
- 相続手続
- 成年後見制度
- 信託
- 遺産分割設計
- 相続税対策
- 納税資金対策
- 事業承継設計
- コンプライアンス
合格基準
60点以上、その場で合否が判明します。
主催者情報
試験に関する詳しい情報は試験概要(相続検定2級)|一般社団法人 日本金融人材育成協会をご覧ください。
