相続アドバイザーとは?身に付くのは基本的な相続の知識
種類 | 難易度 | 合格率 |
民間資格 | 易しい | 40% |
受験資格 | 取得費用 | 勉強時間 |
誰でも受験可 | ~2万円 | 1か月 |
活かし方 | 全国の求人数 | おすすめ度 |
知識習得 | 0件 |
- 上記は3級についてです。
- 全国の求人数は、ハローワークの情報を基に2024年7月11日に集計しました。
試験の級 | 3級、2級 (1級はありません) |
講座受講料 (任意) | 13,860円 |
受験料 | 3級:5,500円 2級:8,250円 |
※金額は2023年4月現在、税込みです。
銀行業務検定の1つで、金融機関に勤務する人が受験します。
試験の学習を通して相続実務の最低限の基礎知識を学びます。料金も妥当なので、相続の基礎を学ぶにはおすすめかもしれません。
ただし合格しても民間資格なので相続に関する実務的な業務などは一切行えません。
相続に関して相談を受けた際に、必要に応じてどの専門家に相談すればよいのかをアドバイスします。
つまり専門家への橋渡しが目的です。
相続アドバイザーとは
銀行業務検定のひとつ
相続アドバイザーとは、銀行業務検定の1つとして実施されている検定試験です。
3級と2級があります。1級はありません。受験生の多くは金融機関に勤務しています。
相続アドバイザー検定試験の学習を通して、相続実務の最低限の基礎知識を学びます。
例えば、相続に関する民法の規定から、相続税の計算、銀行口座の解約手続き、不動産登記の方法などです。
金融機関、特に銀行の渉外担当者等は、顧客から年金の相談とともに相続についても質問を受ける機会があります。顧客が死亡することで親族からも相談を受けます。
しかし、現実的な相続の相談になると多くの利害関係者がいて内容も複雑です。
争い事に発展するケースも少なくありません。
解決するためにはどういう手順を踏んでどんな専門家に依頼すればよいのかをアドバイスするのが相続アドバイザーの役割です。
主催者サイト:相続アドバイザー3級|経済法令研究会
相続には多くの専門家が絡む
一言で相続といっても、多くの法律とその法律の専門家が絡んできます。
概ね下記の内容については、国家資格を有する者のみがその業務を行えます。
まずは相続税の算出です。相続税の申告と納税は税理士の業務です。
土地・建物などの不動産が相続財産に含まれるときは、その価値を算出しなければなりません。それは不動産鑑定士の業務です。
不動産登記の名義を変更する必要があれば司法書士、土地を相続人で分割する場合は土地家屋調査士です。
そして、なんと言っても相続の目玉は預貯金や保険金です。
銀行、郵便局、保険会社なども関わってくるでしょう。争い事があれば弁護士が登場する可能性もあります。
関連資格:司法試験(予備試験)とは
専門性が高い内容は全て専門家が処理しなければなりません。
相続税に関する内容は、いくら相談とはいえ試算やアドバイスなどしたら税理士法違反になりかねません。
簡単に返答すると大変なことになります。
仮に相続アドバイザー検定3級に合格しても、身に付くのは相続に関する最低限の基礎知識です。
もちろん専門的な相談にはのれません。
相続アドバイザーは何ができるの?
相続アドバイザーの立場では、法律的に権限が何も認められていないので相続に関する実務的な業務は行えません。
では、相続アドバイザーの資格を取得して一体何ができるのか?
それは、相談者と専門家の橋渡しです。つまり、専門家の紹介です。
相談の内容に応じて誰に相談すれば良いのかをアドバイスします。
相談者とは、終活中の年配者や、実際に相続が発生した遺族(相続人)です。
相談者の相談内容を聞いてその場で解決に導くのではなく、解決するためにはどういう手順を踏んでどんな専門家に依頼すればよいのかをアドバイスします。
一般的な法律の規定に関する説明程度であれば誰でもできます。
例えば、正しい遺言書の書き方の指導、だれが遺産の相続人になるのか、相続人によって分割する割合はどれくらいか、そういった内容です。
揉めることなく円満な相続と迅速な手続きを実行するように良き相談相手になり、必要に応じて専門家を紹介するのが相続アドバイザーの役割(仕事)と言えます。
役に立つ資格なのか?
受験生の多くは金融関係の社員
相続アドバイザーの受験生は金融機関に勤務する人が多いのが特徴です。
銀行、証券、保険、不動産関連の人や、会社で取得を推奨されている人は取得すれば知識を業務に活かせます。
最近では、自分自身や身内の相続に備えて相続の知識を身に付けるために一般の方も受験するようです。相続に関する基礎知識を身に付けるためなら勉強した内容は役に立つでしょう。
しかし、学生や社会人が相続アドバイザーを取得しても就職や転職は有利になりません。履歴書に書いてもほぼ評価されません。
仮に、将来相続に関する仕事をしたいのであれば、やはり最低でも行政書士の資格を取得したいところです。
深く関わりたいのであれば税理士、司法書士を取得する必要があります。
ファイナンシャルプランナー(FP)では独占業務がなく、民法に関してもあまり深い知識は身についていないので、やはり役不足です。
将来性について徹底研究
この資格の活かし方
金融関係の会社に勤める人が、名刺に「相続アドバイザー」と印刷して配布すれば顧客からの信用度が増すでしょう。
試験の勉強で得た知識を活かして顧客により良いアドバイスができれば、信頼を獲得して新たな金融商品の販売につながる可能性もあります。間接的に収入アップにつながります。
とはいうものの、現実的な相続の相談になると多くの利害関係者がいて内容は複雑です。
自身の責任問題に発展しないように、単純に「アドバイザー」と割り切って対応する必要があります。
自分自身や身内で相続が発生した場合の対処法などをあらかじめ学ぶにはよいかもしれません。
怪しい民間資格のオンパレード、要注意です
相続に関する民間資格は非常に多く存在します。ちょっと調べただけでいくつも出てきます。
相続診断士、相続検定、遺言執行士、相続士、相続プランナー、相続コーディネーター、相続対策専門士、相続カウンセラー、相続コンサルタント、相続支援コンサルタント、相続アドバイザー、相続マイスター等々…
内容は似たようなモノで特に違いはありません。
どれも怪しいとか全部が詐欺・インチキとまでは言いません。中には大手資格予備校が運営する検定試験もあります。
しかし、内容がしっかりとした資格や検定とは言い難いです。
多くは講座受講料と受験料がセットになっていて誰でもお金さえ払えば短期間で合格できます。
怪しい民間資格も多いので要注意です。
仮にこれらの検定試験に全て合格したところで一体何ができるのでしょうか?
合格したところで相続に関する知識が多少あると意味不明の団体から認定されるだけで、他人の相続税の相談や忠告、申告書作成なんてできません。やったら違法です。
相続に関する資格に興味がある人は、本当にどんな資格が役立つのかじっくりと考えてみましょう。
本気で相続について学びたいのであれば国家資格を!
前述の通り、様々な相続に関する民間資格が世の中には存在します。
当サイトの読者から「相続に関して、どれが最も権威のある資格ですか?難易度も教えてください」という質問を以前いただきました。
率直に申し上げて、どれも意味はないです。権威もないです。
法律の裏付けなどない民間の検定試験ですから、試験に合格したところで相続に関する特別な業務は何もできません。
仮に、ある年配男性から土地・建物を相続する際の相談を受けたとします。
多少相続の知識があるあなたがアドバイスして解決したとしても、その土地の所有権移転登記、相続税の申告などはできません。
司法書士や税理士などの他の専門家に頼まなければなりません。
質問者が将来なんらかの形で相続業務に携わりたいのであれば、やはり司法書士、行政書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、税理士のいずれかの資格を取得する必要があります。
それは相続に関して少なくとも法律で認められた独占業務があるからです。
本気で学びたいのなら民法の学習が必須な専門性の高い国家資格を目指しましょう。
相続アドバイザーになるには
相続アドバイザー3級は、銀行業務検定協会が主催する試験で、2014年3月からはじまりました。
初回の受験者が1万人に達するほどの人気を集めたといいますから驚きです。
試験時間は150分で四択一形式になっており、合格ラインは60%となっています。
2017年の10月に出題された試験は難易度が高く、合格率が24.59%で合格ラインも50%に引き下げられたほどです。
本気で合格したいのなら3級とはいえ時間をかけて勉強しましょう。
とにかく過去問題集を繰り返し学習すれば合格は見えてきます。
公式テキストは分かりづらいのであまりおすすめはできません。
高額な通信教育を受けたり、何種類も参考書を購入する必要はありません。
テキスト・問題集・参考書
おすすめテキスト・基本書
公式のテキストです。
相続アドバイザー3級の試験問題を解答するうえでの必要不可欠な知識を体系的に学習するのを目的としているらしいですが、初学者にとってはとにかく読みづらい!
説明が中途半端です。わからない箇所を調べようにもしてもわ説明がよく分からない、そんなテキストです。あまりこのテキストに期待しない方が良さそうです。問題集中心の学習をしましょう。
※購入する際は、自分の受験日にあった最新版であることをご確認ください。Amazonで扱っていない場合は公式サイトより購入してください。
種類 | 評価 |
テキスト |
おすすめ問題集
公式問題集です。まぁこれしかないという感じですね。学習がテキストよりも問題集が中心になります。
常に試験日にあわせた最新版の問題集が出ていますので、自分の受験する予定の月を確認して購入してください。
多少古い問題集であっても基本的に大丈夫ですが、法律の改正により内容が変わる場合があります。最新の過去問題集を購入するのがよいでしょう。
※購入する際は、自分の受験日にあった最新版であることをご確認ください。Amazonで扱っていない場合は公式サイトより購入してください。
種類 | 評価 |
問題集 |
試験情報
日程・出題内容・合格基準・その他
試験日
3級は年2回:10月下旬、3月上旬
2級は年1回3月上旬
お申し込み
8月下旬~9月上旬
1月上旬~1月中旬
受験資格
受験資格の制限は一切なく、どなたでも受験できます。
試験会場
全国各地
受験料
5,500 円(税込、2023年1月現在)
試験内容
※下記は3級の内容です。
四答択一式 40問(各2点)、事例付四答択一式 10問(各2点)
【基礎知識】四答択一式
- 相続の基礎知識 20問
- 相続と金融実務 15問
- その他周辺知識 5問
【技能・応用】事例付四答択一式 10問
- 上記範囲での事例問題
合格基準
満点の60%以上(試験委員会にて最終決定)
主催者情報
試験に関する詳しい情報は相続アドバイザー3級|経済法令研究会をご覧ください。
※該当する級をクリックしてください。